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菫姫による紫の悪魔のための理想論
あぁ、そうか。
私が……変えればいいのか。
姫は、立ち上がりました。
独りで閉じこもっていた部屋から、飛び出しました。
世界は変えられなくても、この国だけでも変えよう。
国民達の心を変えよう。
自らと違うモノを拒絶する、人々の意識を変えてみせよう。
全てのモノを許容し、受け容れ、共存できる。
そんな国に変えてみせよう。
どんなヒトでも一緒に笑える国に。
なにがあろうと諦めない。
どんなに時間がかかっても構わない。
ただ誤解され、恐れられたムラサキとでも、一緒に生きられるような国に……変えてみせる。
きっと、私の代では変わらないだろう。
人の心はすぐに変わるものではないから。
だから、年月をかけて少しずつ。
私の子どもが、孫が、またその子どもが……。
紡がれ続ける歴史の中で、少しずつ国民達の心を変えていけば、いつかきっと。
――誰であろうとも、一緒に笑って暮らせる国になる。
それは、理想論でしょう。
そして、途方も無い年月を要する計画でしょう。
常識となってしまった『非常識』を根本から変える。
人種も種族もヒト在らざるものも関係なく、良き隣人として受け入れられるように。
そんな国を、つくろう。
――と、姫は考えたのです。
逝ってしまった、ムラサキの為に。
菫色の瞳をもらった姫は、いつしか菫姫と呼ばれていました。




