この世界は確かに絶望するはずだった
「おかしいわね」
ポツリ、少女は呟く
足元にはその華奢な姿には似合わぬ程の沢山の屍
「全部、排除した筈なのに」
「…そん中には俺とお前の友達も入ってんだろ‥?」
「それだけじゃないわ、アンタも入ってんの」
瞳は虚空を見る
風に靡く髪は血に濡れ体を震わす
「俺を倒せんの?志乃。」
「‥ッ?! アンタ、嘗めんじゃないわよ…!」
「正直に言っただけだろ、お前には俺は倒せやしないよ」
「雪子や西屋君だって殺せた! 私に敵は居ないの。妖怪風情が粋がるんじゃないわよ」
自分すら殺してるのに、俺が殺せる筈が無いのに気付かない哀れな子
雨の匂いがした気がした
「じゃあさ、お前は知ってたの? あいつ等が━━」
"この世界は確かに絶望するはずだった"
(━お前の事を救いたいと心から願ってたこと)
嗚呼、君の心が泣いていた