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おおかみちゃん  作者: 功野 涼し
おおかみちゃんを狩ろうだなんて

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3.追われるおおかみちゃん

 オオカミと言えば童話では大抵悪者。


 羊を騙したり、3匹の子豚を襲ったり、赤い頭巾をかぶった少女を騙し襲ったりする。オオカミ少年と言えばウソつきの代名詞だし、基本的にいいイメージはない。


 だいたい物語の最後はオオカミが酷い目にあって、めでたしめでたしで終わる。


 おおかみちゃんである私の最後もそうなのだろうか?


 いや、もう少し幸せなオオカミがいてもいいだろう。オオカミにも幸せになる権利はあるはずだ。みんなに嫌われるオオカミだって一生懸命に生きてるんだから幸せを望んで何が悪い。


 私は夜道を歩きながら小さくため息をつく。


「少なくともここで終わるのは勘弁だよね」


 あのメールが来てからここ数日周囲に気を付けてみれば、どこかしらから視線を感じる。


 主に夕方から夜にかけてだが、ときどき朝からついてくることもある。

 24時間ずっとではないが、時間が不定期ということは、学生か働いているか何らか時間に拘束されている人では、ないのかもしれない。フリーターかもしくは働いていないか。

 念のため一時的に主に住んでいるマンションから、仮のマンションで生活している。今のところマンションの中へ来るような気配はないが、だからといってほったらかしておいてもいいことにはならないだろう。

 なによりも四六時中視線を感じ、ときどき送ってくる写真とコメントから私のことを自分の彼女だと思ってる節があり、正直不愉快である。


 これらのことから、時間が自由に使え思い込みの激しい自分勝手な人物だと私は推測した。


 まあそんなことが分かったところで、どうにもならないのだけど。


 私からつかず離れずの距離で後をつけてくる人物は、無駄に気配を感じさせながらこちらを窺っているように感じる。

 試しに足早に歩いてみると、慌てて動いたのだろう気配が大きくなる。あまり運動神経はよくないのだろうか、距離が僅かに離れる。


「さて、どうしようかな。お話を聞いてくれる人だと助かるんだけど」


 私は後ろからついてくる気配にうんざりしながらポーチの中に手を入れると手探りでスマホを探す。


 一度立ち止まってスマホを取り出して通知をチェックする。ある通知を開き光る画面にある文字を読んだ私は笑みをこぼす。


 スマホをポーチへ戻し、ポーチの中身を再確認すると再び歩き出す。


「おおかみちゃんを狩ろうだなんて、なんて間抜けな狩人さんなんでしょ」


 私は歩みを速め後ろにある気配を連れて人気(ひとけ)のない方へと向かう。


 自分を狩人だと勘違いしているねずみさんが私を見失わないようにと。

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