第二章幕間
『人憑の究極体、神憑についての研究記録』
これは自分が十数年神憑に調べ、それを纏めたものである。
神憑、それは人憑の中でも最も危険な存在ではあるが、神憑としての能力を顕す個体は極めて少ないようだ。神憑は明朝でも少数しか確認されていないようだ。
刀を作る傍ら自分はこの神憑について調べてきたが、個体が少ない故に情報も少なく、統計が取れていないのも実情であるがここにその記録を残す。
夢幻のソラ 第二章幕間
神憑。それは人に神が取り憑いたもので、人憑の仲間である。神憑としてその能力を人に発揮するものは極めて少ないが、ただ人に取り憑いているもの、人を寄り代として神が顕現しているものなど全く無害な神憑も存在する。
しかし、その神憑の中でも有害なものも存在しているようだ。自分が調べた中で最も身近に感じることが出来るのが、貧乏神だ。これも神が人に取り憑き、人を貧乏にしているある種の神憑である。
しかし、最も神憑の中で危険性の高いものは悪しき神々の取り憑いたものだ。やつらは神の力を発揮し、通常の人憑としての能力を遙かに上回る能力を使用する。その能力は通常の異端、人憑等は一撃で倒すほど、一般人ならばその威圧だけで倒れてしまうほどであろう。
自分が出会った中でも異端や人憑きなどとは明らかに異なる雰囲気を纏っているものが殆どだった。見た目が大きく変化しているものも多く神憑を知っている者であれば一目で見分けがつくだろう。
だがその強力な力を持つ神憑は個体が少ないゆえにその被害も少ないだろう。
以上が自分が十数年に亘って調べ上げた神憑についての記録である。 永正11年 南冲尋定
――手紙には、ただ、そう書かれていた。
南冲尋定って読めますか?