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テンプレをぶち破れ、エゴイストがクソみたいな神を殴り倒して世界をひっくり返すまで。  作者: 強炭酸
4章 外界編

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61話 間話〜それぞれの精霊祭を終えて

それぞれの精霊祭を終えた、次の日。


精霊感応映像通信(チャット・ヴィジョン)が起動すると、空気がゆっくりと繋がった。

画面越しに映る顔は、どれも少しだけ疲れていて、けれど確かな達成感を宿している。


最初に口を開いたのは、善だった。


風の国で知ったハーヴィーのこと。

転生エルフであり、かつて奴隷制度を壊すために魔族の王と戦った英雄。

理想を抱いたまま世界を作り直し、そして今は、その理念すら忘れかけていること。


善は、あくまで“要点”だけを、淡々と話した。


『……俺は、ぶん殴ってでも止めたい』


短い言葉だったが、その裏に溜め込んだ感情が滲んでいた。


『ボケじいさんへのショック療法だよな』


衛が、肩をすくめる。


『フリーダさんの手紙、その意思を伝えなきゃ』


天の声は、どこか真剣だった。


『素直に、自分に術をかけてくれるほど甘くないだろうね』


勇希は冷静に続ける。


『力ずくで言うこと聞かせる必要があると思う』


意見は違えど、全員が同じ方向を見ていることだけは、はっきりしていた。


善は一度、話題を切り替える。


『クラウディア。風の精霊シルフ・スカイアが、お前のお姉さんなんだな』


画面の向こうで、クラウディアの表情がわずかに揺れた。


『私の分もたくさん食べて、恋愛トーク楽しんでって言ってたよ』


しばしの沈黙。


そして、クラウディアは小さく息を吐いた。


『……そうよ』


少し照れたように、でも誇らしげに。


『風の精霊は、私の自慢の姉なんだから!!』


その言葉に、場の空気が少し柔らぐ。


天が、地の精霊祭の報告をした。


『皆のおかげだよ。勇希のレインボーチーズドッグ、引き続き街の名物として推していくらしいよ』


『それは良かった』


勇希が、ほっとしたように笑う。


『ライブ凄かったらしいな』


衛が言うと、


『天ならやれると思ってたよ』


善が、素直に続けた。


少しだけ、天が目を伏せる。


次に、衛が切り出した。


シェリルに想いを告げ、結ばれたこと。

その瞬間、画面の端に、シェリルがひょいと顔を出す。


『君達が、衛の仲間だね』


柔らかな声。


『武器、今作ってるよ。楽しみにしてて』


『俺は武器の作成があるから、合流を一日ずらしたいんだ』


衛がそう言うと、


『衛、おめでとう』


善が、静かに祝った。


『シェリルさん美人だね。おめでとう』


天が、にこりと笑う。


『……シェリルさんと一緒にいたいのが本音でしょう、衛』


勇希の言葉に、衛は苦笑した。


『本当はそうだよ。武器は口実』


途端に、画面の向こうから「ヒューヒュー」と冷やかしが飛ぶ。


『そういう勇希はどうなんだよ?』


衛が返す。


『僕は……』


勇希は少しだけ言葉を選んだ。


『アリスとは、お友達から。保留って感じかな』


一拍。


『僕も米とカレーを買い込むから、一日ずらしたいんだ。アリスに買い出し、手伝ってもらって』


また、ヒューヒューとヤジが飛んだ。


その喧騒の中で、善は一度、深く息を吸った。


(……今だ)


『……じゃあさ、天』


少しだけ間を置いて。


『俺たちで、先に集合しようか』


天は、一瞬だけ目を見開いてから、すぐに頷いた。


『うん、いいよ』


若干、食い気味に。


『精霊さん達にワープしてもらったら、ソレスティアギルド前で』


その直後。


クラウディアが、精神感応通信チャット・ウィスプを起動する。

繋がったのは、衛と勇希だけ。


『あなた達、上手くいったみたいね。おめでとう』


そして、少しだけ意地の悪い笑み。


『遅れて帰ることで、善と天を二人きりにする。打ち合わせ通りね』


『まあ、武器も作らないとだし……』


衛は素直に言った。


『シェリルと居たいのも、全部本音だけどな』


『僕も本音だよ』


勇希も続ける。


『米とカレーの買い出しと、アリスに会っておきたいし』


クラウディアは、静かにまとめた。


『あとは二人に任せましょう』


一拍。


『幸せは、自分自身の手で掴んでこそよ』


『……クラウディア、お前が居てくれて良かったよ』


衛が、真面目な声で言う。


『僕も……助けられたな。ありがとう』


勇希も続いた。


クラウディアは、ふっと肩をすくめる。


『何よ、湿っぽいこと言わないの』


でも、その声はどこか優しかった。


『大切な人を、手放すんじゃないわよ』


『私からは、それだけ』


通信が切れる。


静かになった画面を見つめながら、三人は同時に思った。


善と天を見守るところから始まった、この関係。

いつの間にか、それはただの仲間以上の、

言葉にしづらい絆へと変わっていた。


そして、物語は次の場所へ進もうとしている。


 

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