21話 新たなスキル
アテナとウリエルのステータスにミスがあったので修正しました。スキルにあった「天魔従属」と「天使従属」は正しくは能力の方でした。惑わせてしまった方々、本当にごめんなさいm(_ _)m
後今回はかなり短いです
「うーん……ウリエルは基本的に後衛だからそれに特化させたいなぁ……」
俺はウリエルに覚えさせるスキルに悩みながらウィンドウに映るスキル欄を見ていた。
「攻撃は火炎魔法があれば十分だしなぁ……」
普通は火炎魔法のみだと火属性に耐性がある敵に苦戦するだろうが、そう言う相手は基本的に水辺のようなエリアに生息してる。だがそこはベルセルク独壇場だから元よりウリエルの出番は無いだろう。
「なら考えられるのは補助系統の魔法とかか?」
俺はウィンドウをスクロールして補助系統のスキルが載っている場所で動きを止める。
補助スキルに分類される物には回復や味方の強化や敵の弱体化。それに相手を状態異常にさせる系とか、なんかネタみたいな奴とかがある。その中でウリエルに覚えさせるとしたら回復系か状態異常系だろう。何故なら現状、俺の回復手段は道具しかない。だが戦闘中となると道具を使うのも中々辛いためもう一つくらいは回復手段が欲しいからだ。それと状態異常が欲しいのは俺の高いステータスも攻撃を当てられなければ無意味だからだ。今はまだ問題無いがいずれ素早さにだけに特化したモンスターや、通常の攻撃手段では中々ダメージが与えられ無いような特殊な敵が現れた時に攻撃が当たらなければ苦戦は免れ無い。だからそう言う敵の動きを止めたりする状態異常があれば倒す事も逃げる事もどちらも可能となる筈だ。
「うーん……よし、スキル枠には余裕があるしどっちもとっちまうか」
俺はそう考えて回復魔法と阻害魔法を取った。これでウリエルのスキル枠は残り二つ。能力はアイテムを使うか何やら特殊な条件を満たさないと通常は獲得出来無いので今回はパスだ。俺が能力である成長促進を覚えさせる事が出来たのは、最初の一回のみに適用される特別な処置によるものだからな。
「……ん?なんだこれ?天使魔法?」
俺は最後にと適当に流していると、スクロールの最後にポツンと天使魔法と言う物があった。分類的に種族スキルと言う物らしい。
「種族スキル?その種族限定のスキルって言う事か?」
確かにウリエルの種族は天使だけど、他のモンスターでも種族が天使なら皆このスキルを獲得出来ると言うことか?……とするとこれはプレイヤーで言う固有スキルみたいなものか。
取り敢えず残り二つのスキル枠の内の一つを消費して天使魔法と言うのを覚えさしてみた。天使と言う種族限定のスキルである以上、少なくとも弱くは無いだろう。どんな魔法があるのか実に楽しみだ。
「さて、次はベルセルクだな」
ウリエルの時と同じくベルセルクが獲得出来るスキル欄を開きながら下にスクロールして行く。
「ベルセルクはどちらかと言うと戦闘よりもフィールド探索に役立つスキルを覚えさせたいな」
と言うのもベルセルクは戦闘こそ可能だが、それ以上に現在の俺の足なのだ。その為戦闘で使えるようなスキルより移動速度を上昇させたり、早期に敵を察知したり出来る能力が欲しい。一応俺自身が全索敵と言うスキルを持ってはいるが、ベルセルクにはそれに特化したスキルを是非とも獲得して欲しいと思っている。
「なら覚えさせるスキルは強化魔法とサバイバルスキルかな……」
確認のため一番下までスクロールしたけど、ベルセルクにはまだ種族スキルは解放されていないらしく、スキル名の欄には???と書かれていた。
因みにフィールド探索に役立つスキルを覚えさせたいと言ったのに強化魔法を獲得したのはさっき考えたベルセルクと大型モンスターの殴り合いを割と真面目に見てみたいからである。必要とあれば防御を強化したり攻撃を強化したりする必要があるだろうからな。いや、勿論移動速度を上昇させる為のスキルも覚えるからと言うちゃんとした理由もあるよ?だから俺を馬鹿みたいに思うのは止めてくれ。……と、とにかくこれでベルセルクの残りスキル枠は五つ。ちょっと多く残り過ぎな感じがするな。
「そうだなぁ……後二つ程何か獲得させてみるか……」
俺はウィンドウの一番上からゆっくりとスクロールさせながら役立ちそうなスキルを一つ一つ見て行く。武器スキル、魔法スキル、戦闘スキル、補助スキル、探索スキル……色々とある中俺が選んだのは戦闘スキル「魔物体術」と探索スキル「直感」だ。
「魔物体術」はその名の通りモンスターが使う事が可能な体術スキルの事で、プレイヤーには覚える事が出来無い。つまりモンスター専用のスキルである。内容はその名が表す通り自身の肉体を使った戦闘を可能とするものなので、突撃役のベルセルクに丁度良い。
次に「直感」だが、これは「魔物体術」とは違い、プレイヤーでも獲得が可能なスキルだ。それを敢えてベルセルクに覚えさせたのは移動中とかにモンスターの気配をベルセルクの方でも察知出来るようになって貰い、俺の動きの自由度を高めるためである。俺の全索敵だけでは察知は出来ても、その時に俺が戦闘中とかだったらベルセルクに指示を出すのも厳しいかもしれないからな。戦闘中に別のモンスターが横からドーンって言うのは御免だし。
「取り敢えずベルセルクもこの辺りでいいかな……後は必要に応じてスキルを取ろう」
俺はベルセルクのスキルウィンドウを閉じて時計を確認した。
「スキル決めるのに意外と時間がかかったな……」
時計によると再び天魔ポーションが使えるようになるのは後5分後。正直この程度ならボーッとしてても潰せるのだが、折角だから俺も新たなスキルを取ろうと思う。
「俺の空きスロットは……うわっ、めっちゃあるじゃん」
俺の空きスロットは現在7。今までは最初に選んだスキルの他に固有スキルや固有能力だけで戦い、それでいて普通に戦えていたため、新たなスキルを取る必要性が感じられなかったのだ。
そして今。俺の手許にはスキル獲得チケットが30枚近くある。全てカオスナイト達のレアドロップとして獲得した物だ。
「……今更ながらLUCKカンストって凄いな。まさか通常のドロップ率1/100のレアドロップが1/3で落ちるようになるまで上がるとは…」
俺達が戦ったカオスナイト達は全て合わせて約100体程だった。正確に数えたわけでは無いので正しいかは分からないがまぁ、多分そのくらいはいたと思う。
「さてさて、何を覚えようか……」
俺の戦闘スタイルは二刀流と天魔の高ステータスを活かした高速戦闘。なら当然それに活かせるスキルが望ましい。と、なると……
「戦闘スキルの「体術」と「瞬歩」がいいかな」
戦闘スキルの「体術」はプレイヤーが使える方の体術で、同じ体術でも魔物体術とはまた違う動きが出来る。一応リアルでも体術の経験はあるし、剣だけでの戦闘より変則的な攻撃が出来るようになるから対人戦とかで役立つと思う。β時代にも対人戦のイベントはあったし。
んで、次が同じく戦闘スキルの「瞬歩」って言うスキル。「瞬歩」には縮地や豪脚のような足を扱うスキルが多くあるのだが、これを使う事で瞬間移動みたいな動きが出来たり、蹴りで自身より巨大な敵をぶっ飛ばすと言ったロマンが出来るようになる。多分数多のスキルがあるHHOでもかなり人気のスキルだと思うなこれは。
まぁ、俺がこのスキルを選んだ理由はロマンもあるが、それよりも俺の戦闘スタイルとかなりマッチしているからで、俺が使うと高速戦闘が超高速戦闘に様変わりするのだ。デメリットを上げるなら一つ一つの戦技で消費するスタミナが馬鹿げているって事だが、そこは天魔のアドバンテージのスタミナ無限。これにより俺の戦闘スタイルに合ってる上に、デメリットが無くなると言う素晴らしい結果となるのだ。うん、暫くはこのスキルの熟練度を上げるのに集中しなくてはならないな。
「おし、そろそろ探索を開始しようかな」
スキルを獲得した俺はアイテムの確認を行い、天魔ポーションのクールタイムが終わっているのを確認した。
「うーん……体力とMPの回復量はまだ7〜8割ってところか……ま、探索中に回復するだろ」
俺はそう考える事にして今までいた部屋を出る。
この部屋の奥には一つの大きな扉があり、さっきまでは閉まっていたのだがカオスナイト達を全滅させたら自然と開いた。多分奥に進めと言う事なのだろう。
「鬼が出るか蛇が出るか……くくっ、楽しみだ」
恐らくこのステージでは雑魚だろうと思われるカオスナイト達のレベルの高さを考えると、この後に出て来る敵はもっと強いだろう。だがそれで良い。俺のプレイヤースキルが格上相手にどこまで通じるか……それを確かめる絶好の機会だ!
因みにステータスの【】で区切られているのは種族の固有能力及び固有スキルです。使い魔の場合はそれに加えて元より持っている能力及びスキルを【】で区切っています。【】で区切られているのはスキル枠や能力枠を消費しません。
今話が余りにも短いので本日中にもう一話投稿したと思ってます




