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テンプレをぶち破れ、エゴイストがクソみたいな神を殴り倒して世界をひっくり返すまで。  作者: 強炭酸
2章 冒険編

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22話 ラビリンス・コア

「――陣形・両翼解放リリース・ウイング!!」


善の号令と同時に、四人が弾かれたように散開した。

天と善は左右へ大きく間合いを取り、衛と勇希が中央を固める。


呼吸が揃う。

足音の間隔、視線の高さ、背中に感じる仲間の気配――

この上級ダンジョンに入ってから、何度も崩し、何度も組み直してきた陣形だ。


(……見えてきた)


善は索敵を切らさないまま、確信を深めていた。


このダンジョンは、力で押し潰すための場所じゃない。

むしろ逆だ。


構造。

配置。

誘導。


そして――判断の“怠惰”。


「急がば回れ、だ」


善の声は静かだが、芯があった。


「敵反応ゼロの部屋は、ほぼ即死トラップ。

 毒ガス、無酸素……最悪、硫化水素。

 “楽そう”な道ほど、殺意が高い」


その言葉に、空気が一段冷える。


「つまり……」


衛が口の端を上げる。


「敵がいる部屋の方が、まだ安全ってことか」


「皮肉だよね」


天が肩をすくめた。


「普通のダンジョンなら、戦闘を避けるのが正解。

 でもここは違う。考えずに避けたやつから、死ぬ」


勇希は盾を構え直し、ゆっくりと頷いた。


「ここは“戦わせない”ことで殺しに来てる。

 選択肢を減らして、思考を止めさせる構造だ」


四人は、あえて遠回りの通路を選んだ。

敵反応がある部屋。

罠が“分かりやすく”配置された道。


安全ではない。

だが、理解できる危険だった。


天が描き続けてきたマップには、無数の修正跡が残っている。

消しては書き直し、書き直しては捨てた仮説。


その積み重ねが、ようやくダンジョンの“性格”を浮かび上がらせていた。


そして――。


「……来たな」


善の索敵が、最後の反応を捉える。


巨大な扉。

逃げ道はない。

回避も、様子見も、ここでは許されない。


「行くぞ」


それだけ告げて、扉を押し開いた。



上級ダンジョン最終階層。

そこにいたのは――球体だった。


ドッジボールほどの大きさの、無機質な球。

表面には淡く光る紋様が走り、まるで“心臓”のように脈動している。


「……ボス?」


衛が眉をひそめる。


「小さすぎない?」

「油断しないで」


天が即座に構える。


次の瞬間だった。


球体がふわりと宙に浮き、逃げた。


同時に、部屋全体が軋みを上げる。


「来るぞ!!」


善の叫び。


壁が動いた。

内側に向かって、無数のトゲを生やしながら、じわじわと迫る。


逃げ場を削る。

時間を奪う。

考える余裕を殺す。


「ダンジョンそのものが攻撃してくるタイプか!」


勇希が即座にプロテクトを展開し、迫る壁を押し返す。


「短期決戦だ!!

 あれが本体――ラビリンス・コア!!

 早く倒さないと追い詰める前に潰される!!」


天が走り出す。


「私が追い込む! 反対側、お願い!」


四色の魔法弾が放たれ、逃げる球体の進路を塞ぐ。

だが、コアはまるで意思を持つように、隙間を縫って逃げ続ける。


「ここは通さない!」


勇希が盾を突き出し、進路を強引に塞ぐ。

壁の圧迫が、さらに一段強まる。


「今だ!!」


衛が踏み込む。

炎をまとった剣が唸りを上げる。


「――イグニション!!」


直撃。

だが、コアは弾かれただけで、まだ動く。


「しぶといな……!」


善は一瞬で判断する。


逃げ回る球体。

迫る壁。

このままでは、確実に時間切れだ。


「……これで終わりだ」


善は深く息を吸う。


「お前、ダンジョンのクセが強すぎるんだよ。この『パワハラ系ダンジョンマスター』」


スリングショットに“気”を集中させる。

強化と放射を重ね、限界まで溜める。


「――オーラショット!!」


放たれた一撃は、逃げるコアの進路を完全に読んだ位置を撃ち抜いた。


直撃。


ラビリンス・コアは甲高い音を立て、ひび割れ――砕け散った。


同時に、壁のトゲが止まり、部屋全体が静まり返る。



「……勝った、よな?」


衛が息を吐く。


「上級ダンジョン、制覇だ」


善がそう告げた瞬間、全員の肩から力が抜けた。


「いやぁ……殺意、高すぎでしょ」

「ほんと。ダンジョンに人格感じた」


天が苦笑する。


勇希は盾を下ろし、静かに頷いた。


「でも、全員無事だ。

 それが一番だよ」


ワープホールが開き、景色が歪む。


(……やっぱり人工物だよな、これ)


善は心の中で呟きながら、一歩踏み出した。


こうして――

ルナリス上級ダンジョンは、完全制覇された。


次は、何が待っているのか。

それを考えるのは、街に戻ってからでいい。


今はただ、生きて帰れたことを喜ぼう。


善のメモ


Yやったこと

・ダンジョンの構造的殺意(毒ガス・即死トラップ)を見抜き、遠回りルートで安全攻略

・陣形・両翼解放リリース・ウィングを指示し、役割分担を明確化

・最終ボス《ラビリンス・コア》に対し短期決戦を判断

・各メンバーを走らせて逃げ場を潰し、オーラショットでトドメ


Wわかったこと

・このダンジョンは「モンスターによる力押し」ではなく「構造と理屈」で殺しに来ている

・索敵で“敵ゼロ”の部屋ほど危険(即死トラップ)

・チーム戦では火力よりも判断速度と配置が生死を分ける

・自分はこういう“嫌な構造を攻略する戦い方”が得意


Tつぎにやること

・上級ダンジョン制覇後の情報整理(報酬・構造・意図)

・このダンジョンが「誰のために」「何の目的で」作られたのかを考察


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


ここまで読んでいただきありがとうございます。


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「ちょっと引っかかった」

「考えさせられた」

「テンプレ外し、嫌いじゃない」


そう思ってもらえたら、

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