第5話
「でもどうしてサラマンダーは召喚されなかったのかな?」
「召喚獣が言うには僕の中の心のエネルギーが足らないらしい。」
「心のエネルギー?召喚獣を召喚するには魔力があれば召喚できるはずだけど・・・。」
ミナはブツブツと言いながら考え込んでしまった。一つのことに集中するとまわりが見えなくなる性格は相変わらずのようだ。
「ミナはいつも僕を疑うことなく信じてくれる・・・だから僕はどんなことがあっても耐えれる。・・・ミナ、ありがとう・・・・。」
ミナはまだ考え込んでいてソウマが言った言葉は聞こえていない様子だった。
クスッと笑い、いつまでもこの穏やかな時間が続いてほしいと願った。
数日後・・・
いつも通り裏山で召喚の練習をするソウマ・・・
「召喚・・・ウーパールーパー!!」
スクロールを手に叫んだソウマ、しかしその声は森の静けさにに消えていった・・・
『うぱー!(まだまだ心の力が足らないね!)』
「心の力ってどういうものなの?」
ソウマは座り込み水を飲みながら言った。
『うぱうぱうぱー。(心の力は君の中にある【何かを守る】という強い意志によって生み出されるエネルギーだよ。』
「守るという強い意志・・・」
ソウマは手の中のスクロールを見つめながら考えていると・・・
「おやおや、そこの地べたには追いつくばっているのは伝説の召喚士ソウマさんではないですかぁぁぁ?」
ソウマの前には下品な笑みを浮かべながらあざ笑うアクヤークと取り巻きの姿があった。
「おいおい、ソウマさま。またこんなところで召喚の真似事かい?」
「この前のはたまたまだったみたいだな。今日は特別な召喚獣を見せてやるよ。お前みたいな無能には一生かかっても召喚できないやつだ!」
「召喚――ヘル・ケルベロス!」
地面が震え、黒い炎が巻き上がる。そこから現れたのは三つの頭を持つ巨大な魔犬。目は血のように赤く、牙は鋼鉄のように輝いていた。
☆ヘル・ケルベロス☆
ランク:B級
属性:闇・炎
スキル:【三連咆哮】【地獄の炎】【魂喰らい】
「さあ、ソウマ。逃げてみろよ!」
「くっ……!」
ソウマはスクロールを握りしめ、震える手で召喚を試みる。
「召喚……ウーパールーパー……!」
だが、何も起こらない。
「あーはっはっは!!やっぱり無理か!さあ、ヘル・ケルベロス、やれー!【地獄の炎】」
魔犬が咆哮を上げると口から獄炎が放たれソウマに向かっていく。
その瞬間――
「ソウマ!!」
少女の叫びが響いた。
ミアがソウマの前に飛び出し、両手を広げて彼をかばった。
「やめて!彼を傷つけないで!!」
ミアの瞳は真っ直ぐにソウマを見つめていた。
「ソウマ……私は信じてる。君は召喚士だよ。誰よりも強く、優しい召喚士だって。」
その言葉が、ソウマの胸に響いた。
――守りたい。
――ミアを、絶対に守りたい。
その瞬間、ソウマの心に熱が灯った。
『うぱー!(――応えよ、我が声に。)』
『うぱうぱっ!(――汝の心が真に誰かを守ると願うならば、我は応えよう。)』
「……ウーパールーパー!召喚!!」
スクロールが光を放ち、空気が震える。
水が渦を巻き、光が爆ぜる。
『うーーーーーーーぱーーーーーーー!!!』
ついにウーパールーパーが現れた。
その姿は以前よりも大きく、尾からは水の粒子が舞い、瞳には確かな意志が宿っていた。
「ウーパールーパー……!」
『うぱっ!(任せて、主よ!)』
ウーパールーパーが宙に舞い、口を開く。
『うぱーーーーーーー!!!』
ミアに接近していた炎がウーパールーパーから放たれた水流によって打ち消されそのままヘル・ケルベロスを包み込む。
「な、なんだこの力は……!?」
アクヤークが後ずさる。
ヘル・ケルベロスは咆哮を上げながら、召喚解除されて消えていった。
「くっ……うそだろ……!おぼえてろ!!」
アクヤーク達はは悔しそうにその場を去る。
静寂が戻った裏山。
ソウマはミアの前に立ち、そっと手を差し出した。
「……ありがとう、ミア。君のおかげで、僕は召喚できた。」
ミアは微笑みながらその手を握った。
「ううん。それは君自身の力だよ、召喚獣がそれに応えてくれたんだよ。」
ウーパールーパーはふわりと宙に浮きながら、つぶらな瞳で二人を見つめていた。
『うぱうぱっ!(これが誰かを守りたいと思う力“心の力”だよ。主よ、君はもう無能なんかじゃないよ)』
「僕頑張るよ!これからミナやいろいろな人たちをどんどん守れるように・・・。」




