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テンプレをぶち破れ、エゴイストがクソみたいな神を殴り倒して世界をひっくり返すまで。  作者: 強炭酸
2章 冒険編

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20話 セル・ギガス

BBQを終えたキャンプ地を後にし、一行は再び上級ダンジョンの奥へと歩みを進めた。


脂が弾ける音も、肉の焼ける匂いも、もう遠い。

代わりに鼻腔を満たすのは、冷えた石と湿った土の匂いだ。

足音が岩肌に反響し、ほんの少し遅れて返ってくる。その“間”が、やけに神経を逆撫でした。


――ここから先は、もう遊びじゃない。


「……トラップの傾向、だいぶ掴めてきたな」


善が、ほとんど独り言のように呟く。

声を張る必要はなかった。音が大きすぎる場所では、言葉は刃になる。


上級ダンジョンの罠は、露骨だった。

いや、正確には――**露骨すぎる“空白”**がある。


敵の気配がない部屋。

妙に整いすぎた床。

風が止まり、音すら吸い込む空間。


それは歓迎ではない。

「ここで死ね」という、無言の指示だ。


「明らかに敵がいない部屋は、ガス系を疑え」


善の短い合図で、全員が足を止める。

天が一歩引き、衛が松明を構えた。


投げ入れられた火は――床に落ちる前に、すっと掻き消えた。


「……やっぱりな」


善の声に感情はない。


「毒ガスだ」


「ガチで殺しに来てるな、このダンジョン……」


衛が眉をひそめる。

だが、その声にはもう焦りはなかった。


恐ろしいのは、未知。

だがこれは、理解できる殺意だ。


天が更新し続けるマップ。

善の索敵と照合され、罠の配置と“呼吸”の周期が浮かび上がっていく。


「……こっちだ」


善が走り出す。


「モンスター共!!」


声を張り上げ、あえて存在を誇示する。

オークとリザードマンの混成部隊が、怒号と共に追ってきた。


善は逃げる。

部屋から通路へ。

通路から、狭い分岐へ。


――そして。


ゴゴゴゴゴッ!!


「押しつぶす壁」が作動し、逃げ場を失った魔物たちは、悲鳴を上げる暇すらなく圧殺された。

肉が潰れ、骨が砕ける音が、岩の内側で反響する。


「……善、罠使いこなしてるな」


「天のマッピングがあるからな」


善は振り返らずに答える。


「ダンジョンの“癖”が分かってきた」


天は肩をすくめ、軽く笑った。


「ダンジョンにも性格があるんだね。ちょっと可愛い」


「可愛くはない」


即座にツッコミが入る。


そうして辿り着いた――十階層、中ボス部屋。


巨大な扉が、呻くような音を立てて開いた。


「……行くぞ」


善の短い号令。


部屋の中央で、それは“蠢いて”いた。


中ボス――セル・ギガス。


無数の脚。

不定形な胴体。

骨か肉か分からない塊が、ぬめるように繋がっている。


視界が拒絶する。

理解する前に、本能が「嫌だ」と告げてくる。


「……見た目がもう無理」


「油断するな。嫌な予感しかしない」


天が一歩前に出る。


「じゃ、私から」


魔法弾マナ・スプレッド


四色の魔力が直撃し、胴体はあっさりと砕け散った。


「……え?」


一瞬の静寂。


次の瞬間、肉塊が四体に分裂する。


「いや、増えた!!」


「陣形・両翼解放リリース・ウイング!!」


善の叫びと同時に、陣形が切り替わる。

背中合わせ、全方位。


天の魔法が一体を吹き飛ばす。

衛の炎剣が、剣道の抜き胴のように唸る。


だが――


残った核が光り、肉片を引き寄せ始める。


「……戻ってる?」


「違う」


善が睨みつける。


「合体だ。こいつら、群体生物だ」


理解した瞬間、恐怖は攻略情報へと変わる。


「コアを叩け!!」


陣形・無限四重奏アンリミ・カルテット


勇希が前に出る。


「プロテクト展開! こっちだ!!」


天が足止め。

善が射線を通す。


「こっちだ『歩くシェアハウス』!オーラショット!!」


天が噴き出す

「ここで…笑わせないで」


「決めろ、衛!!」


「イグニション――ッ!!」


炎の斬撃が、核を貫いた。


セル・ギガスは、音もなく崩れ落ちる。


「……勝ったな」


善が息を吐く。


そして、静かに衛の腕に触れる。


「……試したい」


強化回復術トランス・ヒーリング


淡い光が、傷を塞いでいく。


「おお……」


「強化と放射、組み合わせれば……」


「いいなぁ……」


勇希がぼそりと呟く。


「僕だけ回復役できないじゃん」


「料理が最強だからバランス取れてる」


即座に返される。

勇希はパラディンとして回復の素質があるが、ジョブレベルも低く強化型の気ではないため、回復技は実戦レベルではない。


一行は、次の階層へと歩き出した。


――このダンジョンは、確かに殺しに来ている。


だが。


「……面白くなってきたな」


善の言葉に、誰も否定しなかった。


次は、キャンプ場だ。


善のメモ


Yやったこと

・ダンジョントラップの傾向を読み、敵を誘導して罠で殲滅する戦術を実行

・天のマッピング情報を活かし、罠配置の「クセ」を把握

・中ボス《セル・ギガス》戦で

陣形・両翼解放リリース・ウイング

陣形・無限四重奏アンリミ・カルテット

を切り替えて集団戦を指揮

・戦闘後、初めて強化回復術トランス・ヒーリングを試行・成功


Wわかったこと

・上級ダンジョンでは敵よりもダンジョン構造そのものが最大の脅威

・天のマッピング能力があることで罠は「危険」ではなく武器になる

・セル・ギガスは単体ボスではなく群体型生物(サンゴ型)

・数を減らすことでコアが露出するタイプ

・自分の『気』は強化 × 放射を組み合わせることで他者への回復応用が可能

・フォーメーション名があることで指示が簡潔になり、戦闘が加速する



Tつぎにやること

強化回復術トランス・ヒーリングの再現性を確認

・天の魔法戦士スタイルを前提にした連携の最適化

・次のキャンプ階層で消耗回復、陣形の細部すり合わせ

・レイド級ボスに向けて陣形・無限四重奏アンリミ・カルテットの完成度を上げる


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


ここまで読んでいただきありがとうございます。


もしこの物語が

「ちょっと引っかかった」

「考えさせられた」

「テンプレ外し、嫌いじゃない」


そう思ってもらえたら、

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