表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱スキル【メモ帳】しかない落ちこぼれだった俺、異世界で“最強の書き手”と呼ばれるまでやり直す  作者: 妙原奇天


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/23

第5話「最弱の烙印と新たな試練」

 ギルドの大扉を押し開けると、酒場のざわめきが一斉に止んだ。

 数十の視線が俺とアリシアに突き刺さる。泥に汚れた鎧、矢の抜け殻、そして袋に詰め込んだ盗賊たちの武器や証拠品。

 受付嬢ミーナの目が大きく見開かれた。

 「リオ……まさか、本当に盗賊団を……!」


 俺は黙って袋をカウンターに置く。

 「討伐完了。頭目も仕留めた。証拠はこれだ」

 血に染まった斧を取り出すと、周囲からどよめきが起こった。


 「信じられねえ……」

 「新人二人で盗賊団を全滅させたってのか?」

 「バカな、あの“メモ帳”だぞ!」


 昨日まで俺を笑っていた冒険者たちが、今は目を丸くしていた。


 報告を終えると、ミーナが金貨を一枚差し出してきた。

 「依頼達成報酬。……本当に、よくやったわ」

 その声には、心底の驚きと少しの尊敬が混じっていた。

 俺は金貨を受け取り、アリシアと半分に分ける。


 背後から、例の三人組が近づいてきた。昨日まで嘲笑を浴びせてきたCランク冒険者たちだ。

 「……認めてやるよ、“メモ帳”。お前らが盗賊団を潰したのは事実だ」

 不機嫌そうに吐き捨てながらも、その声には敵意よりもむしろ苛立ち混じりの悔しさがあった。

 俺は視線を返し、静かに言った。

 「ありがとうよ。ただ、俺はまだまだ弱い。これから証明していく」


 周囲に笑いは起きなかった。代わりに、しんとした沈黙が広がった。

 最弱の烙印を押された俺が、初めて周囲に“存在”として認められた瞬間だった。


 その夜。

 宿の一室で、アリシアが窓際に座りながら口を開いた。

 「リオ……あんた、本当に変わったね」

 「変わった?」

 「うん。最初に会ったときは、自分を信じてない目をしてた。でも今は違う。……まっすぐ前を見てる」

 彼女の言葉に、胸の奥が熱くなる。

 「……俺は前世で、逃げてばかりだった。だから今度こそ、逃げない」


 アリシアは小さく笑った。

 「その決意、私も信じるよ」

 夜風が吹き込み、彼女の赤髪が揺れる。小さな焚き火のように、俺の心を照らした。


 数日後。

 ギルドの掲示板に、新たな依頼が貼り出された。

 「北方ダンジョン調査――報酬金貨二枚」

 それは、新人にはまず回ってこない高額依頼だった。

 ミーナが俺たちを呼び止める。

 「リオ、アリシア。この依頼、君たちにやってほしいの」

 「俺たちに?」

 「盗賊団討伐で実績を上げた今なら、ギルドも後押ししてくれるわ。けど……危険なの。戻ってこなかった冒険者も多い」


 緊張が走る。

 だが、俺は頷いた。

 「受ける。逃げてばかりの人生はもう終わりだ」

 アリシアも笑みを浮かべて頷く。

 「行こう、リオ。今度は二人だけじゃない。仲間を集めて挑もう」


 新たな挑戦の幕が開く。

 最弱と笑われた【メモ帳】が、今度はダンジョンという本物の試練に挑むのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ