2話 種族とスキル
午前11時55分。俺は自室のベットでログインの準備完了させ、その時を待っていた。
「後5分……時間よ早く来い!」
時間とは待ち遠しいと感じる時に限って長く感じるものだ。俺はもう何時間も待ってる様に感じていた。実際はまだ5分も経っていないのだが……。
「11時59分30秒!29…28…27…………10…9…8…7………3…2…1!フルダイブ・リンクオン!」
先程と同じ様に真っ白な空間に降り立つと、今度は近くに鏡があったので、自分の姿を改めて見る。
「うーん……やっぱり女っぽいなぁ……ま、いっか。それより早く種族を決めたい!」
俺がそう叫んだと同時に、先程と同じ無機質な声が聞こえて来た。
《ようこそHeaven&Hell Online通称HHOへ。こちらでは本格稼働したHHO内での種族、スキルを決定します。》
おお!遂に種族決めだ!確か人間、エルフ、獣人、竜人、ドワーフ、妖精、ランダムがあるんだったな……。
このゲームは種族が決定した後で、天国・地獄の二つにランダムで均等に所属させられ、定期的に開催されるイベントである天地戦争等でのチームとなる。まぁ兄弟や家族等で脳波が酷似してる場合は基本的に同じチームに分配される、という機能もあるようだ。ま、俺には妹がいるけど、妹はこうゆうのには興味無さそうだし、俺には関係の無い機能だな。
《それでは種族を決めます。人間、エルフ、獣人、竜人、ドワーフ、妖精、ランダムから決めて下さい。》
確か人間は全てのステータスがバランス良くて、エルフは魔法力と魔法耐性、それにLUCKが高くて、逆に物理攻撃力と物理防御が低い後衛タイプだったな……。獣人はエルフと真逆で、魔法攻撃力と魔法耐性が低くて、物理攻撃力が高くて素早いんだっけ。んで竜人は成長すると固有能力である「竜翼」で空が飛べるんだっけ……その代わりにレベルが上がるのが遅くて成長し辛いという欠点を持つんだったな。ドワーフは力が馬鹿みたいに高い代わりにかなりと鈍足という極端な種族だったはずだ。でも種族補正で生産系の能力の上がりが早く、前衛もこなせるし、生産も可能という万能性を持つ種族だっけ。最後の妖精はエルフの補助版と言った所か。ステータス値はエルフと余り変わらないが、覚えるスキルは補助に徹した物が多いらしい。
俺が選ぶのは勿論ランダムだ。これは一つのアカウントにつき一回限りの選択肢であり、レア種族が出る可能性があるという魅力が有る。確か以前見たwikiでは、判明しているのが「天使」と「悪魔」だ。それ以外にも有るらしいが、どんなものかはまだ不明らしい。
「ランダムで頼む」
そう言った途端、俺のアバターは光に包まれ、それが消えた後に残ったのは、初めて見る姿の自分だった。
具体的に言うと、俺の背中から天使の羽を連想させる白銀に輝く翼に、地獄の悪魔を思わせる漆黒の翼が、左右に二対四枚の翼が生えている。それに何かオッドアイの片目に魔法陣みたいのが存在してた。
「レア種族みたいだが、何だこれは?天使でも悪魔でも無いな……」
俺が疑問に思ったその時、あの無機質の声が響き、説明をしてくれた。
《おめでとう御座います。レア種族「天魔」に決定されました。レア種族を引いた為、その種族固有の能力が与えられます。》
無機質な声がそう言った途端、俺の頭に同じような無機質な声が響いた。
『天魔固有能力「天魔翼生成」を獲得しました。』『天魔固有能力「魔神化」を獲得しました。』『天魔固有能力「神化」を獲得しました。』『天魔固有能力「神魔眼」を獲得しました。」『天魔固有スキル「天魔創造」を獲得しました。』『天魔固有スキル「森羅万象」を獲得しました。』『天魔固有スキル「天魔従属」を獲得しました。』『「特殊称号:運に愛されし者」を獲得しました。』『「特殊称号:天地統べる者」を獲得しました。』
何かすごいたくさん貰ったんですけど……
それにしても天魔か……多分これが判明して無かったレア種族の一つ何だろうが、とにかく凄いな……。
《レア種族を獲得されたのでレア種族限定チュートリアル天魔を受ける事が可能です。チュートリアル天魔を受けますか?》
ほう、チュートリアル何てやってくれるのか助かるな。こんな能力、使い所間違えたらマズイからな。
俺は迷わずチュートリアルを受ける事を承諾した。
《了解しました。ではあちらの扉にお進み下さい。そちらでチュートリアルを受けた後、チュートリアル達成報酬として、その種族専用の装備または能力を贈らせて頂きます。》
えっ!?報酬貰えるの!?受けて良かった〜!
オンラインゲームでは、初期に何かしら報酬を貰えるのは正直かなり助かる。装備だったら狩りが楽になるし、能力やスキルでも戦略が広がるので、結果的には戦闘が楽になる。
「分かった。確かお前はこの後ヘルプとして機能するんだよな?また助けになるかもしれないから、その時は宜しくな」
《はいお任せ下さいアテナ様。》
その声は何故か感情が篭っている気がして何か嬉しくなった。NPCもAIを搭載してる時点でもう人と変わらないんだなと深く思った。
ピローン♪
『「隠し称号:ヘルプに好かれし者」を獲得しまし。』
おおぅ……まさかこんな所で称号が手に入るなんて驚いた……でもこれってヘルプに好かれたから来た称号だよな……何か嬉しいな。
「称号ありがとう。じゃあ俺は行くからまたよろしくな」
嬉しくなったのでヘルプにそう言ってから、チュートリアル天魔の扉を潜る。
《HHOの世界をお楽しみ下さい。》
最後にヘルプはそう言って消えた。
さて、と俺もチュートリアルをさっさと終わらせて早く遊ぼっと♪
第二話はどうでしたか?何か変な所があったら指摘してくださると嬉しいです。