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転生最弱ポメラニアン、魔王を倒す  作者: キサラギトシ
第二章 ポメラニアン暮らしと魔王の影
23/144

23 魔王の眷属

「魔王の眷属(けんぞく)だって?」


 まさか、この辺りの主だという巨大ガエルの口から「魔王」という単語が出てくるとは。魔王って、一体何なのだ?


「おいアンタ、俺は『魔王の眷属(けんぞく)』なんて聞いたこともない。ただの子犬だ」

「ふむ。ならばお主『魔王の使徒』という言葉を聞いたことはあるか?」

「『魔王の使徒』だって?」


 あの夜の記憶が蘇る。俺の右後ろ足を噛んだミニチュアシュナウザー。俺とトイプードルのプーの脱走を阻止し『魔王の使徒』と自称した犬の姿を。


「お前、あのミニチュアシュナウザーを知ってるのか?」

「ほう、やはり心当たりがあると見える」

「心当たりというか『魔王の使徒』には、俺もしてやられたんだよ」


 俺はカエルに、ペットショップから逃げ出そうとしたこと、なぜかミニチュアシュナウザーに見つかり、魔王の使徒と名乗った奴のせいで捕まってしまったことなどをかいつまんで説明する。


「なるほどのう。つまりお主は、魔王とは関係ないと、そう言うのじゃな?」

「ああ。逆に魔王って何なのか教えて欲しいくらいだよ。アンタ、教えてくれよ」


 カエルは俺の体から足を離して解放してくれた後、静かに話し出した。


「魔王のことは、ワシも先代の(ぬし)からの言い伝えしか知らん。魔王という存在がいて、すべての動物を操ることができる存在だと。そしてその配下は『魔王の眷属(けんぞく)』と呼ばれ、高い知能を持っているとな」


 すべての動物を、扱うことができる、だと?

 魔王や使徒、眷属(けんぞく)に続いて、いよいよファンタジーじみてきやがった。ほんとにこの時代、過去の日本なのか?


「なあ(ぬし)さん、魔王ってすべての動物を扱うことができるって本当の話か?」

「実はワシは言い伝え以上のことは知らん。魔王がどんな姿をしているのか、魔王の眷属(けんぞく)がどんなヤツらなのか、何もわからんのじゃ。ただな、お前が子犬にしては信じられないほどの知能を持っていそうだったので、カマをかけてみたのじゃよ」

「なあカエルさん、魔王について他に何か知っていることはないのか?」

「まあ、あるがの。それはまた、今度の話になりそうじゃな」


 カエルは自分の顎をある方向に向けて動かした。


「モフー、どこ行ったのー?」

「帰るよ、モフー!」


 見ると、友梨奈と風太が俺の姿を探しているのが遠くに見える。


「なあ、アンタいつもここにいるのか?」

「アンタはやめろ。ワシはウシガエルの『ウシダ師匠』と呼ばれとる。この辺りに来て探せば、大体おるじゃろう」

「そっか、ウシガエルだったんだ」


 説明しよう。

 ウシガエルとは北米原産の特定外来種のカエルのことで、東京では多摩川流域などに実際に住んでいる大型のカエルである。夏になると「ブオー」とまるで牛のような鳴き声をするため、ウシガエルと呼ばれている。体長は20センチ未満とされているが、誇張ではなく実際30センチぐらいの子犬サイズのウシガエルも存在する。俺は人間時代に巨大ウシガエルと夜道でいきなり遭遇し、そのあまりの大きさと不気味さに腰を抜かしそうになったこともあるほどである。


「ウシダ師匠、ですね。わかりました、近日中にまた来ます」

「わかった。お主はモフとか言ったかの。お主にはワシもまだ聞きたいことがあるから、待っておるぞ」


 俺は姉弟のところに駆け戻り、リードを着けてもらうと家に向かって歩き出した。

 この辺りの主であるというウシダ師匠のこと、すべての動物を扱うことができるという魔王やその眷属、そして魔王の使徒のことを考えながら。

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