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事の始まり。

 桜舞い散る四月。世に言う出会いと進級の季節。僕も例に漏れず進級しまして、大学に進級しました。

 自己紹介がまだでした。僕、原田悟(はらださとる)って言います。武智(たけち)大学文学部国際科、ピッカピカの一年生です。

 入学式が終わった今、僕の楽しいキャンパスライフが始ま……

 『校内にいる、法学部 法律学科の雪村葵(ゆきむらあおい)、教養学部 国際科の原田悟、情報通信学部 通信ネットワーク工学科の六条創也(ろくじょうそうや)、政治経済学部 経営学科の五十嵐拓翔(いがらしたくと)、以下四名は事務室へ来てください』

 ……僕、何かしたかな? マイキャンパスライフ、前途多難。


 広いキャンパスで迷子になりかけ、新入生歓迎の上級生にもまれ、やっとの思いで公共棟の事務室にたどり着く。

 ノックをしつつ、「呼ばれて来ました、原田です」と言うと、「入ってー」との声が中から聞こえてきた。

 「失礼しまーす」

 中に入ると、事務の人(らしき人)と、その隣に僕の他に呼ばれたであろう、中学生でも通用なくらい小柄な男子が立っていた。僕が軽く会釈すると、ニコニコ笑いながら「はじめまして」と言ってきたので、僕もそう返した。

 「原田君、今日は君の住む寮のことで話があってね」

 事務の人がにこやかに話しかけてくる。

 「何回も説明するのが面倒だから、六条君と五十嵐君が来るまでそこで待っててね」

 と言いつながら、事務室の隅にあるソファーを指さした。

 遠慮せずに僕ともう一人の人はソファーに座ると、早速そいつは話しかけてきた。

 「原田君、って言ったよね。俺、法学部法律学科一年の雪村蒼輝(ゆきむらあおき)。よろしくな! 」

 ん……? 名乗られた名前に僕はちょっとした引っ掛かりを覚える。なんだろう……例えるなら、家族は家に居るから心配ないけどヤカンの火消したっけ? くらいの引っ掛かり。なんでだろう。

 「原田君、どしたの? 」

 どうやら長いこと考え込んでしまったみたいだ。

 「ん、なんでもない。あ、僕は原田悟。教養学部国際科の一年だよ。こちらこそよろしくね。えーっと……なんて呼べばいい? 」

 「蒼輝でいいよ」

 ニコニコ笑いながら答える。ってか、さっきからずっと笑顔だ。なんとなく笑顔がテンプレで顔に張り付いてるみたいな感じだ。まぁ、ウソ臭くはないけど。

 「じゃあ、僕も悟でいいよ。蒼輝、改めてよろしく」

 「うん! 」

 あ、なんか笑い方変わった。なんか花が綻ぶってか、(男子に使うのは悪いかもしれないけど)女子が可愛い物を前にした時みたいな、そこだけ春の日差しが差してるみたいな。小柄なのと、瞳が大きくて睫毛長くて、童顔。まぁぶっちゃけると女顔なのが相俟って、本当に女子みたいだ。

 って、いくら中高男子校で耐性が無いからとはいえ、男子の笑顔で高鳴るな僕の胸。心拍数上がるな僕の心臓! 大学入って、何か新しい扉を開こうかと思ったけど、そんな新世界は嫌だ!

 「どうした? 悟、なんか顔赤いぞ」

 「うん……なんでもない」

 その時、ノック音が聞こえると同時に、ドアが開く。そこには、長身で、なんとなくチャラそうな印象を受ける人と、その人の陰に隠れる様に、もう一人立っていた。

 「どーもー、五十嵐ですー」

 そう言いつつ、チャラそうな人が部屋の中に入ってくる。

 「六条……創也です」

 どうやら、二人とも他に呼ばれた人だったらしい。

 「あー、四人とも揃ったね。原田君たちもこっちに」

 事務の人の元に行くと、早速事務の人は喋りだした。

 「さて、今日呼び出したのは、君達の寮の事でね、ここ最近は寮住まいじゃなくて、一人暮らしの人が多かったし、少子化の時代で寮も小規模化してたんだけど、今年は沢山希望者が出てね、定員からはみ出た人数で、申し込みが遅かったのが、君達なんだ」

 ……。つまり、

 「僕達は、住む所がないってことですか? ! 」

 思わず叫んでしまったけど、無理もないよね?だって、宿無しだよ……?

 「いや、そう言う訳じゃなくてね、」

 事務員さんは慌てたように弁解する。

 「昔使ってた下宿があってね、そこの管理が手に余ってたんだ。そこに住んでくれたら、バイト代+光熱費、食料費は学校負担。部屋は寮より小さいけど、寮住まいよりはお金も掛からないし、割りは良いと思うけど、どう? 」

 「俺、やります! 」

 蒼輝が即決する。

 「蒼輝、そんな即決でいいの? 」

 僕が聞くと、「うち、九人兄弟で貧乏だから、少しでも安く済む方が良いし」と、照れ臭そうに笑う。ってか九人兄弟って相当だよね。

 「俺も、それがいいや。そこまで安く上がるならバイトも少なくなって万々歳だし」

 五十嵐君も提案に乗る。

 「僕も……それでいいです」

 六条君もいいようだ。

 「じゃあ、雪村君と五十嵐君、六条君はOKね。原田君はどうする? 」

 まぁ、よく考えなくても、悪い話じゃない。

 「僕もやります! 」


 こうして、僕の大学生活は始まった。

やーっと始められました、新連載。

タイトルは好きなマンガに因み、なんとなくつけました。和訳はしないでください。


そのうち、タグが一個増えます。ネタバレになるのでつけませんが。


あとは、雪村の名前は間違ってません。そして、一番最初についてたのに座って無かった所がポイントです。

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