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テンプレをぶち破れ、エゴイストがクソみたいな神を殴り倒して世界をひっくり返すまで。  作者: 強炭酸
3章 世界の真実へ

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36話 ドラゴンを喰らうもの

「――陣形・前衛四重奏フロントライン・カルテット!」


善の号令と同時に、四人の距離が一気に詰まる。

衛が前に出て圧をかけ、勇希が中央を固め、善と天が左右に展開する。

もはや合図すら最小限でいい。足音、呼吸、視線――それだけで役割が噛み合う。


天が一歩踏み出し、空中に指で円を描いた。


魔法印(マーキング)――からの!」


淡い光がガーゴイルたちに貼りつく。


追尾弾ホーミング・スプレッド!」


放たれた魔力弾は、逃げ場を失った獲物のように軌道を変え、空を舞う石像を次々と撃ち抜いた。

砕け散る石片が雨のように降る。


「仕上げるよ」


勇希が深く息を吸う。

空気が、張り詰める。


氷結絶命アイス・エクスティンクション


絶対零度の凍結波が床を這い、残ったガーゴイルを一瞬で凍りつかせ、粉砕した。

砕けた破片が地面に落ちる音だけが、遅れて響く。


勇希は静かに手を合わせる。


「……ありがとう」


「ナイス、勇希」


衛が短く言い、善も頷く。


「油断するな。次が来る」


――その言葉通りだった。


通路の奥から、金属が擦れるような低音が響く。

獣型の魔導機械兵が、四体。


空気が一段、冷えた。


「来たな……」


善は一瞬で判断を下す。


「陣形・交錯蜃気楼(ミラージュ・スイッチ)

勇希、壁で分断頼む! 二体ずつにできたら倒す。

三体固まったら、もう一度壁張って即撤退だ!」


「了解!」


勇希が両手を突き出す。


氷結防壁(アイスウォール)!」


透明な氷壁が通路を切り裂くように出現し、魔導機械兵を二体ずつに分断した。

獣型の機体が低い音を立て、索敵をやり直す。


「よし!」


善が前に出る。


「俺が仕掛ける! 天、魔法頼む!

――せあああっ!!」


刃が振るわれる、その瞬間。


『前衛行動を検知。対物理モードに移行』


無機質な声とともに、物理バリアが展開される。


――想定どおり。


魔法弾(マジック・スプレッド)!」


天の魔法が、バリアの切り替え前に突き刺さる。

獣型の魔導機械兵が火花を散らし、沈黙した。


ほぼ同時に、別方向から衛の声。


「一体撃破!」


「こっちもだよ!」


勇希の氷槍が、もう一体を貫いていた。


「次、壁の向こうだ!」


善が叫ぶ。


「天、回り込んで魔法!」


「OK!」


壁を回り込む天の魔法が炸裂し、善のラッシュが追い打ちをかける。

金属が歪む音、そして――不自然な静寂。


倒れた魔導機械兵は、生き物のように絶命することはない。

ただ、強制的に停止したかのように、音も熱も失う。


「……よし」


善が息を吐く。


「魔導機械兵対策、ほぼ完成だな」


誰も否定しなかった。


だが――。


進んだ先で、空気が変わった。


「……ねえ」


天が足を止める。


「あちこち、蜘蛛の巣がある」


確かに不自然だった。

壁、天井、通路の角。

まるで意図的に残されているような、巨大な糸。


「……嫌な予感しかしないな」


衛が低く呟く。


次の瞬間、勇希が凍りついたように立ち止まった。


「……嘘でしょ……」


視線の先。


巨大な蜘蛛の巣に、ドラゴンが吊るされている。

エンシェントほどではないが、紛れもない上位種。

その巨体が、獲物として無残に絡め取られていた。

善は、自分の心臓が早鐘を打っているのが聞こえた。



「……捕食されてる」


天の声が震える。


善は即座に理解した。


「ここは……“奴”の餌場だ」


ドラゴンを捕らえ、殺せる存在。

それが、この階層にいる。


「戦う必要はない」


善は静かに言った。


「離れて、次の階層へ向かう」


誰も異論を挟まなかった。



三十九階層。

ボス部屋前。


善は手を上げる。


「一旦、小休止しよう」


勇希が干し肉と水を配る。

乾いた肉を噛む音が、妙に大きく聞こえた。


「さっきのは……とんでもないネタバレだったな」


衛が苦笑する。


「ドラゴンより強い蜘蛛、確定じゃん」


「蜘蛛は益虫って説もあるけど……」


天が肩をすくめる。


「私は無理」


「大体の人は苦手だと思うよ」


善はそう返しながら、目を閉じた。


この先にいるのは、四十階層ボス。

ドラゴン以上。

確実に、今までとは違う。


(……でも)


善は拳を握る。


(考えて、連携して、越えてきた)


恐怖はある。

だが、それ以上に――確かな手応えがあった。


「行こう」


その一言で、全員が立ち上がった。


四十階層へ。


ここから先は、本当に“試される”。


善のメモ

Y(やったこと)

・陣形・前衛四重奏フロントライン・カルテットでガーゴイル群を処理

・天:魔法印(マーキング)→追尾弾《ホーミング・スプレッド》

・勇希:氷結絶命アイス・エクスティンクション

・空中戦+範囲殲滅が安定

・魔導機械兵(獣型)×4と交戦

・陣形・交錯蜃気楼ミラージュ・スイッチを使用

・勇希の《氷結防壁》で 2体ずつに分断

・物理フェイント→魔法本命(または逆)で確実に撃破

・壁越しの回り込み・役割スイッチも問題なく機能

・魔導機械兵対策は確立

・分断+フェイント連携で安定勝利

・通路・天井・壁に異常な量の蜘蛛の巣

・ドラゴンが捕食され、巣に吊るされているのを目撃

・結論:この階層帯は“蜘蛛型上位捕食者”の餌場

・正面衝突を避け、次階層へ移動

・39階層ボス前で小休止

・干し肉と水で補給

・次は40階層ボス(ドラゴン以上の脅威が想定される)


W(わかったこと)

・ミラージュ・スイッチは4人連携前提だが、分断と組み合わせると完成度が跳ね上がる

・魔導機械兵は

・「数を揃えさせない」

・「判断させてから裏を取る」ことで完全に主導権を握れる

・環境情報(蜘蛛の巣・捕食痕)は、ボスの存在を示す重要な予兆

・「勝てる敵」と「避けるべき敵」を即断する判断が重要

・ドラゴン級が“餌”になる階層は、戦闘より撤退判断の方が価値が高い


T(つぎにやること)

・40階層ボスに向けた仮説、糸は焼き払えるか?

・巨大蜘蛛型ボス(拘束・捕食・地形支配型)の可能性が高い



メモ部分は情報量が多く、少し散らかっていますが、善が勝手に書いているものなので読み飛ばしていただいて構いません。

「前回何だっけ?」と思ったときに、読み返す用として使ってもらえれば幸いです。。


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