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Heaven&Hell Online  作者: 夜桜
First Stage
33/40

番外編:瞬矢の学校生活

はい、番外編です。これまでとは少し違った書き方をしてみました。是非ともお楽しみください^ ^

これはある日のアテナこと早神瞬矢とアイギスこと早神留美の日常のお話。


「行くぞ留美。学校に遅れちまう」


「わかってるさ兄さん。行ってきます」


この頃はまだ7月でHHOが正式に稼働を開始していない。そのため瞬矢と留美はまだただの学生である。


「あーHHO早くやりてー」


「またゲームの話か。兄さんは本当に好きだな」


「まぁな。もう予約はしてあるし、あとは届くのと正式稼動が始まるのを待つだけなんだけど、それまでの時間がえらく長く感じてなー」


「気持ちは分からないでもないけど、偶には兄さんも外で体を動かしたらどうだ?」


「んーそれもそうなんだけど、今独学で剣術と体術の鍛錬しているからなー」


「結構な心がけだが、それもゲームの為って言うのがなんかな。まぁ、それであっても極めてしまう兄さんも大概なんだがな」


二人は同じ高校の制服に身を包み、仲良く並んで会話を交わしながら学校への道を歩いている。


「はは、まあな。でも体術は昔だけど実際に道場に通ってきちんとやってたじゃん。まぁ今俺が勉強してる体術は古武術とかも含めた特殊な奴だから、以前道場で習ってたのとはまた別物なんだがな」


「あの頃の兄さんは凄かったな。いや、勿論今もとても素晴らしい兄さんなんだが、昔の兄さんはよく虐められた私を助けてくれてたな。あの時の兄さんはかっこよかったぞ。勿論今も十分かっこいいがな」


「大事な事なので二回言いましたってか?まぁ、あの頃の俺はまだ今より男っぽい容姿だっし、留美もこんなに小さかったからな」


そう言って瞬矢は手を腰の辺りで、子供を撫でるような仕草をした。


「そうだったな。中学生辺りから兄さんはどんどん綺麗になっていったな」


「うっせ、そんな留美こそ中学生辺りからどんどん身長も伸びて何時の間にか俺より大きくなってるじゃねーか」


「大きいと言っても兄さんより1〜2センチ大きいだけだぞ?まぁ確かに一般的なこの年代の女子よりは大きいとは思うがな」


留美は自分の頭の上に手を上げて瞬矢と自分の頭上をすいすいと行き来させながら言った。


「10センチ……いや、5センチでいいからお前の身長を俺に移せたら俺たち丁度良いバランスになったかもな」


「何を言っている。私と兄さんはどんな時でも良いバランスでは無いか」


「はは、ちげーねぇ……って、あら何時の間にか学校に着いてたな。留美との会話に夢中で気付かなかったぜ」


瞬矢と留美が雑談を続けていると、やがて前方に大きな建物が見えてきた。


都立神盾高等学校。瞬矢と留美が通っている高校で、何気に都内でも選りすぐりの偏差値を持つ進学校である。瞬矢と留美はそれぞれ二年生と一年生の兄妹だが、二人ともこの学校の中でも中々に有名人であった。


まず校門をくぐる。するとそこには生活指導の先生とその日の挨拶担当の生徒がいて、校門をくぐる生徒達におはようございますと元気に声をかけている。


「「「「おはようございます」」」」


「はよーっす」


「ああ、おはよう」


瞬矢と留美も当然校門をくぐるので、大声で言われる朝の挨拶に笑顔で返している。


「「「「はぁん///」」」」


返された生徒達が地面に崩れ落ちる。先ずこれが瞬矢と留美が学校に来て真っ先に遭遇する状況だ。


「はぁ……相変わらずだなこいつらは……早神兄妹おはよう。こいつらは何時もの事だから放っておいてくれて構わないぞ」


「あいよー。行くぞ留美」


「うむ」


かたや学校一の美少女として一年以上過ごして来た瞬矢、かたや入学当初から男女問わず学校中の注目を集める学校一のイケメン女子留美。二人が揃って登校すると、しょっちゅうこう言った状況が生まれる。その度に近くの先生達が苦労しているのだが、その頑張りも虚しく被害は増えて行くばかり。


下駄箱にて。


「あっ、靴箱に何か詰まってる。ふんっ……よし取れたって、うおっ!?」


「危ないっ!兄さん、怪我したどうするんだ……」


自分の下駄箱に入っていた物を取り出した瞬矢がその拍子に後ろに転ぶ。しかしそれをすんでのところで受け止めたのが妹の留美。その姿はまるで少女漫画のようで、辺りにいた生徒達ーー主に女子ーーから黄色い悲鳴があがる。


「「「キャー///激レアシーンよ///」


「あー……すまんな留美」


その黄色い声援に少し気まずそうにしながら礼を述べる瞬矢。留美も瞬矢の心情を察してか、支えていた体を離し瞬矢の手に持つ手紙に視線をやった。


「兄さんそれ……」


「ん?ああ、今取った奴か。って、またこれかよ。しかも今日は過去最高の7枚同時とか、そりゃ下駄箱にも引っかかるわ」


「兄さんも良く貰うよな」


「どーせ男からだしいらねーよ。しかも殆どはほぼ悪戯みたいな物だしな。それより寧ろ留美の方が貰ってるだろ?ほら、今も女子達の視線がお前に注がれているぞ」


「まぁ確かに……今日も3通ほど下駄箱に入ってたな。でも全部女子からだぞ?」


「だろうな。お互い同性に好かれて困るよな。俺も貰うなら男からじゃなくて女の子から貰いたいよ」


「そ、それだけはダメだ!」


「おうっ!?分かった分かった!分かったから止めてくれ!」


留美が瞬矢の肩に手をやり、がくがくと前後にシェイク。


「ったく、留美はこの話題になると毎回やってくるよな」


「すまない……だが兄さんも似たようなものじゃないか」


「え?俺が?」


「ああ、ほら、これが今日貰った手紙だが一つ男子からの物があるぞ」


「なにっ!?そいつは何年何組のどいつだ!俺の留美を口説こうなんざ100万光年速いわ!」


「お、落ち着いてくれ兄さん冗談だ!それと100万光年は時間じゃなくて距離だぞ!」


「な、なんだ冗談か……心臓に悪いから止めてくれ……」


二人は階段を上りながらそんなやり取りをしている。当然そんな所でそんなやり取りをしていると非常に目立つのだが、周りの生徒達が二人を見る目は羨望と尊敬と感動が混ざり合った目であり、変に見られるどころか今日はいい事あったと喜ぶような雰囲気である。


***


「あー……朝から早神兄妹のやり取りを見れるなんてついてるわー」


「ほんとな。俺アプリのガチャ回してみようかな」


「相変わらず瞬矢様はお綺麗で、留美様は凛々しいですわ!」


「私今日留美様にお手紙出したの!」


「おい聞いてくれ、この前早神兄妹のやり取りを見た日に宝くじ買ったら5万円も当たったぞ!俺の奢りでどっか食いにいかね?」


「ほんと、幸運のシンボルね、あの二人は」


自分達が通った後のその場で、そこに居合わせた生徒達が口々にそんな事を言い合っている事に二人が気付く事は無かった。


***


「んじゃ俺の教室は3階だからここでお別れだな」


「ああ、じゃあまた放課後に」


「ん?今日は部活は無いのか?」


「今日は顧問の先生と副顧問の先生が同時に出張でいないらしくてな、部活動が出来無いそうなんだ。だから今日は一緒に帰れるぞ」


「そっか、なら折角だし帰りにどっか寄ってくか」


「そう言うのは久しぶりだな。分かった楽しみにしているぞ」


二人が通う高校は4階建てで、4階が1年生教室、3階が2年生教室、2階が3年生教室、1階が教員階兼公共スペースとなっており、2年生の瞬矢は3階で、1年生の留美が4階で過ごしている。


ここからは視点を変えて瞬矢の学校生活を見て行くことにする。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜

瞬矢の学校生活・朝


「はよーっす」


俺が教室の扉を潜ると一斉に中の視線が突き刺さる。だがそれは別に悪い物では無く、どちらかと言うと憧れのようのものだ。いい加減慣れて来たとは言え、正直毎日この視線を浴びるのは好きでは無い。


「ねみぃ……」


席に着くと俺は早速机に突っ伏す。朝先生が来るまでの間の時間が俺の僅かな睡眠時間。別に寝不足とか言うわけでは無いけど、最早習慣のような物で机に突っ伏したら直ぐに眠気がやって来る。


「おーし朝のHR始めるぞ。ほら、早神さっさと起きろ」


俺が眠ること数十分。先生がやって来た。

俺が先生が来るまで寝てるのは先生にも周知の事実なので毎朝とまでは行かないがしょっちゅうこうして声を掛けてくる。先生の声が今や俺の目覚ましみたいなもんだ。


「うし、早神も起きたな。なら出欠を取るぞー」


そう言って先生がクラスメイトたちの名前を呼び始める。呼ばれた生徒達が返事を返し、1分足らずで終わる。


「遅刻欠席は無しか。この調子で明日も来いよー。連絡事項は今日は特に無いからこれでHRを終えるぞ。1時間目の授業の準備をして授業に遅れないようになー」


そう言うと先生は教室を出て行く。ここから10分後に1時間目が始まるので俺も授業の準備を行っておく。


「1時間目なんだったっけな……」


「1時間目は英語だぞ瞬矢」


「ああ、そうだった。サンキュー北斗」


こいつは三船北斗。活発そうな茶髪と少し悪い目付きが特徴の男子で、俺の小学校からの友達である。

小中高と同じ学校に通っているため、今や北斗は親友とも呼べる存在でよく一緒につるんでいる。

俺の昔の容姿を知ってるため、その頃の俺と今の俺を見比べてはよく茶化してくるが、まぁ俺もそのノリは嫌いじゃないので、口では色々言っててもなんだかんだで楽しく会話をしている。


「そういや瞬矢、以前HHOの当選当たったって言ってたよな?」


「ん?ああ。8月からの稼働が楽しみで仕方無いよ」


「だよなぁ。実は俺も今日当選のお知らせが来てよ、お前の気持ちがすげぇ分かるようになったわ」


「マジで!?やったじゃん北斗!これで一緒に遊べるな!」


HHO当選のお知らせは人によって来るタイミングが違い、俺は一週間ほど前にお知らせが来ていたが、今になってお知らせが来るところもあったらしい。どうにしても親友と一緒に同じゲームをやれると言うのは俺としてもとても嬉しい。


「種族とかプレイスタイルとかもう決めているのか?」


「一応種族はランダムで始めるつもり。それで出た種族次第だなプレイスタイルは」


俺と北斗は前後の席に座り、HHOについての雑談を交わす。北斗も俺ほどでは無いがゲーマーであり、昔からよく一緒にゲームをした仲だった。中学に入ってからは北斗がサッカー部に入ったので一緒に遊べる時間が少なくなったが、それでも時間がある時はカラオケとかにも行ったりしている。因みに歌の上手さは俺も北斗も中の上程度。


「相変わらず瞬矢と三船は仲がいいわね。何の話をしているかは分からないけど私も混ぜてよ☆」


こいつは棟方響子。制服をオシャレに着崩していて、髪を染めてピアスもしている所謂ギャルのような感じの女子だ。だがその実結構気のいい奴で、男女問わずどんな奴にも平等に接してくれる。だが男子はみんな苗字呼びなのに何故か俺だけ下の名前で呼んで来る。もしかして俺を女子としてみているのだろうか。

……まぁ今更だからどうでもいいんだけどな。


「おう、棟方。実は北斗がHHOの当選に当たってな……って、お前はHHOなんか知らないよな」


「ん?知ってるよ。Heaven&Hell Onlineっしょ?あんだけニュースでやってればイヤでも分かるって」


「へぇ、以外だな。棟方ってそう言うの興味無いと思ってたよ」


棟方は何故か俺に寄りかかるようにして体重を掛けてくる。柔らかい感触が思いっきり背中に当たってボリューム満点の胸がむにゅっと形を変えてけしからん。


「おい棟方、寄りかかるなよ、胸が当たってるじゃんか」


「んふふー♪当ててやってるのよ。それに棟方じゃなくて響子って呼んでって言ってるじゃない」


「瞬矢爆ぜろ」


棟方このようにしょっちゅう俺を誘うような事を言ってからかってくる。最初の方は動揺したけど、それもずっと続いてれば慣れてくるってもんだ。


「分かった分かった、呼べばいいんだろ響子。いいから離れてくれよ響子」


「わ、分かったから///やっぱり瞬矢に名前呼ばれるのって恥ずかしいわね///」


棟方は響子と呼べば直ぐに離れてくれる。だから偶にこうしてからかわれた時は俺も響子と呼んで軽く反撃してやってる。


「早神君、三船君、棟方さん、おはようございます。朝から仲良いですね皆さん」


「おっ、楓ちゃんおはよー☆」


「おう雫石」


「雫石さんおはよう」


彼女は雫石楓。古くからある良家のお嬢様で、神盾の美少女五宝とまで呼ばれている。

因みに神盾五宝とはこの学校の五人の宝と言う意味らしい。

メンバーは1年早神留美、雅華美、2年早神瞬矢、雫石楓、3年斑鳩飛鳥となっている。

……ああ、笑いたきゃ笑え!そうだよ!俺も入ってるんだよちくしょう!美少女の中に男が何故か一人いるんですよ男が!


「いやー朝から五宝の二人と一緒にいれるなんて素晴らしい日ですなぁ」


「うるせぇよ……」


俺は北斗にアイアンクローをかましてやる。


「ふふ、照れますわね。私なんかとお話しするだけでその日が三船君の良き日になるのなら嬉しいです」


「楓ちゃん楓ちゃん、楓ちゃんはHHOって知ってる?」


雫石は同じ歳とは思えないほどに落ち着いており、こうしてふざけたやり取りをしている時も必ず一歩引いたところで見ている。


「HHOですか?そうでした、私これを棟方さんに差し上げるために来たんでした」


俺と北斗がふざけあっている横で、雫石はきちんと着こなされた制服のポッケから一つの紙を取り出した。


「誤って二個応募してしまったんですが、そのどちらも当選していたので一つは棟方さんに渡したかったんです。棟方さん、以前に欲しいとおっしゃってましたからね」


「えっ!?これってHHOの当選お知らせじゃない!?」


「「えっ?」」


その声に思わず俺と北斗もふざけ合うのを止めてしまった。


「えっ?えっ?これマジで良いの?楓ちゃんは?」


「私のはこちらです。二個も当たるなんてついていました」


「これマジもんの当選通知じゃん!?雫石さんすげぇ!?」


「って事はみんなで一緒に遊べるって事?それって最高じゃん!」


キーンコーンカーンコーン


そこで1時間目のチャイムが鳴る。北斗、棟方、雫石はまた後でと言って各々の席に戻って行った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜

瞬矢よ学校生活・昼


「おーい瞬矢、飯行こうぜ」


「おう、今行くー」


四時間目の世界史が終わり、お昼休みとなった。俺と北斗はよく一階の食堂で二人で食べている。あそこは通常より安く飲み物やお菓子を買う事が出来るし、Wi-Fiも飛んでるから休憩にはもってこいの場所なのだ。


「あっ瞬矢に三船、今日は一緒に食べようよ」


「私もお供させていただきます」


俺たちが教室を出ようとした時、棟方と雫石が呼び止めて来た。


「ああ、HHOか。いいね、俺も話したいと思ってたし」


「うっひょー!昼飯まで五宝の二人と一緒とか俺もう死んでもいいわ」


「なら一回死んどけ。お前なら5分もすれば生き返りそうだけどな」


俺たちは食堂に移動すると、窓際のまるまる一つ空いてたテーブルを確保した。その瞬間何故か食堂全体の視線が集まるが、これも良くあることなので無視。「周囲から神盾五宝が二人一緒とか激レアかよ」と言ったような声が聞こえて来るがそれらも無視。


「いやーやっぱり注目されるね楓ちゃんと瞬矢は」


「嬉しく無いけどな」


「ふふ、人に良く思われると言う事はそれ即ち自分達がそれほどに良い行いをしていると言う事ですよ早神君。光栄な事ではありませんか」


「うむうむ、瞬矢と違って雫石さんは大人だな」


「うっせ、ガキで悪かったな」


そんなやり取りをしながら俺たちはそれぞれの弁当を広げる。


「うおっ、雫石の弁当凄いな」


お昼が重箱に入った弁当とか初めて見たわ。


「早神君のお弁当は可愛らしいですね。妹さんがお作りになられたので?」


「まぁな。留美は弁当作るの上手いんだよな。おっ、棟方のも手作りか?意外に女の子らしいな。北斗のは……うん、普通」


「んっふっふっー♪このお弁当は私の力作よ!……って、意外って何よー!」


「うっせー普通でいいだろ!シンプルイズベストって言葉を知らんのか!」


雫石の弁当はまるでおせちのような中身で、棟方のは女の子らしいクマさんのキャラ弁、北斗のは弁当でイメージされるアレだ。俺?俺のも普通だけど、留美の手作りと言うだけで価値が跳ね上がる。シスコンで何が悪い!


「それでHHOの話なんだけどさ……」


「おや?これはこれは、我が校一の美少女と名高い早神瞬矢君ではないか」


「あれ?飛鳥先輩?珍しいですね先輩が食堂に来るなんて。後俺は男なんで美少女は止めて下さい」


「はっはっはっ!いや、すまない。君を見るとついな。何、実は今日は親がいなく弁当を作って貰ってなくてな。だからここで何かを買おうと思ったのだ」


そう言って飛鳥先輩は片方の手に持っていた買ったばかりのお弁当を上げて見せる。


この人は3年の斑鳩飛鳥先輩。俺が所属している風紀委員の委員長で、今代の生徒会長でもある。

美しい黒髪を背中に流し、切れ長の瞳に縁の黒い眼鏡を付けた美少女で、神盾五宝の一人に名を連ねている。


「飛鳥先輩、成績優秀で運動神経も抜群なのに料理だけはてんでダメですもんね」


「うむ、何故か私が作ると料理が爆発したり唐突に動き出したりするのだ」


「それ、人類の技術超えてるじゃない」


「不思議な事もあるものなのですね」


飛鳥先輩の料理下手は有名で、料理をすると兵器を作るとまで言われている。それは本人も自覚しており、風紀委員でも特に仲の良い俺に偶に料理を教えてくれと言ってきたりする。

一応その度にきちんと教えているのだが、俺と同じレシピで作った筈の料理が飛鳥先輩が作ると二階級特進料理になってしまう。不思議だ。


「まぁ折角だ、私も相伴させて貰おう。早神瞬矢君、隣失礼するよ」


そう言って俺の隣に腰掛ける飛鳥先輩。こうなると何故か毎回棟方と雫石は不機嫌になるのだ。


「むっ、斑鳩先輩はこっちです。ほら、男子と女子で分かれてるじゃない!」


「先輩、あまり殿方に悪戯をかけるのは良くありませんよ」


ほらな。


「はっはっはっ、細かい事は気にするな。私は瞬矢君が好きだから彼の隣に座るんだ」


「飛鳥先輩、あまり誤解を招くような言い方はしないでください」


飛鳥先輩はしょっちゅうこんな風に俺をからかって来る。正直飛鳥先輩みたいな美人にそんな風に言われると冗談でもドキッとしてしまうから止めて欲しい。


「やぁ兄さん。兄さんもここでお昼か?」


「こ、こんにちはお兄さん……」


現れたのは留美と留美の友達の雅華美(はなよ)ちゃんだった。

華美ちゃんは引っ込み思案な性格をしたいて、亜麻色の髪をツインテールにした童顔の小柄な女の子だ。留美と並ぶとその身長差は歴然で、留美より30センチ近くも小さい。その容姿はなんとも庇護欲を誘い、母性本能的な何かがくすぐられる感じがする。


「おう留美、ここは俺のお気に入りの場所だからな。折角だし留美もここで食ってけよ、華美ちゃんも遠慮しないでさ」


「ああ、そのつもりだ」


「は、はい!お邪魔しますぅ!」


俺が誘うと留美と華美ちゃんが向かいの席、棟方の隣に座った。つまりこれで神盾五宝が勢揃いした事になるな。一応全員が互いに顔見知り程度の関係はあるのでこの光景は極稀にだがあるんだ。まぁ全員が全員仲良しってわけでも無いので珍しい事ではあるのだが。


「やべぇ!五宝が勢揃いした!」


とまぁ、そうなるとこんな風に騒ぎ出す馬鹿がいるわけだ。


「うるさいわよ三船!どうせ私は五宝じゃないわよ!」


その馬鹿のセリフで棟方が拗ねる。まぁ、ぶっちゃけこうなると毎回起こる光景だ。


「まぁまぁ、そう拗ねるなって。棟方だって、留美や華美ちゃん、雫石や飛鳥先輩と並んでも見劣りはしないって。棟方は十分に可愛いって」


だからそれをフォローするのが俺の何時もの役目。


「馬、馬鹿///いきなりそう言う事言うのは止めてよね!恥ずかしいじゃない///」


「はっはっはっ!やはり君は実に面白いな瞬矢君よ!こんな可愛い見た目して実は天然ジゴロなんだもんな!」


「斑鳩先輩?殿方にそんな気安く肩を組んでは行けませんよ?」


「ひぃ!し、雫石さんが怖いよぉ……お兄さん助けてぇ……」


「兄さん、なんだこの面子は。全員兄さんに色目を使っているぞ」


「俺は天然ジゴロなんて大層な者じゃないですよ飛鳥先輩、雫石も落ち着いて。別にやましい事があるわけじゃないんだから。大丈夫だぞ華美ちゃん、留美も落ち着けって。棟方、お前もいつまでも照れてるなって変なこと言って悪かったよ」


「この超絶鈍感野郎」


この時ボソリと呟かれた北斗の声はうまく聞き取れなかった。


結局この後は場の収集に時間と手間がかかり、気付いたら昼休みが終わっていた。頑張ったけど最後まで女の子達の間では火花がバチバチと飛び交っており、俺は終始胃が痛くなる思いをした。

全く、どうして留美達はあんなに仲が悪いんだ。別に関係が悪いわけじゃないって言うのに。

結局最初の目的であったHHOの話も出来なかった。まぁ色々あって大変だったから仕方無いっちゃ仕方ないんだけどな。

取り敢えずこの話はまた後日にしよう。そう決めて俺は午後の授業に挑んだ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜〜〜〜〜


どうだろう、俺の学校生活は分かって貰えたかな?こんな感じで俺は神盾高校で過ごしている。なんだかんだで楽しい学校生活だろ?

この後は放課後、留美を連れてゲームセンターとかに行ったんだけどそこで偶然会った人達とまた一悶着あったりしたんだわ。まぁそれはまた別の機会に話すとしよう。


取り敢えずこれで番外編の俺の学校生活は終わりだ、みんな本編の方の俺の応援よろしく頼むな。

あ、その前に一つだけ質問させてくれ、何で棟方と雫石と留美と華美ちゃんと飛鳥先輩はよく揉めるんだろうな。いくら考えても俺には分からないんだよね。


それじゃあ俺はもうここら辺で失礼するよ。次回からはSecond Stageだ、楽しみにしていてくれよ!

番外編どうでしたか?これに出て来たキャラはSecond Stageでまた登場させる予定ですのでお気に入りのキャラがいましたら是非ともご期待ください!


蛇足ですが、五宝と棟方響子の胸のサイズをここに記します(作者歓喜)


順番は登場順

早神留美→83

棟方響子→90

雫石楓→79

斑鳩飛鳥→88

雅華美→73


おまけ

早神瞬矢→87

三船北斗→90

男のチェストって誰得でしょうね(笑)

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