表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/26

第13話 西端の街『ディ・ベルト』

見覚えの無い異世界に飛ばされてしまった僕は途方に暮れていた。

一面に広がる草原の上を歩き続けること30分、街の影一つ見えずにただひたすら歩き続けていた。


「つ、疲れた……」


変わらぬ景色に嫌気が差し始め、僕はその場で座りこんだ。

未だに信じられぬ状況下の中でこうも行動が出来る自分が少し誇らしくなった。


「静かだな……」


この場所には風が草むらを走りぬける音しかなかった。

目を閉じて耳を澄ませていると、遠くの方からある音が聞こえてきた。


パカパカパカ……


その音は次第に近づいてきていた。

僕は目を開けその音の方を向いて見ると遠くから馬が歩いてきていた。

いや、よく見て見るとそれは馬に荷台を引かせていた人がいた。

てっきり馬が逃げてきたのかと思っていた僕は自分が恥ずかしくなった。

そんな事を考えているうちにその馬車は僕の前まで来ていた。


「あっ、あの……」


馬車が僕のそばを通り過ぎようとした時に僕は上にいる人に言った。


「何かな?見かけない顔だが……ひょっとして旅人かね?」


どうやらこの人は近くの街に住んでいるらしい。

この人に付いて行けば街に着くだろうと思い、僕は返答した。


「はい、そうなんです。ここに来るのは始めてで……

道が分からなくて困っていたところだったんです」


自分でも上手く話を合わせられたと感心する位口がまわった。


「あぁ〜そうか。じゃぁ私が街まで連れてってやろう」


交渉成立。

そんなわけで街に行く事になったのではあったが……


「あんた職業は何やってるんだ?

こんな物騒な世の中で旅をしてるなんて、ただ者じゃないね?あんた」


不意にそんな事を聞いてきたのである。

この世界に来てまだ1時間もしないのに、僕がそんなこと分かるわけがない。


「えぇ〜と、学生っていうのも変だから無職?フリーターとも言うかな?

それともニートか!?」


慌てふためいている僕を見て何を言っているのか理解しきれなかったその男は笑いながら僕に言ってきた。


「あんた職が決まっていないのにこんな事してたのか?

ちゃんと職を決めなきゃ、将来が不安だよ?

街に着いたらしっかり職を決める事だね」


そんな忠告を受けているうちに僕等は街にたどり着いた。


「ここが街かぁ〜!」


「そうさ!ここが西のはずれの町『ディ・ベルト』さ」


街の入り口で下ろしてもらった僕はその人にお礼を言うと、その人は街の奥へと馬を走らせていった。


「さてと、まずは教会に行くんだったな……」


その人に教えて貰った通りに教会に向かう事にした。

ほどなくして教会についた僕は大きな扉を開けて中へ入ろうとしていたのであったが……


「あっ……開かない……

なんだこの扉は!堅すぎて開かないじゃないか!」


癇癪を起こしていた僕の後ろから誰かに肩を叩かれた。


「あれ〜、お困りかなかな?」


だ、誰だ……この人……

いきなり出てきて妙に馴れ馴れしいこの人は一体……

僕は振り返って見てみるとそこには僕よりやや小さめの女の子が立っていた。


「君は……?」


「私?私はフローレラ・リ・ジェレン。この教会の淑女って奴かなかな?」


使い方が間違っているような……

まぁ、この人がいれば中に入れそうなので話をあわせることにした。


「そう、この教会に用があってきたんだけど開かないの?」


「うん、今は敵が押し入ってくるかもしれないって言うから表の門は閉じてあるんだよだよ。

入るとしたら裏から回らなきゃダメなのなの」


フローレラはそう言うと教会の脇の道を教えてくれた。

その道を2人で進んでいくとあるドアにたどり着いた。


「ここが入り口なんだなぁ〜」


そう言うとフローレラは中に入っていった。

僕はそれに続く。


「お待ちしておりました。東馬様」


中に入るとすぐに大勢の人が待ち構えていた。

てかなんで僕の名前を知っているのかが不思議だったりした。


「これは創造主『アモール』様の意思であり、あなたの運命なのです」


祭壇らしきところの奥から1人の女性がこっちに歩いてきながら言った。


「そうか……あれはそのアモールって奴の意思なのか……

って信じられるかぁ〜!」


「まぁ〜しょうがないんじゃない?腹決めちゃいなYO!」


先ほどから刻々とキャラを変化させ続けるフローレラはスルーして、僕は目の前の女性と向き合った。


「フローレラの言うとおりです。あなたの運命は既に決まっているのです」


そんな事を言いながらその人は僕の目と鼻の先にいた。


「わ、分かったよ……あぁ〜、涙目になりながら近づいてくるな!

そういうのには弱いんだよ」


僕はそう言いつつ、その人を自分の身から遠ざけた。


「んで、具体的には何をすればいいんだ?

この世界の事は全くといって良いほど何も知らないぞ」


「それならご心配はありません。

貴方にはまず、職業検査を受けてもらいます」


まさかRPG定番のあれか……?

戦士やら魔法使いやら決めるやつか……?


「はい、そうです。ではこちらに……」


「えぇ、ちょっと……待って……てゆうか人の心を読まないで〜!」


そして職業検査という拷問が始まった……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ