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思い出 2nd.
次の日、まだ慣れていない制服に袖を通し学校へ行くと、レクレーションのための班決めを行うことになっていた。
入学早々失敗して友達の輪に入り損ねたあたしは、周りの様子を伺いつつ、入れそうなグループを探していた。
そこで、思わぬ人物と目が合った。
切れ長の目、ちょっとパーマかかった柔らかそうな髪、背も高くてややがっしりめの肩…
昨日の、幼なじみの家にいた彼がいたのだ。
まさかとは思ったが、向こうから会釈され、疑問は確信となった。
なんで、ここに…?
昨日落ち着いたはずの心臓は再び跳ねだし、顔に熱が宿るのを自覚していた。
声をかけることもできず、あたしは軽く会釈をしてから友達の輪に無理矢理入った。
何を話したか、なんて覚えていない。
ただ、こんな顔を見られたくなかった。
そんな思いだけがあって、その日を終わらせた。