ハズレの勇者
「勇者として世界を救ってくれ」
目の前のおっさん改めアース王は確かに今そう言った
「えーっと、それはどういう?」
「ナナシノゴンベ殿は突然のことで混乱していらっしゃる様子、某が1から説明いたすとしましょう」
どうやらアース王の隣にいるおっさんその1が説明してくれるようだ
「まずはこの世界の状況ですな。この世界は魔王率いる悪魔どもに攻められておりまして」
(まるでゲームのテンプレそのままだな)
「各々国から冒険者や兵士たちによって国の防衛には成功しておるのです」
(ならなんで救ってなんて言い方をするんだ?)
「しかしながらそれもいつまでも持つわけではなくいつかは決壊致します。なので、こちらから攻めこんで魔王をも討伐せねばならないのですが・・・・」
(なんか嫌な予感)
「この国のお抱えの占い師によるとこちらから攻めるととんでもない破滅を引き起こすと言われたのです」
「それなら俺が勇者として行くのは大丈夫なのですか?」
つい思ったことが口に出てしまった
「その占い師が古より伝わりし伝説の勇者がこの世界を救ってくれる・・・と」
なるほど、それで俺を召喚して勇者として世界を救ってもらおうと考えたわけか
「ちなみに古より伝わりし伝説では、勇者は自分がもといた世界で最も得意としていたことをより強化したような能力を得ていたそうです。例えばあるものは火を自由自在に操り、あるものは薬品を使い生と死をも自由に操り、またあるものは誰にもかわせない音速の拳を繰り出したとか・・・・」
(うわぁ、何その超人設定は・・・・っていうか絶対に全員俺とは違う場所からきてるわぁ)
「それではナナシノゴンベどのの能力を確認してみましょうか」
「どうやって確認するんだ?」
(っていうかまず、俺にそんな力があるのか?俺、何か得意なものがあった記憶が無いんだが・・・・)
「ステータスオープンと言ってください。そうすることで自分のステータスを開くことができます」
(まじでゲームみたいだな)
そう思いながらも自分の能力を知りたくて俺はそわそわしながら
「ステータスオープン」
と言った
すると目の前に半透明な画面があらわれ
ナナシノゴンベ
Lv.1
HP 103/103
MP 024/024
状態 良好
称号 異世界より来たりし勇者
能力 絆力上昇
と書かれていた
「は?」
「どうかいたしましたか?」
おっさんその1が聞いてくる
「能力名はコネクトっていうらしいんだけど・・・」
「どういう能力か知りたい場合はステータス画面の能力の所を押していただければ」
またまた嫌な予感に襲われながらコネクトの所をゆびで軽く押す
絆力上昇
ユニークスキル
Lv1
パッシブスキル
絆力補正+99999
対嫌悪感+99999
パーティーメンバーに絆に応じての能力補正(弱)
相手との絆に応じて自身に+補正あり
「どうしました?」
微妙そうな俺の表情を見たのかおっさんその1が声をかけてくる
流石に黙ってる訳にはいかなかったので俺は能力についてそのまま読み上げた
それを聞き終えたアース王とおっさんその1はなにやら話した後
「それでは、軍資金として20万円を与える。これで装備などを整え、レベルを上げていき是非とも魔王を倒してくれ」
「先に商人ギルドや冒険者ギルドに登録しておいた方がよいでしょう」
おっさんその1が冒険者ギルドより先に商人ギルドの名前を出したところに何かしらの意図を感じながらも俺は軍資金をもらって城を出ることになった
城から出た瞬間ピコーンという音と共に視界右下に
『新たな称号を獲得しました』
というメッセージが浮かんできた
なので改めてステータス画面を開く
ナナシノゴンベ
Lv.1
HP 103/103
MP 024/024
状態 良好
称号
異世界より来たりし勇者
ハズレの勇者 New
能力
絆力上昇
称号の所に追加されている文字に思わず
「うぜぇぇえええ」
と叫んでしまった
勿論回りの人からは何事かとガン見されました