【第0.5章】ただいま準備中1
どうも、仕掛け人αです。
今回から主人公アズマ少年の冒険が始まり……、ません!
ぶっちゃけ、スタート前の準備体操段階です。
閃光の渦に巻き込まれ、次に渡辺東が目を開けた場所は、どこかのエレベーターの中だった。
辺りに、あの得体の知れないピエロの姿はない。
「……白昼夢?」
乗った覚えのないエレベーターの振動を感じつつ、東は呆然と呟く。
しかし、その呟きを肯定することは出来なかった。
何故ならば、正面の自動扉にメモが貼られていたからだ。
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東くんへ。
準備期間として30分の猶予をプレゼント。
『ステータス』と所持品の確認と、
初回特典をドローしておくことをオススメします。
なお、所持品に関しては、
元の世界のもの相応の物品と交換しています。
あしからず。
仕掛け人αより。
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何度かメモを読み返し、ようやく東は現状を飲み込む。
どうやら異世界へ召喚されるというのは本当のことらしい。
その証拠に、エレベーターの操作盤には階数ボタンがなく、代わりに『【地球】→→→【ティルナドーン】』という表記があった。
メーターを見るに、残り30分の猶予は着実に減っていっている。
東は慌てて行動を開始する。
最初に確認したのは、自身の纏う衣服だった。
「……うおお、なんか冒険者っぽい」
恐らく魔法的な何かで着替えさせられたのだろう。
東の格好は、学校の制服から、異世界の旅装へと様変わりしていた。
幸い、エレベーターの後ろの壁は鏡張りになっており、今の自分の全身を余すところなく確認できた。
「クラスは見習いレンジャーってところか?」
基調は茶色と深緑。頑丈そうでポケットの多い長袖長ズボンに、革製らしきベスト。
その上にフードつきの長いマントを羽織り、足元はブーツで固め、腰には大きめのベルト。
誰が用意したかは知らないが、機能重視でありながら趣味の良さを感じさせる装いだった。
これで着ている本人が冴えない日本人顔でなければ、という但し書きがつくが。
「似合わね~。張り切りすぎたコスプレ野郎かよ」
服よりも自分の顔にダメージを受ける。
しばし鏡の前でショックを受けていた東は、気を取り直して次の確認に入る。
腰のベルトに繋がれた小物と、床にある小さな肩掛け鞄の中身だ。
(腰には小さな水筒と、ナイフと……、これは財布か?)
水筒は、よく洋画でおっさんが懐から出すウイスキーボトルに似ていた。
ナイフの刃渡りは包丁より短く、使いやすそうではあるが武器にはなりそうにない。
財布らしき巾着には、硬貨らしき歪な金属片が何種類か入っていた。
価値はよく分からないが、メモには「相応の物品と交換」と書かれていたので期待はできない。
「小銭も含めて3千円くらいしか入れてなかったからな~。
こんなことになるんなら、貯金箱中身全部入れておくんだった」
東はぶつくさ言いながらも、今度は鞄の中を物色する。
中身は食料(干し肉・チーズ・固いパン)と水筒(大きい2個目)と、筆記用具セット(羊皮紙数枚・羽ペン・インク瓶)だった。
(……水筒が2つあるのは、それだけ水の確保が重要ってことか。
食料はいかにも異世界っぽいけど、あんまり美味しそうじゃないな)
これも恐らくは学生鞄との等価交換なので、あまり贅沢は言えない。
初めて見た羊皮紙とかが入っているのは、恐らく教科書やノートを入れていた名残だろう。
これで大体の所持品チェックが終わったな、と東は腰を上げ、
「……あれ、もしかしてこれだけ?
定番のショートソードみたいな武器はないの?」
エレベーターの中を見回すが、武器になりそうな物は見当たらない。
腰のナイフは一応刃物ではあるが、どう考えても戦闘用として使えるものではない。
(……え、丸腰で行けってこと?
モンスターやら盗賊やら闊歩しているに違いない異世界へ?)
思わずゾッとしかけて東は思い出す。
そういえば、自分にはカードガチャなる異能力があったじゃないか、と。
次いでメモに書かれていたことをまだ全て済ませていないことも思い出す。
「えっと……《ステータス》オープン、でいいのか?
……って、おお!?」
自信なさげに、テンプレートな呪文を唱えると、目の前に半透明の版『ステータスプレート』が出現した。
そこに書かれていたのは、
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名称:アズマ
年齢:16歳
種族:人族
職業:カードマスター
称号:不運なる召喚者
固有スキル:【カードガチャ】
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DP:5(←★初回特典)
手札:0/5
空場:0/10
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スキル:【異界言語】【自己鑑定】
魔法:なし
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「意外と情報が少ないというか……、レベルとか能力値とかはないのか。
最初からそういう仕様なのか、条件を満たせば見える項目が増えたりするのか……?」
しかし書かれている内容に関しては、自己鑑定スキルのおかげで何となく把握できた。
内容はそれぞれ、
『アズマ』…どうやら名字は記載されず、カタカナ表記らしい。
『カードマスター』…ガチャカードを使用できるオリジナル職。(俺専用)
『不運なる召喚者』…そのまんま。
『異界言語』…読み書きを含めた便利な翻訳能力。
『自己鑑定』…自分のステータスを視て、内容を把握できる能力。
中でも重要な項目は、
『カードガチャ』…DPを消費してカードを引き、引いたカードを解放する能力
『DP』…ドローポイントの略。この数だけカードを引くことができる。
『手札』…手持ちのカードの数。所持できるカードの上限。
『空場』…解放中のカードの数。一度に使用できるカードの上限。
「……なるほどね。
デッキこそないが、基本的には遊●王とかみたいなトレーディングカードゲームの様式に近いのか」
メモにあった初回特典とは、ガチャカードを引くことができるポイントのことだったらしい。
そこまで確認して、ふと鏡を見ると、新しい事実に気づく。
(ステータス画面が鏡に映ってない、ということは自分にしか見えない物なのか。
なるほどな……、って、やばっ!?)
何ともなしに鏡に映ったエレベーターの操作盤を見て焦る。
召喚まで残り5分程度しかない。
東は――否、アズマは、固有スキルを使うため、頭に思い浮かんだスペルを唱える。
「いくぞ、《ドロー》!」
唱えた瞬間、手元に手の平大の魔法陣が浮かび上がる。
精緻な文様が刻まれた魔法陣の中心では、スロットのように3桁―――実際には2桁+1桁―――の数字が回転する。
そして、―――カッシャン!
スロットが停止した瞬間、魔法陣が弾け、中から”赤色”のカードが出現する。
カードはアズマの右手に滑り込むように飛んでくる。
【No.52-G2/賢人の強化薬】==========
説明:1時間の全ステータス弱上昇効果のある薬。
ボス戦の前にまず1本、元気ハツラツ!
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「……何か説明文の後半が軽いな。誰が書いてるんだ、この説明?
でもまあドーピングアイテムか、なかなかいいな!」
最高とは言わないが、幸先のいい出目にアズマは喜ぶ。
召喚されるのは『迷いの森』なる危険地帯。
生存率を上げるアイテムなら大歓迎だ。
「よし、次だ次!
……お、まとめて引くことも出来るのか。なら《ドロー×4》!」
スペルを唱えると、先程現れた魔法陣が4つ浮かび上がり、スロットが回転する。
―――カッシャン!カッシャン!カッシャン!カッシャン!
そして一気に弾け、4枚のカードが出現する。
【No.99-G*/リミットブレイク】=====================
説明:指定した1枚のカードのグレード上限を解除(最大G5→G9)する。
え、ちょっ、空気読んで下さいよ?! これ隠しカードなんですよ!?
初っ端でコレ出すとかどんだけですか!?
【No.67-G0/マウスプロミス】======================
説明:指定した相手と口約束が結べる。それが成就するかは相手の誠意次第。
グレード0は基本的にショボイかネタかのどちらか~。
【No.09-G*/カードコピー】=======================
説明:指定した1枚のカードをコピーして2枚にする。
また特殊カードとか……。
【No.20-G*/ドロー+3】========================
説明:ドロー3回分のカードを得る。
3枚目……。ここで運使い果たしてどうするんですか?
(仕掛け人αより)
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「………………」
「色々ツッコミどころ満載なんだが、とりあえず説明後半!
これ完全にリアルタイムの文句だよな!? というかお前が書いてたんかい!」
思わずエレベーターの天井に向かって拳を振り上げるアズマだった。
「どうしてこうなった……」と作者が嘆いています。
今回で迷いの森編突入の予定が狂って、もう一話必要になりましたからね。
隠し要素だったはずの【No.99】も初っ端に出てしまうし、踏んだり蹴ったりです。既に迷走中とか、先が思いやられます。
次話はなるべく早く投稿するそうです。
以上、仕掛け人αでした。




