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渡しにいくのは絶対無理

 気だるげに伸びをしながらレヴィは起き上がった。

「ふあわあわ~。」と大あくびをする。

なんとなく部屋の明るさで寝坊したかなと思う。変な夢を見た。それもこれも昨日見た黒髪オバケのせいだ。


「あっ、精霊だった。」

昨日の踊りによれば、おばけではなくターオに住まう精霊だということらしい。


 トイレをすませ、顔を洗い、用意されていた服を着替え、ドアを開けると護衛騎士がビクッと体を震わせたので、レヴィもビクッとして扉を閉めた。


「レヴィさま、そのままどうぞベッドで横になってお待ちください。」


外から護衛騎士がそう声をかけてきたので、レヴィはビックリして素直にベッドまで戻ると、着替えた服のままベッドにもぐりこんだ。しばらくするとウェイロンが入ってきて、レヴィは幼馴染でないことにがっかりした表情を隠さなかった。しかも隣には昨日の医師がいる。


「おはようレヴィ。ちょっと診察するからそのままで。」

「・・おはようございます。」

まさか知らない間に病気にかかっているのだろうか、レヴィは不安げに医師とウェイロンを見比べる。

「昨日倒れたから念のためです。」

レヴィは納得すると医師の診察を受け問題ないとのお墨付きをもらった。


医師が出ていったので、レヴィは起き上がり部屋から出てウェイロンと一緒に食堂へ向かう。もう昼が近い時間らしく、レヴィは寝坊しすぎたことを怒られるんじゃないかとウェイロンをちらっと見上げる。


「レヴィ今朝のこと覚えていますか?」

「ハイ、寝すぎマシタ。ごめんなさい。」

「確かに寝すぎですね。そうではなくて花冠を作ったことは?」

「花冠?」

うーんと考えてレヴィは記憶をたどる。


「えーと、ああ、湖?で白い花輪を作って黒髪お化けにあげました。」

「湖?神殿ではなくて?」

「ん?湖っていうか泉?あれ神殿?でもミミズもいました。」

「ミミズ?」

「ミミズのウンディーネさま。ん?黒髪お化けが白かんむりお化けになった?いや精霊?」

「ミミズのウンディーネさま?レヴィ何の話をしています?」

「え?花輪を作った話ですか?」

「どこで?」

「ミミズの横?ん??あれ?泉??」

だんだん記憶が曖昧になってくる。


「レヴィ、あなたは今朝4時頃から主神殿で白い花冠を作っていました。覚えていますか?」

「朝4時?そんな早起きしていません・・。」

「・・なるほど。分かりました。どんな夢を見ましたか?」

「お化けの夢をみました。怖かったです。昨日本物のお化けも見ました!」

レヴィはウェイロンにお化けの話をしてなかったことに気づくと、今度は一生懸命昨日みたお化けの説明をしているうちに食堂についた。


昼に近い時間だったので、朝からわりとしっかりしたものが出されたが、15歳の異次元胃袋はお構いなしにバクバクと食べ進める。

ウェイロンも隣で食事をすすめながら神官の一人に何か言づけると、レヴィが満腹になった頃に、目の前に白い花冠が置かれた。


「コレ、白かんむりお化けのやつです。」

「あなたが作ったものですね。」

「はい、作りました。でも黒髪お化けには似合いませんでした。」

「・・お化けにあげたんですか?」

「喜んでました。」

「そうですか、それならきっと実物も楽しみにしてるでしょうね。」

「あれ?これ実物?」

「渡しにいきますか?」

「・・・・・・・・・・・・お化けに?」

「精霊です。」

レヴィがふるふると首を振る。

「無理。」

「なぜ?」

「だって、お化け、お化け・・・。」

「精霊です。」

レヴィが再度ふるふると首を振る。

「絶対無理。」


ウェイロンはふーと息を吐くと後でリアムを召喚することに決めた。

それでダメならロイにどついてもらおう。

それでも言う事を聞かなかったら最終的にデナーリスに手を引かせることにしよう。

長生きのウェイロン様は気が長いのである。

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