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テンプレをぶち破れ、エゴイストがクソみたいな神を殴り倒して世界をひっくり返すまで。  作者: 強炭酸
最終章 夜明けの頂上決戦

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68話 衛vsフールー

空気が、焼けた鉄の匂いを孕んでいた。

 

 最初に踏み込んだのは、フールーだった。

 隷属紋解放《ドミニオンフレア》――その発動と同時に、地面が軋む。

 ただ一歩。されど、その一歩が重い。

 

  「《白虎連撃》!!」

 拳が、刃が、距離を詰めて叩き込まれる。

 魔導銃を捨てた近接戦。

 一撃一撃に、金床で叩かれるような圧が乗っていた。


 ――重い。

 だが、受けきれないほどじゃない。


(……見てきた)


 衛の脳裏をよぎるのは、フランの拳だ。

 気を込め、間断なく叩き込まれるフリッカージャブ。

 弾幕のような連打。

 あれを、何度も、何度も。


 だからこそ――


 捌ける。

 流せる。

 殺しきらせない。


 無刃刀が、刃を持たぬまま、軌跡を描く。

 拳を受け、逸らし、肩を擦り抜ける。

 骨に響く衝撃を、最小限で流す。


 フールーが、僅かに目を細めた。


「……近接も、以前とは段違いだな」


 一瞬の間。

 その声には、驚きと、確かな評価が混じっていた。


「余程、いい師匠と……ライバルに恵まれたらしい」


 衛は歯を食いしばり、鍔迫り合いのまま力を込める。


「――ご名答……だよ!」


 蹴りを叩き込み、強引に距離を切る。

 地面を滑り、呼吸を整えながら、叫ぶ。


「あとは……」


 一瞬の溜め。


「愛の力だ!!」


 次の瞬間、無刃刀から業火が放たれる。


火炎息吹ブレス・オブ・ファイア!」


 炎が、爆ぜる。

 灼熱の奔流が、一直線にフールーを呑み込もうとする。

 熱波。爆音。視界が歪む。


 だが――


 フールーは、即座に離脱した。

 地を蹴り、炎の縁を掠めるように後退する。


 そして、煙幕。


 爆ぜた炎の残滓が、灰と熱の壁となって視界を奪う。


 ――静寂。


 数秒。

 いや、ほんの一瞬。


 その間に、フールーは数百メートル先まで距離を取っていた。


 魔導銃を展開。

 銃身が伸び、形状が変わる。


 スナイパーモード。


 スコープ越しに、衛の姿が映る。


 引き金に、指がかかる――


 だが。


 衛の背筋が、粟立った。


(……見られてる)


 視線の方向。

 距離。

 そして、僅かな呼吸の“波”。


 すべてが、手に取るように分かる。


 無刃刀を、静かに構える。

 刀身は無い。

 だが、そこに“線”がある。


 一方、フールーが眉をひそめた。


「……なんだ、この光は?」


 次の瞬間。


 閃光が、走った。


閃光フラッシュ・ブラスター


 視界を裂く白。

 だが、それはただの目眩ましではない。


 ――導線。


 衛は、叫ぶ。


「イグニション!!」


 光の軌跡に沿って、爆ぜるような熱が走る。

 まるで、レーザー誘導兵器。


 一直線に、正確に。


 ビームの軌跡が、遠方の一点を貫いた。


 轟音。


 次の瞬間、煙幕の向こうで、衝撃が爆ぜる。


 沈黙。


 風が、灰を運ぶ。


 勝負は――

 すでに、終わっていた。


 衛は、深く息を吐いた。

 胸の奥で、まだ火が燃えている。


(……超えたな)


 守るための火から、

 貫くための火へ。


 その一歩を、確かに踏み越えた実感が、

 熱となって、身体に残っていた。

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