8/12
思い出 7th.
その日からの毎日は幸せだった。
陽君と毎日のようにメールをして、時々2人で会って、何気ない会話をして…
友達で居る頃と同じ毎日だったが、それ以上は望まなかった。
望まないほど、満ち足りた時間が過ぎていった。
お互い2年生になり、制服も冬服から夏服へとなった頃だった。
「俺にもちょうだい。」
学校帰りにコンビニへソフトクリームを買うと、必ず一口食べられた。
「あっ!
あたし、まだ食べてないのにー!」
なんて怒ったフリをすると、ニカっと笑う彼の笑顔が好きだった。
間接キスじゃん…
そう思いながら、あたしも食べる。
そんなやり取りをしながら、一つのソフトクリームを2人で食べるのが日課となっていた。
「今度、花火大会に行こうか。」
もうすぐ夏休みが始まる直前の、毎日のやり取りの中で、急に言われた何気ない一言。
サラッと言われ過ぎて固まってしまった。
「もしかして…予定、あった?」
不安そうに聞き返されて、慌てて、行く、と一言返事をした。
ホッとして顔を緩める陽君。
ああ、この顔好きだな…
あたしもつられて笑顔になる。
楽しい夏休みが始まる予感がした。