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テンプレをぶち破れ、エゴイストがクソみたいな神を殴り倒して世界をひっくり返すまで。  作者: 強炭酸
3章 世界の真実へ

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24話 聖騎士団②


【善 vs シリュウ】


「はあぁぁっ!」


善は間合いを詰め、一気にラッシュを仕掛けた。

踏み込みは鋭く、連撃も迷いがない。だが――


「悪くない。スピードは評価しよう」


シリュウは涼しい顔で剣を振り、善の攻撃を次々と受け流す。

わずかな隙を突くように、肩からの体当たりが叩き込まれた。


「ぐっ……!」


吹き飛ばされる善に、追撃が来る。


「――エーテル・スラスト!」


剣に込めた“気”が、刃を離れて一直線に放たれた。

善は辛うじてかわし、距離を取る。


(このままじゃ……!)


スリングショットを構え、渾身の一撃を放つ。


「オーラショット!!」


だが――当たらない。

否、撃った瞬間、シリュウはすでに横にいた。


「ほう……それが切り札か」


低い声が、すぐ耳元で響く。


「決め技のようだが、惜しいな。スピードを売りにするなら、弾速の遅い飛び道具は噛み合っていない。技の選択が甘い」


指摘と同時に、善は剣に持ち替えようとするが間に合わない。


「切り替えが遅い。――ホーリーレイン」


無数の斬撃が雨のように降り注ぐ。

善は必死に防ぐが、完全に押し切られていた。


強い。

圧倒的に。


しかも、この男はまだ本気を出していない。

殺すためではなく、まるで実力を測る“稽古”のように、善はあしらわれていた。


(まだだ…まだ終わってない)

それでも、目だけは逸らさなかった。



【衛 vs フールー】


剣と剣がぶつかり合い、乾いた金属音が響く。

衛とフールーは互角以上の斬り合いを続けていた。


「やるな、衛! この中で一番強いのはお前だ」


「それはどうも!」


フールーは一度蹴りで距離を取り、武器を引く。

次の瞬間、手にしていたのは剣ではなく魔導銃だった。


「だが弱点もある。お前は近距離特化だ」


引き金が引かれる。


「マギ・バーストライン!!」


無数の魔力弾が一直線に撃ち出され、弾幕となって衛を包む。

近づくこともできず、回避するだけで精一杯だ。


「戦いとはな」


フールーの声が弾幕の向こうから響く。


「相手の嫌がることを、押し付け続けることだ。卑怯とは言うまいな」


一発、また一発。

魔導弾が衛を捉え、押し切られるように戦況は一方的になっていった。


【天 vs フライア】


フライアは背中の翼を大きく広げ、軽やかに宙へ舞い上がった。

羽ばたき一つで高度を取り、地上の天を見下ろすその姿は、まさに空を支配する者だった。

翼を持つ亜人――しかも飛翔術式まで併用する存在は、冒険者の中でも極めて希少だ。


「《魔法弾マナ・スプレッド》!」


天は即座に四色の魔法弾を放つ。

だが弾は、空を裂く前に減衰し、フライアには届かない。


「……っ、もう! 射程外!!」


思わず声が荒れる。

地上戦を想定した戦い方が、完全に噛み合っていなかった。


「ふふ。可愛らしいわね、お嬢ちゃん」


フライアは余裕たっぷりに微笑み、くるりと空中で一回転する。


「飛んでる相手と戦うの、初めて?

それとも――私みたいな女と、かしら?」


天を値踏みするような視線。

その中には、明らかな好奇心と、からかうような色気が混じっていた。


「ねえ、私の恋人にならない?優しくしてあげるわよ」


「結構です!」


天は即答した。


「私、好きな人いるので!」


「……あら」


フライアは一瞬だけ目を細め、それから楽しそうに笑った。


「そう。じゃあ――遠慮はいらないわね」


次の瞬間、弓に“気”が満ちる。


「《アースレイン》」


放たれた矢は一本ではなかった。

地の気を纏った無数の矢が、雨のように降り注ぐ。


「――っ!」


天は咄嗟に回避するが、空からの一方的な攻撃は想像以上に苛烈だ。

足元の地面が抉れ、衝撃が全身に伝わる。


「どう? 空を取られるって、こういうことよ」


フライアは悠然と空を漂いながら、天を見下ろしている。

届かない。

追いつけない。


――でも。


天は歯を食いしばり、槍を強く握り直した。


(まだ…終わりたくない)


この不利な状況を、どうひっくり返すか。

魔法戦士としての真価が、今まさに試されていた。


【勇希 vs トータス】


重い衝撃。


空圧衝エアーブレイク


勇希は反射的にオーラプロテクトを展開する。


――防げた。


だが。


次。


また次。


守れる。

守れる。

それだけ。


息が荒くなる。

足が、前に出ない。


「……ふむ」


トータスの声は、興味を失ったそれだった。


「お主、この中で一番弱いな」


胸の奥が、ぎしりと鳴る。


「攻撃手段がない。

 殴る? その拳、飾りじゃろ」


勇希は叫び、前に出る。


「うるさい!!」


拳を振るう。


――当たる。


だが、手応えがない。


石に触れたみたいだった。


「ほれ、この程度じゃ」


その瞬間、何かが折れた。


(……あ)


これまで、仲間がいた。

自分は“守る役”だった。


それで、良かった。


一人で、試されるまでは。


「……終わりにしよう」


トータスの術式が絡みつく。


《MTAマジック・タイム・アタック》。


「五分じゃ。

 倒せねば、お前の魔力も“気”も枯れる」


静かな宣告。


「無力な盾になる。……まだ、立つか?」


勇希の視界が、揺れた。


守れない。

攻められない。

逃げられない。


――自分は、ここにいる意味があるのか。


勇希は、盾を構えたまま立ち尽くす。


心だけが、先に崩れ落ちていた。


善のメモ


Y(やったこと)

 ・スピードを活かした接近ラッシュ

 ・切り札として《オーラショット》を使用

 ・近接⇄遠隔の切り替えを戦闘中に試みた

 ・近接剣技での正面戦闘

 ・剣による斬り合いを主軸に攻めた

 ・地上からの魔法攻撃

 ・飛行敵に対して正面から撃ち合いを試行

勇希

 ・《オーラプロテクト》による防御特化

 ・近接打撃による反撃を試み


Wわかったこと

・シリュウは完全に格上

・スピード・判断・技の噛み合わせ、すべてが洗練されている

・自分のオーラショットは「決め技としては適性不足」

・武器切り替えや判断速度が致命的に遅い

・聖騎士団は全員“役割完成型”

・フールー:近接特化の相手を、距離と弾幕で一方的に潰す

・フライア:飛翔という前提条件そのものが地上組へのメタ

・トータス:タンク型術師の完成形。防御しかできない勇希の“上位互換”

・勇希の問題点が明確化

一対一の経験不足

防御はできるが、勝ちに繋がる攻撃手段が存在しない

「盾であること」が初めて“弱点”として突きつけられた

全員が初めて「自分の限界」を直視させられた戦い

誰一人、通用していない

これは敗北ではなく、明確な“格差の提示”


Tつぎにやること

・自分の戦闘スタイルを根本から再設計する

・スピード型なのに弾速が遅い矛盾を解消する

・武器・技・役割の再定義が必要

・全員の戦闘スタイルの形を見直す

・勇希を「守るだけの盾」から脱却するルートを用意し、一対一でも意味を持てる存在にする

・聖騎士団は“倒す相手”ではなく、“越える壁”

・今のままでは絶対に勝てない

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


ここまで読んでいただきありがとうございます。


もしこの物語が

「ちょっと引っかかった」

「考えさせられた」

「テンプレ外し、嫌いじゃない」


そう思ってもらえたら、

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