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テンプレをぶち破れ、エゴイストがクソみたいな神を殴り倒して世界をひっくり返すまで。  作者: 強炭酸
2章 冒険編

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19話 BBQと陣形会議

「しかし……大仕事だなぁ」


ミノタウロスの巨体を前に、善は思わず息を吐いた。

倒れ伏した肉の塊は、まだ熱を残している。血の匂いと、獣特有の濃い体臭が、湿った空気に重く漂っていた。


血抜き、解体、運搬――

どれも一人でどうにかなる作業じゃない。まして相手は、迷宮の主格とも言える魔物だ。


「……四人がかりだな」


善が言うと、衛が無言で斧を肩に担いだ。


「ここからはオレと善でやるからさ」


低く、頼もしい声だった。


「勇希は天に食材採取教えてきなよ。あっちは頭使うし、こっちは力仕事だ」


勇希は一瞬だけミノタウロスを見てから、頷いた。


「了解。天、クラウディアも一緒に来て」


「お手柔らかに~」


天が軽く手を振る。


「私、食べ専なんだけどなぁ」


クラウディアも肩をすくめて、ふわりと宙へ浮かぶ。


三人は森の奥へ、善と衛は血の匂いの中心へ。

役割分担が自然に決まるのは、このパーティが機能している証だった。



森の中は、ダンジョン特有の静けさに包まれていた。

木々の葉擦れ、遠くで滴る水音。湿った土の感触が、靴底から伝わってくる。


「天、さっき言ったよね?」


勇希の声が、わずかに低くなる。


天が手に取っていたのは、鮮やかな紫色のキノコだった。


「そのカラフルなキノコ、毒だって」


「あ……」


天は一瞬きょとんとした後、すぐに手を引っ込めた。


「ごめん。つい見た目で……」


勇希は首を振る。珍しく、はっきりと。


「“つい”で済ませたら、全員まとめて死ぬ可能性があるからね」


その言葉に、天の表情が引き締まる。


「……はい」


短く、素直な返事だった。


料理の話になると、勇希は一切妥協しない。

それが“趣味”ではなく、“命の管理”だと知っているからだ。


その様子を見て、クラウディアが小さく笑った。


「勇希、料理のことになると本気出すわね」


「命に直結するから」


即答だった。


少し間が空き、森の匂いと沈黙が戻る。


その沈黙を、クラウディアが悪戯っぽく破った。


「それよりさ」


ふわりと天の顔の前に浮かび、覗き込む。


「天、善のことどう思ってるの? 男として」


空気が一瞬、止まった。


「……え?」


天は瞬きを二度してから、ふっと柔らかく笑った。


「どう、って言われると難しいけど……」


足を止め、少しだけ考える。


「善と再会できたのは、すごく嬉しかった。昔の約束、覚えててくれたし」


指先でスケッチブックの端をなぞりながら、続ける。


「一緒に作品作ろうって、真っ直ぐ言ってくれたし」


「……ふふ」


クラウディアは何も言わず、ただ頷いた。


「これから次第、かな」


天は空を見上げる。


「楽しみ、って感じ」


その言葉に、クラウディアは内心で確信する。


(満更でもないわね。むしろ、ちゃんと芽がある)


クラウディアは精神型の“気”を静かに展開する。

精神感応通信チャット・ウィスプ

『限定感応〈見守る会〉、開設っと』

意識だけを、勇希と、少し離れた場所にいる衛へと繋ぐ。

衛と勇希は脳内に直接声が流れて困惑する

『なんだこれ?』

『多分この能力、SNSのグループチャットみたいなのだ。』

クラウディアはふふんと鼻を鳴らす。

『理解が早いじゃない、恋バナ用の回線よ』

『天は満更でもないわね。善の方は…理屈こねて理性と感情と分けてるつもりみたいだけど、時間の問題ね。いずれ再燃するわ。私達はただ待てばいい。』

『青春だねぇ』

『くっつく前の他人の恋愛ほど、面白いもんはねぇ』


誰にも聞こえない内緒話は、森を渡る風に紛れて消えた。


遠くでは、斧が肉を断つ鈍い音が、規則正しく響いている。


キャンプの準備は、着々と進んでいた。



「さあ、BBQだよ!!」


火を囲み、勇希が胸を張る。


「付け合わせはネギとシイタケ。肉と一緒に食べて」

「うおお、牛肉久々だな……」

「焼肉のタレまであるのかよ。反則だろ」


善も衛も遠慮なく箸を伸ばす。


「美味しい……」

「おかわりー」


天とクラウディアも満足そうだ。


食後、火を囲んでのんびりしながら、勇希は保存用の燻製に取りかかっていた。


その様子を眺めながら、善が口を開く。


「なあ。そろそろ、四人での連携をちゃんと考えないか?」

「陣形ってことか」

「そう。名前があれば、作戦切り替えも一瞬でできる」


衛が頷く。


「多数対多数だと、どうしても混戦になるしな」


善は地面に図を描く。


「基本は二人一組。機動力のある俺と天、安定感のある衛と勇希で背中合わせ」

「なるほど」


天がぱっと手を挙げた。


「それなら、陣形名はリリース・ウイングはどう?」

「翼を広げる、って感じか」

「自由に動けそうでいいね」


特に反対もなく、決まった。


「じゃあ、多数戦用は陣形・両翼解放リリース・ウイングで」


一息ついたところで、天がまた思いついたように言う。


「ねえさ、このパーティ、バンドみたいじゃない?」

「楽器弾けないけどな」

「違う違う、役割がさ」


天は楽しそうに指を折る。


「勇希は皆を守ってリズムを支えるドラム。善は指示を出して全体をまとめるベース。衛は前に出るギター。私は自由に歌って踊れるボーカル」

「発想が陽キャすぎる……」

「いや」


善が目を細める。


「それ、そのままレイド用陣形に使える」

「ほんと!?」

「終わらない四重奏……陣形・無限四重奏アンリミ・カルテット、いいじゃん」


「採用ー!」


天が満面の笑みを浮かべる。


善は焚き火を見つめながら頷いた。


「だいぶ形になってきたな。明日以降のボス戦で、試してみようぜ」


炎がぱちりと音を立てた。

四人と一人(妖精)の影が、揺れながら重なっていた。


善のメモ

Yやったこと

・ミノタウロスの血抜き・解体を衛と分担して実施

・勇希・天・クラウディアは食材採取と調理担当

・ダンジョン内キャンプでBBQと保存用燻製を実施

・4人パーティ用の戦闘フォーメーションと名称を決定


Wわかったこと

・勇希は「食」に関しては一切妥協しない本気タイプ

・天は戦闘も探索も発想も自由で、場の空気を一段引き上げる存在

・4人の役割は自然と固定化されている

・善&天:機動力・判断力重視の両翼

・衛&勇希:安定感と耐久力の剣と盾

・陣形名があるだけで、作戦共有と切り替えが一気に楽になる

・パーティは「バンド」に例えると驚くほど噛み合う


Tつぎにやること

・多数戦用陣形・両翼解放リリース・ウイングを実戦で検証

・レイドボス用陣形・無限四重奏アンリミ・カルテットを次のボス戦で投入

・上級ダンジョン後半に向けて、連携精度をさらに高める


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


ここまで読んでいただきありがとうございます。


もしこの物語が

「ちょっと引っかかった」

「考えさせられた」

「テンプレ外し、嫌いじゃない」


そう思ってもらえたら、

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