表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/23

最終話

 『それでさ!今回の話で一番良かったのはさ─』



 明日から高校二年生となる今日、相も変わらず孝太と鈴華は『いもなじ』の話で盛り上がり、既に一時間以上通話を続けていた。

 いつもなら通話を終える時間だが、鈴華は妙にテンションが高く、話す勢いが収まらない。

 それは孝太も同じ気持ちで、その理由が、



 『それにしても、まさかこんなに早くアニメ化が決定するなんてね〜』



 鈴華の言うように、順調に作品の人気を上げていった『いもなじ』は、この夏にテレビアニメ化される事が決まったのだ。

 いつもは表立って喜ばない孝太も、これに関してはテンションを上げずにはいられない。



 「まだ少し先だけど、今から楽しみなのは変わりないな」


 『だねー!って、もうこんな時間!?明日早いからそろそろ寝なきゃ!』


 「そうだな、それじゃあまた明日」


 

 そう言って孝太は、鈴華が通話を切るのを待っていたが、一向に切れる気配がない。

 不思議に思っていると、鈴華が小さな声で何かを口にする。



 「あ、あのさ、もし明日同じクラスになれたら……」



 そこまで言って、鈴華の言葉が止まる。

 続きを待っていると、風切り音が電話越しに聞こえる。



 「……やっぱり何でもない、また明日ね!」



 そのまま通話は終わり、孝太の部屋に突然沈黙が訪れる。

 そんな中、鈴華が言おうとした事が気になって、孝太は首を傾げながら考える。



 「……同じクラスになれたら、か」



 鈴華が言おうとしていた事を何となく察する。

 奇しくもそれは、孝太が思っていた事と同じであった。




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 翌日、学校に着いた孝太は、自分のクラスを確認して教室に向かう。

 教室の扉を開けると、玄関に貼り出されていたクラス表にあったように、鈴華の姿がそこに会った。

 まだ朝早くだからか、鈴華の周囲には翔太郎だけしかいない。

 

 孝太と鈴華の目が合う。

 鈴華は少しだけ微笑む。

 その表情は、どこか寂しげに見える。

 以前までなら、二人の学校での挨拶はこれで終わっていた。

 孝太はそのまま鈴華の元へと近づく。

 


 「……おはよう、南沢」



 そう声に出して挨拶をする。

 鈴華は一瞬目を見開いた後、満面の笑みを浮かべる。



 「うん!おはよう、越島!」



 今まで話している所を見たことがない組み合わせに、周囲の生徒は驚きざわめきだす。



 「あれ?二人って仲良かったの?」



 隣に居た翔太郎が純粋な気持ちで質問する。



 「まあな、普通に友達だよ」



 孝太がそう答えた事が余程嬉しかったのか、鈴華の笑みがさらに輝きを増す。

 そこに、一人の女子生徒が勢いよく扉を開ける。



 「孝太!やったね!同じクラスだ、ね……」



 勢いよく扉を開けた眞知が、孝太と鈴華の漂わせる雰囲気を見て、眉間にシワを寄せる。



 「ちょっと!何よ!この甘ったるい雰囲気は!」


 「お、落ち着け!ただの友達同士の会話だよ!」


 「嘘つけー!この、浮気者がー!」



 眞知が孝太に噛み付く勢いで飛びついてくる。

 それから孝太は逃げる。

 そんなやり取りを見て、鈴華は笑っている。

 

 孝太と鈴華は、ようやく友達としてのスタートを切った。

 この先も、二人の関係は続いていく。

この話はこれにて終了とさせていただきます。

ここまで読んでくださった方には感謝しかありません。

本当にありがとうございました!

今回は、恋愛より友情関係に重きを置いてみました。

元々、短編で書こうと思っていた話を、長くしたので、無理やりになってしまった部分もあると思います。

そこは反省点です。

次回作も既に考えているので、読んでくださると光栄です。

また、私事ではありますが、以前に投稿した作品が、

第5回一二三書房Web小説大賞にて、コミカライズ賞を受賞致しました。

これも読んでくださった方のおかげです。

そちらもぜひ読んでみてください!

長くなりましたが改めて、本当にありがとうございました!

次作もなるべく早く書きます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
一気読み! 面白かったです。 ありがとうございました^^
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ