20話 終わりとステータス確認
お久です!新作「龍王様の迷宮探索記」の休憩に投稿です!
「オラァ!」
「ハァッ!」
「ゴアアアアッ!」
パリーンパリーンとモンスター達がポリゴン片になって行く音が次々に響く。
「オオオォォオォオ!」
それに伴い聞こえるモンスターの咆哮も徐々に小さくなって行く。実際既に半数以上の敵が消している。
「『カオスブレイク』」
「オオォ……」
俺の放った魔法によりまた一人敵が倒れる。とは言えこちらにも被害は相応に出ている。召喚した天使や悪魔の数も既に召喚時の4割を切っている数も質も相手より劣る俺達は、ここに来てじわじわと追い込まれて行っている。
「ちぃっ!」
今も俺が斬りかかってきたカオスナイトの剣を天使の剣で受けていた時、カオスファイターの拳で一人の天使が消滅し、2体のカオスマジシャンによる魔法の連続攻撃を浴びて悪魔も一人消滅した。
「ああ、もう邪魔!」
俺は受け止めていた剣をもう片方の手に持っていた悪魔の剣で弾き飛ばし、体制を崩した隙を突き体を一回転させて斬り払う、所謂回転斬りでカオスナイトと背後から接近して来ていたカオスファイターを倒した。それに伴い脳内に響くレベルアップ音。だがそれに構っている暇等あるわけも無く、遠方から飛んで来た複数の魔法を左右にサイドステップする事で回避する。
「ウリエル!魔法でカオスマジシャンとカオスプリーストを倒せ!邪魔なカオスナイト達は俺が引き受ける!」
「了解!」
それを合図に俺は一気に走り、近くにいたカオスナイトに斬撃を浴びせる。それでも減らせたのはたったの2割。だがそんなのさっきから嫌って程思い知っている。だから俺はそのまま攻撃の手を休めずにカオスナイトと相対する。
「おらっ!」
カオスナイトが大きく斬り払って来た瞬間、軽く跳躍し剣の上に着地。それと同時に天使の剣と悪魔の剣を逆手に持ち替え、回転を加えて連続で斬り付ける。それによりカオスナイトの体力は残り3割を切り、振り下ろされる剣を逆手から再び元の持ち方に戻しながらパリィする。
「『ダブルスラッシュ』」
そしてそのまま戦技を発動させて残りのHPを全て消し飛ばす。
「『フレイム・ピラー』」
その直後、背後から頼りになる使い魔の声が聞こえ、それに遅れて大きな炎が少し先にいたカオスプリーストに直撃。そのHPを3割程度吹き飛ばす。
どうもカオスプリーストはカオスマジシャンと違い魔法に対する耐性が高いらしく、カオスマジシャンなら4割は削れるのだがカオスプリーストでは3割が精々であった。だがそんなの関係無い。つまりは俺が接近する時間さえ稼げれば良いのだから。
「『クロスエッジ』」
炎に包まれるカオスプリーストに接近した俺はクロスエッジを叩き込む。それによりカオスプリーストはHPを全て失い、ポリゴン片へと姿を変える。そう、幾ら魔法耐性が高くても所詮は魔法職。高い攻撃力を持つ俺の戦技に耐える体力や防御力は無い。
「次っ!」
俺はカオスプリーストを倒したついでに、隣で魔法を放とうとしていたカオスマジシャンに踊り掛かる。素早く振り切られた俺の剣はカオスマジシャンの首に吸い込まれて行き、そのまま首を斬り飛ばす。
生物系及び、人型系のモンスター共通のデッドポイントである首を的確に捉えた一撃にカオスマジシャンは満タンだったHPの全てを失い、カオスプリーストと同様にポリゴン片へと変わって行く。
「敵の数も減って来た!天使、悪魔は悪魔を盾に天使二人で魔法を放て!悪魔は自己強化魔法で盾に尽くすんだ!余った場合は天使はウリエルの補助!悪魔は適当にチームに入って盾と攻撃をやれ!」
「「「御意!」」」
俺の指示に残り30体程度になった天使と悪魔は肯定の意を示し直ぐに固まる。余った天使や悪魔も指示通りにウリエルの補助や他のチームに入って行った。
「ベルセルク!お前は俺と来い!」
「ゴオッ!」
少し離れた所でカオスファイターと戦っていたベルセルクは丁度繰り出された拳での攻撃を強靭な鱗で受け止め、反撃とばかりに放つ尻尾でカオスファイターを吹き飛ばし、連続ブレスを放ちカオスファイターをHPを全て消し飛ばすと、俺の指示に従って俺の元へと戻って来た。
「良くやったぞベルセルク!お前の攻撃力の高さは知ってたけどまさか単体でカオスファイターを倒すまでとは思わなかったぞ!」
もしかしてこの戦闘で上がったレベルの恩恵かな?どうにしろ攻撃力だけならベルセルクはもう俺に近くなっているかもな。
「これは負けちゃいられないな……」
「ゴオ?」
どうしたの?と言ってるように首を傾げるベルセルク。残念ながらその顔には可愛さの欠片も無く、寧ろワイルドさが滲み出ている。
「なんでもない。行くぞ!」
「ゴォ、オ!」
俺は苦笑しながら、ポンポンとベルセルクの頭を叩く。そして次の瞬間には脳を戦闘モード(?)に切り替えて敵を見据える。
(残りは……大体30体程度か……数としてはほぼ互角だが、レベルとか能力の質は相手の方が圧倒的に劣るな……)
ウリエルやベルセルクも強くはなっているがまだレベル60超えの敵を相手するには心許ない……なら俺が切り開くしか無いだろう!
俺はベルセルクに飛び乗り武器を構える。
「行けベルセルク!より多くの敵を捉えるように走れ!ウリエルは魔法で俺を援護しろ!」
「ゴオッ!」
「はい!」
ベルセルクは走り出す。
「行くぞオラァ!」
俺はヤンキー染みた声を上げながら両手に持った天使の剣と悪魔の剣を振るう。それにより運悪く近くにいた最後のカオスプリーストが倒れる。
「オオオォォオォオ!」
無用心に突撃して来る俺に残ったモンスター達が一斉に反応する。カオスナイト達は盾を構えながら前へ出て、カオスマジシャンは魔法を放って来る。カオスファイターはいざという時に備えて拳に強化魔法を掛けこちらを迎え討たんとする。普通に考えればここに突撃するのは明らかに無謀。
ーーだが構うものか!
「ゲームなんて楽しんでなんぼだろうが!」
遂に激突!ベルセルクの突撃の勢いを乗せた俺の剣はぶつかり合ったカオスナイトを軽々と吹き飛ばす。
「ウリエルとウリエルを補佐する者以外は俺に続け!敵を殲滅するぞ!」
「「「「応っ!!」」」」
俺の鼓舞に天使と悪魔声を張り上げて敵に踊り掛かる。
ぶつかり合う両陣営。天使と悪魔はチームを組み一体一体確実倒して行く。
「『カオスブレイク』」
俺も魔法を放ち敵を散らし、仲間内から離れた敵を一太刀の元に倒して行く。敵より飛ぶ魔法はウリエルと天使達が撃ち落としてくれる。どうしても避けられなそうな攻撃は悪魔
が盾になってくれる。なら俺は信じて進むだけだ!
「お前が最後だ」
「オオ!」
最後まで残ったのはカオスナイト。俺の体力は残り3割を切り、天魔ポーションも使ってしまっている。対する相手も残りの体力は5割を切りHPはイエローゾーンにまで突入している。
「はぁっ!」
俺は一瞬でカオスナイトに肉薄する。カオスナイトはそんな俺の急速な動きに付いて行けず、体制を崩した。
俺はそんなカオスナイトの剣を天使の剣で弾き飛ばし、盾を悪魔の剣で弾き飛ばす。
「止めだ!『クロスエッジ』『グランドクロス』!」
丸腰になったカオスナイトは衝撃で大きく仰け反り大きな隙を作り出す。そしてそこに叩き込むはクロスエッジとグランドクロスのスキルチェイン。これによりカオスナイトは残ったHPを全て失い、光の粒子になって消えて行く。それと同時に鳴り響くレベルアップを知らせる音。
「終わっ、た……」
それを見届けた俺は思わずそのまま倒れ込む。周りを見ると最早残っているのはウリエルとベルセルク。それに一つの天使と悪魔のチームにウリエルの補佐をしていた天使三体のみであった。
「はぁ、はぁ……疲れた……。お前達もご苦労さん。帰ってゆっくりしてくれ」
俺は残った天使と悪魔を還し、続いてウリエルとベルセルクの召喚も解除した。少し名残惜しそうな様子を見せる2人の使い魔に俺は苦笑を漏らして見送った。
***
「だーーーっ!つっかれたーーー!」
俺一人しかいなくなった部屋の中央で俺は背中から大きく倒れる。あれだけのモンスターがそう簡単に湧くとは思え無いーーと言うか思いたくないーーが、一応武器は近くに置いておく。
「ここってなんなんだろうな」
俺は辺りをぐるりと見渡してから呟いた。
実際、あのレベルのモンスターが出現するのは第二の街のフィールドでも稀。恐らく第三の街のフィールドに出現するレベルだろう。
「まぁいっか……取り敢えず天魔ポーションが回復するまでは後40分程度あるしその間に上がったレベルの確認とかでもしとくか……」
まだまだ続く様子のこの遺跡。この先に何があるか分からないのだから切り札は何時でも切れるようにしておかなくてはならない。
俺はメニューから使い魔の欄をタップし、そこに表示されている二つの名前を順にタップして行く。
ーーーーーーーーーー
名前:ウリエル(使い魔)
種族:天使
レベル:45
武器:大天使の細剣
防具:大天使の法衣・大天使のズボン
装飾:大天使の指輪→(詠唱破棄)
HP:284/710
MP:120/770
STM:220/860
STR:390(60)
VIT:220(140)
INT:650(70)
SAN:450
AGI:580(120)
LUCK:180
能力:【「天翼生成」「神眼」「天使従属」】「成長促進」
スキル:【「火炎魔法」「細剣術」】「魔力強化」
称号:「守護天使」「天魔の僕」
ーーーーーーーーーー
「ほう……」
ウリエルのステータスを見て思わず感心の声を漏らしてしまう。これは中々化けたものだ。
「成長促進が発揮されたんだろうな」
俺は自身の判断が間違っていなかったことを確信して思わず笑みを浮かべてしまう。
ウリエルのステータスはスティンガー・ビートルに挑んだ時と比べて20も上がっていた。だがステータスの伸びはレベル以上になっている。
普通のオンラインゲームはオンラインゲームの性質上にレベルが倍になってもステータスの数値はーーレベルにもよるがーー精々1.5倍程度だろう。だがウリエルのステータスはレベルが倍になったわけでもないのに殆どが1.7〜1.8倍程度になっている。それを成すための能力が俺とウリエルとベルセルクが全員持つ能力、【成長促進】だ。
これはレベルアップ時に上がるステータス上昇させるパッシブ能力であり、パーティ内にいる限り効果が重複する。それを利用して俺達がレベルアップする際に上がるステータスを2〜5×3の6〜15にさせた。これにより俺達のステータスの上がりは尋常じゃないものとなったのだ。これはレベルアップする存在の特徴に依存するらしく、ウリエルの場合は特にVITが弱いので成長促進をしても余りVITは大して上がらない。逆にウリエルのAGIの場合は伸びは良いが成長に連れ上がりが少なくなっていタイプであるため数値的には高くとも上がり幅は大した事が無いのだ。
「それに進化武器や進化防具も進化したのか。天使の〜となっていたのが大天使の〜となっているし」
それと同じくスキルも剣術が細剣術に変化している。これは武器が細剣として特化したために生じた変化だと思う。まぁウリエルは基本的には後衛をやって貰うつもりだし細剣術を披露する機会はあまり無いだろう。
「さて、次行くか」
ーーーーーーーーーー
名前:ベルセルク
種族:デビルアリゲーター・ドラゴ
LV:40
武器:なし
防具:なし
装飾:なし
HP:172/1020
MP:90/320
STM:128/580
STR:700
VIT:290
INT:190
SAN:310
AGI:460
LUCK:150
能力:【「水棲」「咆哮」「水圧ブレス」】「成長促進」
スキル:なし
称号:「ユニークモンスター」「天魔の僕」
ーーーーーーーーーー
「やっぱり攻撃が化けたな……」
戦闘中にベルセルクの攻撃の高さは知っていたけど、改めて数字を見ると舌を巻かざるを得ないな。それにHPとVITの伸びも良い。特にHPは早くも4桁になってるし。だけどそれ以上にVITの伸びの大きさには驚いたな。ベルセルクはVITが低いのが難点で高い攻撃力を中々活かせなかったが、この調子でVITが伸びて行けば長時間の殴り合いも出来るようになるかも知れない。……デビルアリゲーター・ドラゴと他の大型モンスターの殴り合い……ちょっと見てみたい気がしなくもない。いつかやらせてみようか。
「ま、ウリエルもベルセルクもLUCKの伸びの悪さは仕方無いか……」
LUCKはそもそもそう言う種族では無い限りレベルアップで上昇する値が低いのはしょうがない。LUCKは2〜3レベル上がって漸く1〜2程度しか上昇しないからこの伸びが悪いのは当たり前だろう。寧ろ成長促進の効果で通常より多く上がっているのだから文句は無い。
「ウリエルもベルセルクもレベルが40超えてるし、そろそろ新しいスキルや能力を獲得させないとな」
そうするとどんなスキルを覚えさせれば良いのだろうか……
使い魔やプレイヤーはレベルが10上がるごとに一つスキル枠が解放される。そして最大で10個まで拡張され、それ以降はアイテムが必要となって来ると言うのがこのHHOの仕様だ。プレイヤーは最初5つのスキル枠を持っており、使い魔は3つ持っている。能力も同じだ。因みに俺はスキル枠は既に10を超えている。レベルアップでスキル枠が拡張されるレベル帯でもスキル枠拡張チケットで拡張したスキル枠は別枠となるらしいので問題無くスキル枠は残っている。能力もまた然り。
「さて、と次は俺のステータスでも確認しようかね」
俺は自身のステータスを確認する画面を開いた。
ーーーーーーーーーー
名前:アテナ
種族:天魔 (進化可能)
LV:53
武器:大天使の剣・大悪魔の剣
防具:天魔のハット・天魔のコート・天魔の籠手・天魔のズボン
装飾:天魔のネックレス・大天使の指輪・大悪魔の指輪
HP:226/1300
MP:320/1020
STM:無限
STR:850(240)
VIT:540(145)
INT:800(85)
SAN:610(110)
AGI:1125(135)
LUCK:999,999(カンスト)
能力:【「天魔翼生成」「天魔従属」「大魔神化」「大神化」「天魔の瞳」「制限破壊】「成長促進」
スキル:【「天魔創造」「森羅万象」「混沌魔法」】「スカイウォーク」「全索敵」「テイム」「二刀流」「魔力強化」「
称号:「運に愛されし者」「天地統べる者」「ヘルプに好かれし者+2」
ーーーーーーーーーー
「おぉ!進化可能になってる!」
ステータスは色々とかなり高くなっているのだが、それよりも種族のところにある進化可能の文字が何よりも嬉しい。
進化とはその名の通り種族的に上位の存在になるシステムの事だ。詳しい事は進化する時に説明するとして、とにかく強くなれると言う事を理解してくれれば良いだろう。
「確か進化する為の場所は第二の街にある『進化の泉』って場所だったよな……確かあそこってフィールド内にあるって書いてあったっけ」
β時代のwikiによると進化の泉は第二の街近辺のフィールドの静寂の大森林に存在するらしい。取り敢えずこの街の最後のフィールドボスを倒したら真っ先に向かうとしよう。
「……ん?魔神化と神化が大魔神化と大神化になってる。それに良く見たら武器も大天使の剣と大悪魔の剣になってる。そう言えばこれらも進化能力や進化武具だったな」
それに天使の指輪と悪魔の指輪も大天使の指輪と大悪魔の指輪になってるし。……まぁ詠唱破棄が2個あっても無意味だしどっちかアイギスにあげるか。魔天龍が装備出来るかは不明だが多分大丈夫だろう。
正直神化も魔神化も一切使って無いから進化したとしてどうなるとか分から無いから何とも言え無いが……まぁ悪い事は無いだろうし放って置いても大丈夫だろう。
因みに進化して大天使の剣と大悪魔の剣となった天使の剣と悪魔の剣は見た目こそあまり変わっていなかったけど、良く見たら剣の刀身にそれぞれ別の複雑な紋様が浮かんでいた。
「さて、確認は終わったが回復までの時間はまだ30分近くあるな……スキルでも獲得するか?」
さてさて、ウリエルのベルセルクには何を覚えさせようかね。
主人公のステータスは北のボスが終わるまで公開しないつもりだったんですが、急遽ここで公開です。




