表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テンプレをぶち破れ、エゴイストがクソみたいな神を殴り倒して世界をひっくり返すまで。  作者: 強炭酸
2章 冒険編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/80

18話 ミノタウロス

上級ダンジョン二階、三階へと進むにつれ、空気は確実に変質していった。


敵が強い――それだけではない。

足を踏み入れるたび、ダンジョンそのものが意思を持ってこちらを観察している、そんな感覚が背中にまとわりつく。


湿った石の匂い。

通路を抜けるたびに、微妙に変わる気圧。

どこからか聞こえる、岩が擦れるような低い音。


(……殺しに来てる)


善は、はっきりとそう感じていた。


勇希の《威圧》が効く魔物もいる。

だが、効かない個体が目立ち始めた。


それ以上に厄介なのは――地形と罠だ。


「……ねえ、善」


天がスケッチブックから視線を上げずに呟く。


「この部屋、突っ切ればすぐ階段じゃない? 敵反応もないし」


その言葉に、善は即座に足を止めた。


「……ちょっと待った」


声を低く、鋭く。


「その“敵がいない”ってのが、もう怪しい」


善は松明を一本取り、問題の部屋へ向かって放った。


火は弧を描き――床に触れた瞬間。


すっ、と消えた。


「……っ」


誰もが息を呑む。


「無酸素部屋だな」


善の声は冷静だったが、背中には冷たい汗が流れていた。


「さっきまで完全密閉。こっちが近づいた瞬間に解放された。

 一歩踏み込んで一呼吸――それで終わりだ」


「硫化水素だったら、匂い感じた時点でアウトだしね……」


天は黙ってランスの先にシルバーアクセサリーを吊るし、床すれすれに差し出す。


数秒。


「……変色なし。ここは無酸素だけ」


「よし、迂回」


善は即断する。


「敵がいないんじゃない。生物が存在できない部屋だ。

 これが上級ダンジョンの本気だな」


進路を変え、さらに奥へ。


「……この通路、やけに真っ直ぐじゃない?」


天の一言で、全員が足を止める。


善はしゃがみ込み、床を指でなぞった。


「勾配がある。奥から手前へ……」


「……岩転がってくるやつか」


「正解。踏み込んだら詰み」


さらに先では、ループ。


同じ壁。

同じ亀裂。

同じ苔。


「……ここ、三回目だよね?」


「うん。ほら、あの苔の向きが微妙に違う」


天が冷静に別ルートを指す。


「出られる」


「助かった……」


五階層ボス部屋前に辿り着いた頃には、想定以上に時間を消費していた。


「敵よりダンジョンの方が怖いって、こういうことか」


衛が短く息を吐く。


扉が、重く開いた。


――斧を構えた巨体が、こちらを見下ろしていた。


ミノタウロス。


筋肉は鎧のように盛り上がり、呼吸のたびに胸郭が鳴る。

赤く濁った瞳が、獲物を見る目でこちらを捉えた。


(圧が……違う)


善は瞬時に判断する。


「勇希、タンク!」


「OK!」


勇希が前に出る。


次の瞬間、ミノタウロスが踏み込んだ。


床が鳴り、空気が震える。


――突進。


だが。


「オーラプロテクト!!」


衝撃が勇希の全身を打つ。

肺が潰れそうな重さ。


「……重っ……!」


歯を食いしばる。


「でも……止まる!!」


「よし!」


天が駆け出す。


魔法弾マナ・スプレッド!」


炎、水、風、地。

四色の魔法が、雨のように叩きつけられる。


「うわ、属性ばら撒き!?」


勇希が思わず声を上げる。


「詠唱カット、その代わり連射特化!」


天は笑う。


「これが魔法戦士だよ!」


「いいぞ!!」


善が叫ぶ。


「リア充・ザ・ダ・ヴィンチ!!」


「ぶはっ!」


天が吹き出す。


「その“ザ”いる!?」


ミノタウロスが一瞬、体勢を崩す。


「今だ!」


衛が踏み込む。


「イグニション!!」


炎剣が脇腹を裂く。


――だが、完全には通らない。


「硬っ……!」


「だろ? だから――」


善がスリングショットを引き絞る。


「来いよ……迷宮産ダンジョン牛!!」


「ブランド名みたいに言うな!」


天が叫ぶ。


「オーラショット!」


死角からの一撃が、膝を撃ち抜く。


「今!!」


「もらったぁ!!」


天が一気に距離を詰める。


「魔力全開! 色彩晴嵐衝カラーストーム!!」


色彩が爆ぜる。


善が叫ぶ。


「派手すぎだろ!!」


「うるさい!! こういうの好きでしょ!!」


「好き!!」


一瞬の静止。


衛が居合の構えを取る。


呼吸が合う。


「……終わりだ」


「『赤牙・一閃』!!」


炎が走り、巨体が崩れ落ちる。


ドン――。


静寂。


善は周囲を見渡し、索敵スキルを張り巡らす。

確信を持って言った。


「……この流れ、次はキャンプだ」


「よし」

「予想通り」

「この男子高校生たち、逞しすぎない?」


天の言葉に、妖精クラウディアがひょっこり現れる。


「……ご飯の気配」


次回、BBQ。


善のメモ


Yやったこと

・上級ダンジョン2〜5階層を探索

・天のマッピング、勇希のタンク、衛の攻撃を前提に進行

・無酸素部屋・落石・ループ構造などダンジョントラップを回避

・5階層ボスミノタウロスと交戦

・新フォーメーションを意識した連携戦闘を実践

・撃破後、次階層キャンプ(BBQ)を確信


Wわかったこと

・上級ダンジョンは敵よりダンジョン自体が殺しに来ている

・索敵だけでは限界があり、天のマッピング

直感的な違和感への即ブレーキが必須

・天は

・前線で魔法をばら撒ける

・属性選択が早い

・状況対応力が高い

→ 完全に魔法戦士向き

・4人編成だと

・勇希が受け

・衛が切り

  ・天が散らし

・俺が指示と決定

  という役割が自然に噛み合う

・あだ名をつけると場の空気が軽くなり、 戦闘のテンポと集中力が上がる(副次効果)



Tつぎにやること

・次階層キャンプでBBQ

・食料処理

・体力回復

・陣形と役割の言語化

・新フォーメーションに名前をつける

・集団戦での連携の完成度を試す


♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢


ここまで読んでいただきありがとうございます。


もしこの物語が

「ちょっと引っかかった」

「考えさせられた」

「テンプレ外し、嫌いじゃない」


そう思ってもらえたら、

☆評価やブックマークしていただけると励みになります。

※作者注

硫化水素は「異世界最強」より普通に強いです。

現実では必ず専門装備で確認してください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ