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続・御用猫  作者: 露瀬
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老剣 木枯らし 6

「ほんとさぁ、騎士ってのは、どんだけ暇なんだって話だよ」


「おーいおいおい、そいつぁ聞き捨てならねぇよ、猫のセンセ」


「そーよ、俺ら仕事中よ、この浮かれきった街の中で、孤独な戦いの最中よ」


 午後になっても、季節はずれの熱気が、衰える気配さえ無い街中を、三人の男は並んで歩いていた。いや、御用猫の肩にはゆっこが乗せられているのだが。


 あれから、いのやを出た、というか引きずり出された御用猫は、流石にまだ早い、という理由で店外に待たされていたゆっこを、マキヤとづるこから回収し、甚助老人を訪ねるつもりであったのだが。


「私服じゃねーか」


「それはあれよ、騎士服って威圧感あんじゃん? 目立つし、こうやって市井に溶け込みながら、お姉ちゃんを口説く訳よ」


「でも先生がいんなら、涙をのんでクロスルージュ行くよ? 年末は空いてっからさ、行こうぜ」


 丈の短いコートに、シャツとパンツという、二人して似たような服装で練り歩いていた、ウォルレンとケインに遭遇したのだ。


「おとさん? てんかむそーの所に行かなくていいのですか? 」


 背中を曲げて、父を逆さに覗き込むゆっこは、いかにも機嫌良さげな声音である。肩車するには少々大きな彼女は、いつも最初は恥ずかしがるのだが、すぐに慣れてしまうと、御用猫の頭を、ぺちぺち、と叩き調子を取るのだ。


「うーん、そうだなぁ、ゆっこと遊んでたら、なんかどうでも良くなってきた……マルティエに戻って飯食うかな、お前らもどうだ? 」


「お、いくいく」


「飯食ってゆっこちゃんぬ送ったら、大人の時間にしよーぜ」


「そうだなぁ、今更いのやに戻るのも気まずいな……というか、二人に悪い事したな、今度謝らないと」


「なに? なにしたの? ナニしたの? 」


「また、特殊な性的嗜好を強要したの? 」


「また、とか言うな、人が聞いたら勘違いするだろ、というか、何もしなかったのが問題なんだよ」


「あら、聞いた? ケインさん、猫のセンセがお仲間になったそうよ? 」


「ははーん、残念だったなウォルレンさんや、次こそはイケる手応えを感じているよ、俺は、次こそは」


「駄目じゃねーか、つか、駄目だったのかよ、クレアちゃんはどうしたよ」


「センセ……ぶふっ、それがね、くっ、こいつね」


「おいやめろ、 男には触れられたくない過去がある」


「なんだか分からんが、面白そうだな、久しぶりに行ってみよっか」


「いぇー」


「ひゅー」


 これからの予定を立て終えた三人は、意気揚々と、揃って振り向いたのだが。


 その先に、鬼がいた。


「若先生……流石に言葉が見つかりません……何か、とても大切な話があったはずなのですが」


「お父様に告げ口など、その様にみっともない真似は、するつもりありません、ええ、これは、一市民からの苦情なのです、青ドラゴン騎士が、勤務中に遊興に耽っていると、職務怠慢だと、国の役に立たぬ騎士など、お給料を下げて構いません、どうせ、いかがわしいお店に消えるのですから」


「三人分の穴を掘るのは、大変ですわ……人を呼ばないと」


 御用猫達が、一回転するように、再びくるりと向きを変えた為、肩のゆっこが姿勢を崩す。両手を広げ、楽しそうではあろうか。


「さぁて、天下無双に会いにいくか、ああ忙しい」


「ふむ、殴られ屋とは珍しいな、何か諍いが起こらぬように、確認する必要があるだろう」


「炎帝騎士団の警備状況も見ておきたいな、参考になる事も多かろうぞ」


 わはは、と笑いながら足並みを揃える大人達を眺め、少年少女は、大きく溜息を漏らすのだ。


 ああは、なるまい、と思いながら。



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