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第6夜:甘い午後
突き抜けるようなイタリアの青い空に、柔らかなオレンジ色のグラデーションの緞帳が降り始める。
女友達が夕日がよく見える石畳の丘でお菓子を食べましょうと誘って来た。
私はまた彼女ご自慢のパテシィエの彼氏の試作品を食べさせられるのだろうと思っていたが、お菓子は好きなので快く承諾した。
灰色の石畳の広場に真っ白なガーデンパラソルがあり、その下には丸くて白いプラスチックの簡易テーブルがあった。そこに彼女の恋人の試作品が籐の籠の中に詰まっていた。
今度の試作品はマシュマロのようだ。小さなマシュマロから、女性の指くらいの細くて長いマシュマロまで沢山だ。そのマシュマロ全てに、色とりどりの色付きの砂糖のデコレーションがかかっていた。
私はマシュマロを幾つか頬張っていると、彼女が
「さぁ、シャンパンを開けましょう!」
と言って、グラスとキンキンに冷えたシャンパンを持ってきた。甘いお菓子にコーヒーや紅茶もいいけど、辛口のシャンパンもいい!
妬けるような恋人たちの甘い関係と、甘いお菓子に乾杯。
シャンパングラスの中はオレンジ色に染まっていた。