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テンプレをぶち破れ、エゴイストがクソみたいな神を殴り倒して世界をひっくり返すまで。  作者: 強炭酸
3章 世界の真実へ

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25話 聖騎士団③

善とシリュウは、互いに距離を取ったまま向き合っていた。

荒野を渡る風の音だけが、やけに大きく聞こえる。


「……他は、もう決着がついたようだな」


シリュウが視線を巡らせ、再び俺を見る。

満身創痍で、それでも立ち上がった俺を、静かに観察するように。


「結局、最後まで残ったのはお前か」


息を整えながら、俺は剣を支えに立っていた。

全身が悲鳴を上げている。それでも――倒れるわけにはいかなかった。


「……自己回復術セルフ・ヒーリング


体内の“気”を無理やり循環させ、傷を塞ぐ。

完全ではない。だが、立つには十分だった。


「なるほど」


シリュウは感心したように頷く。


「強化型による自己回復か。粘りは評価しよう」


そして、剣を下ろしたまま告げる。


「だがな。

 お前はまだ“その先”を知らない」


嫌な予感が、背筋を這い上がる。


「この世界には、『スキル』と『術』がある。

 そしてそれを底上げする“気”。

 だが――それでも、まだ足りない」


シリュウの首元。

そこに刻まれた紋章が、禍々しく脈動し始めた。


「精霊の力だ」


空気が、歪む。

さっきまでとは次元の違う圧が、身体を押し潰そうとする。


「――隷属紋解放ドミニオン・フレア


一瞬で理解した。

これは“個人の力”じゃない。

何かに繋がれ、借り受けた力だ。


「……っ!」


踏ん張るが、膝が軋む。


「ここまでだ」


シリュウが踏み込む。

正拳突き。――寸止め。


それだけで、拳圧が炸裂した。


「ぐぁっ……!」


身体が宙を舞い、地面を転がる。

受け身も取れなかった。


(次元が……違う)


これが“本気”の入口。

俺たちは、まだ土俵にすら上がれていなかった。


――だが。


ここから、シリュウの様子が変わった。


倒れた俺の前に立ったかと思うと、彼は剣を収め、手を差し出した。


「立て」


一瞬、理解が追いつかない。


「……?」


手を取ると、彼は俺を引き起こし、他の誰にも見えないよう、紙切れを一瞬だけ差し出した。


「……?」


視線で促される。

読め。覚えろ。

そう言っている。


口では、まったく違うことを言いながら。


「スカウトに来たが……期待外れだな」


冷たい声音。


「次に戦うことがあれば、容赦はしない。覚悟しておけ」


――だが、メモに書かれていた内容は違った。


『この会話は『神』に聞かれている。

 聖山エーテリオン地下迷宮

 50階で精霊王様に会え

 世界の真実はそこにある』


俺が内容を飲み込んだ瞬間、シリュウは紙を引き、微かに目配せする。


(理解したな)


そう言わんばかりに。

メモは一瞬で焼き払った。


「では、我々はここまでだ」


背を向け、淡々と歩き出す。


「また会いたくはないがな」


そう言い残し、聖騎士団は荒野を去っていった。


――残された俺たちは。


「善! 大丈夫か!」


衛が駆け寄ってくる。

彼もまた満身創痍だが、すでに自己回復術セルフ・ヒーリングで立てていた。


「……皆、やられたな」


「うん……」


天も戻ってくる。

目立った外傷は少ないが、悔しさを隠していない。


「結局、何もできなかった。

 空飛べるの、反則でしょ……」


自嘲気味に笑う。


最後に、勇希。


彼は立っていた。

見た目の傷は、四人の中で一番少ない。


それが、逆に痛々しかった。


「……僕は、弱い」


ぽつりと漏れた声。


「守ることしかできない。

 一対一じゃ……何もできなかった」


誰も、すぐには声をかけられなかった。


あのメモ。


――あれが、シリュウの本心だ。


聖騎士団は、敵だ。

だが同時に、何かに縛られている。


そして、俺たちは託された。


世界の嘘。

神と呼ばれる存在。

精霊王。


その裏返しの“答え”が、

聖山エーテリオン地下50階にある。


「……行こう」


俺は、皆を見る。


「俺たち、まだ何も知らない」


負けた。

完膚なきまでに。


それでも――

この敗北は、終わりじゃない。


ここからだ。



善のメモ


Yやったこと

・聖騎士団長シリュウと一対一で交戦

強化型セルフ・ヒーリングで粘り、戦闘継続

・シリュウの隷属紋解放ドミニオン・フレアを目撃・体感

・明確な実力差を理解した上で戦闘終了

・シリュウから極秘メモを受け取り、内容を記憶

・※この会話は「神」に聞かれている前提でのやり取り


Wわかったこと

・自分たちはまだ「スキル+術+気」の段階に留まっている

→ 精霊力ブーストは次元が違う

・聖騎士団は敵対存在だが、完全な自由意志では動けていない

 → 隷属紋=神による支配の可能性が高い

・シリュウは本気を出せば、こちらを即座に制圧できる実力者

・シリュウの本心:

神は監視している

世界の真実は

聖山エーテリオン地下迷宮50階/精霊王にある

・仲間それぞれが「個の弱点」を突きつけられた

・衛:対応力は高いが射程問題

・天:空戦対応が未完成

・勇希:一対一の攻撃手段が決定的に不足

・この敗北は「終わり」ではなく、進むべき方向を示す敗北


Tつぎにやること

・聖山エーテリオン地下50階を目指す理由を明確化

・精霊王と接触し、世界構造と神の正体を確認する

・精霊力ブーストへの対抗手段を探る

・隷属・支配・洗脳を防ぐ仕組みが必要

・勇希の戦闘スタイルを根本から再設計

・「守るだけの盾」からの脱却

・今回の敗北を共有し、全員の役割を再定義する

・会話を聞いていた『神』が何者かを探る

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