表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

隣の町の女子高へ緑のブルマを見に行った思い出

90年代の思い出

隣町の緑ブルマと深緑のブレザーを追いかけて。

高校生の夏、隣町の女子校の噂を耳にした。

田んぼの真ん中に佇むお嬢様校で、体育の授業では緑のブルマ、制服は深緑のブレザーだと。

ブルマと言えば、僕の中ではエンジか紺しかなかった。

それが緑だなんて、まるで新しい世界の扉が開いた気分だ。

盗撮なんて目的じゃない。

カメラも持っていない。

ただ、その光景を目に焼き付けたいだけ。

週末、ボロボロの自転車で駅へ向かい、ガタゴトのローカル線で隣町へ。

車窓に広がる田んぼの緑に、期待が膨らむ。

駅から20分、田んぼに囲まれた校舎が遠くに見える。

深緑のブレザーを着た女生徒の姿は、まるで絵画のよう。

学校近くの小さな本屋で待機だ。

窓際の雑誌コーナーで車雑誌を手に持つが、目は外の通りへ。

深緑のブレザーがチラリと見えるたび、心がざわつく。

3時半、部活の時間。

本を戻し、そそくさと本屋を出る。

田んぼのあぜ道を歩き、校舎裏のグラウンドへ。

フェンス越しに、噂の緑のブルマを着た女生徒たちがバレーボールや陸上の練習に励んでいる。

エンジと紺しか知らなかった僕の世界が、鮮やかな緑によって一気に広がった。

田んぼの緑とブルマ、ブレザーの深緑が溶け合い、自然と調和した美しさに息をのむ。

だが、近づくほどに緊張が高まる。

通報されたらどうしよう?

怪しまれないよう、フェンス横で立ち止まらず、ゆっくり歩いて往復する。

カメラはない、ただ見ているだけ――そう自分に言い聞かせるが、何度も行き来する姿は、かえって怪しさ全開だ。

女生徒たちの笑い声や掛け声が聞こえるほど近づくと、心臓が跳ねる。

その声は田んぼの静けさに響き、夏の風と溶け合う。

緑のブルマは陽光に輝き、田んぼの緑と一体となって目に焼き付く。

もう十分見た、と思いながら、ついもう一往復。

練習が一段落し、彼女たちが校舎へ戻るまで、僕はあぜ道を何往復しただろう。

駅への帰り道、田んぼの緑とあの光景が頭から離れない。

通報されなかった安堵と、エンジと紺の世界に緑という新色を加えた衝撃。

緑のブルマと深緑のブレザーの美しさは、夏の思い出として、僕の心に新しい輝きを刻んだ。

90年代の思い出

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ