隣の町の女子高へ緑のブルマを見に行った思い出
90年代の思い出
隣町の緑ブルマと深緑のブレザーを追いかけて。
高校生の夏、隣町の女子校の噂を耳にした。
田んぼの真ん中に佇むお嬢様校で、体育の授業では緑のブルマ、制服は深緑のブレザーだと。
ブルマと言えば、僕の中ではエンジか紺しかなかった。
それが緑だなんて、まるで新しい世界の扉が開いた気分だ。
盗撮なんて目的じゃない。
カメラも持っていない。
ただ、その光景を目に焼き付けたいだけ。
週末、ボロボロの自転車で駅へ向かい、ガタゴトのローカル線で隣町へ。
車窓に広がる田んぼの緑に、期待が膨らむ。
駅から20分、田んぼに囲まれた校舎が遠くに見える。
深緑のブレザーを着た女生徒の姿は、まるで絵画のよう。
学校近くの小さな本屋で待機だ。
窓際の雑誌コーナーで車雑誌を手に持つが、目は外の通りへ。
深緑のブレザーがチラリと見えるたび、心がざわつく。
3時半、部活の時間。
本を戻し、そそくさと本屋を出る。
田んぼのあぜ道を歩き、校舎裏のグラウンドへ。
フェンス越しに、噂の緑のブルマを着た女生徒たちがバレーボールや陸上の練習に励んでいる。
エンジと紺しか知らなかった僕の世界が、鮮やかな緑によって一気に広がった。
田んぼの緑とブルマ、ブレザーの深緑が溶け合い、自然と調和した美しさに息をのむ。
だが、近づくほどに緊張が高まる。
通報されたらどうしよう?
怪しまれないよう、フェンス横で立ち止まらず、ゆっくり歩いて往復する。
カメラはない、ただ見ているだけ――そう自分に言い聞かせるが、何度も行き来する姿は、かえって怪しさ全開だ。
女生徒たちの笑い声や掛け声が聞こえるほど近づくと、心臓が跳ねる。
その声は田んぼの静けさに響き、夏の風と溶け合う。
緑のブルマは陽光に輝き、田んぼの緑と一体となって目に焼き付く。
もう十分見た、と思いながら、ついもう一往復。
練習が一段落し、彼女たちが校舎へ戻るまで、僕はあぜ道を何往復しただろう。
駅への帰り道、田んぼの緑とあの光景が頭から離れない。
通報されなかった安堵と、エンジと紺の世界に緑という新色を加えた衝撃。
緑のブルマと深緑のブレザーの美しさは、夏の思い出として、僕の心に新しい輝きを刻んだ。
90年代の思い出