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テンプレをぶち破れ、エゴイストがクソみたいな神を殴り倒して世界をひっくり返すまで。  作者: 強炭酸
最終章 夜明けの頂上決戦

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71話 善vsシリュウ

 空が揺れた。


「《ホーリーレイン》」


 シリュウの詠唱と同時に、無数の光の刃が降り注ぐ。

 隷属紋解放状態――その一撃一撃が、もはや“雨”ではない。

 殺意を伴った、神罰の奔流だ。


「……っ!!」


 善は歯を食いしばり、瞬時に展開する。


「《空間布石陣》!」


 張り巡らされた糸が、空間に見えない導線を描く。

 降り注ぐ聖光は、糸に触れた瞬間わずかに軌道を変え、速度を削がれる。

 直撃を避け、致命傷をずらし、紙一重で凌ぐ。


 皮膚をかすめる光が、灼けるように熱い。

 空気が焦げ、耳鳴りが残る。


「……やるようになったな」


 シリュウの声は低く、しかし確かに楽しげだった。


 彼は懐から札を取り出し、無造作に放る。


 燃え上がる炎。

 糸が、次々と焼き切られていく。


 ――まだ、札はある。


 その事実が、善の背筋を冷やした。


「なら……これならどうかな」


 シリュウは一歩踏み出し、詠唱を重ねる。


召喚術サモーニング


 大地が震え、空気が鳴る。

 蒼い雷雲が渦を巻き、その中心から――現れた。


 四聖獣・青龍。


 伝説でしか語られない存在が、確かな質量をもって顕現する。

 その鱗一枚一枚が光を反射し、呼吸だけで嵐を生む。


「……マジかよ」


 喉が乾く。


 だが、善は目を逸らさなかった。


「俺も……これが奥の手だ」


 身体の奥で、何かが弾ける。


 バチ、バチ、と音がする。

 皮膚の内側を走る電流。

 人体は電気信号で動いている――その理屈を、限界まで引き上げる。


 反応速度、神経伝達、思考と行動のズレを限りなくゼロに。


 ――危険だ。

 分かっている。

 だが、今は引けない。


雷神降臨(タケミカヅチ)


 雷が、善の身体を包み込む。

 視界が白く弾け、世界が“遅く”なる。


青龍特攻(ブルードラグーン)!!」


 咆哮と共に、青龍を纏ったシリュウが突進する。

 龍と雷、二つの極致が一直線にぶつかる。


 ――来る。


 その瞬間、善の感覚は極限まで研ぎ澄まされていた。


 音の前に、振動が来る。

 攻撃の前に、意思が分かる。


 これは――“勝利への嗅覚”。


 交差。


 衝突。


 雷と蒼光が爆ぜ、視界が完全に白に染まる。


 その一瞬の中で、善は何度も腕を振るった。

 電撃(エレクト)――一発ではない。

 二発、三発、いや、それ以上。


 交差の“間”に、叩き込む。


 次の瞬間、衝撃波が遅れて襲い、地面が抉れる。


 ――静寂。


 立っていたのは、善の方だった。


 膝が震える。

 呼吸が、うまくできない。


「……見事、だ」


 シリュウの声が、かすれる。


 善も限界だった。

 自己回復(セルフヒーリング)を回しているが、焼け石に水だ。


 視界が揺れる。


 その身体を、横から抱き止める感触。


「……はい、お疲れ様」


 天だった。


 彼女の手が触れた瞬間、身体に残っていた帯電が、すっと消えていく。

 浄化され、熱が引いていく。


 善は、天の肩に額を預けた。

 ふわっとした、ボブカットの髪が触れ、柑橘系の香りがした。


 ――終わった。


 聖騎士団との戦いは、ここで決着した。


 越えるべき壁は、確かに越えた。


 次は――神だ。

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