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007 かおる、盗賊団を掃討する

 盗賊団はバリケードを築いてその中から矢と銃弾を兵士たちに浴びせていた。兵士も探索者もまったく近寄ることが出来ない。


「矢は鎧で防げるが、あの鉛の弾丸は鎧を貫く。連中どこから最新式の銃を手に入れたのだろうか?」


「馬鹿王子が武器の横流しをしているらしい」


「またニセ勇者様か、悪事すべてに手を染めているんじゃないか」


「まあ、悪事はすべて馬鹿王子の仕業にしておくと都合が良い連中が多いだけかもだがな」


「かおる、真っ直ぐ進め」


「エクスキャリバーさん、私、矢はそこそこ避けられる自信はありますけど、さすがに銃弾は避けられないですけど」


「避ける必要はない。ありゃ粗悪品だ。狙ったところには絶対弾は飛んでんこない。俺が保証する。心配なら全身に魔力をまとえば、あの程度の銃弾なら弾く」


「相棒、了解です」私は百ポイントを支払って全身を魔力で包んだ。兵士たちの集団から前にゆっくり歩き出した。兵士が戻れと声を上げている。心配してくれてありがとう。


 矢が頭の上から降って来た。軽く避けた。銃の射程距離に入ったようで、うるさいくらい撃ってきた。まったく当たらない。一発地面に当たって弾かれた銃弾が、私を覆う魔力にまた弾かれただけだった。加速が出来る距離に入った。


「加速」私は盗賊団の陣地に飛び込んだ。先ずは銃撃隊の連中の腕を斬り落とした。次は弓矢隊を襲う。すでに盗賊団には戦意はなく武器を捨てている。


 後ろでは兵士の皆さんが歓声を上げていた。少し恥ずかしい。


 盗賊団の最後の拠点が落ちた。これで王都での戦闘は終了なのだけど、報酬の一万ポイントは誰がくれるのだろうか?


 兵士長さんに尋ねてみた。


「私の報酬はどなたから貰えば良いのでしょうか?」


「かおるの雇い主からになる」と苦い表情で言う。


「私に雇い主はいませんけど」


「王城から、俺のところに毎日新しい探索者が来たかどうかの問い合わせがくる。俺は探索者の名前を答える。後は貴族たちが、そいつらを自分が雇ったことにして、報酬を分けるのさ」


「ということは私は報酬が貰えないってことですか?」


「そう言うことだ。そのことを知った探索者が強盗に変わった」


「強盗になった探索者の雇い主になっていた貴族は、今頃大慌てで記録を改竄かいざんしていることだろうよ。雇った連中の後始末は雇い主の責任だから」


「あんたはどこから来たのかね? まだあんたのことは王城に報告していないのだが」


「私は、ドケチ代官様のところの兵士長さんから王都に行くように言われて来たのですが……」


「ドケチ代官様とはエリオット様もお気の毒になあ」


 ドケチ代官様の名前はエリオットなのか。この兵士長さんは代官様と何かつながりがあるみたいだ。


「エリオット様は公平な方だ。報酬は必ずあんたのマイナーカードに入る。無報酬ってことはない。ただ盗賊団の根拠地を落とした功績によるボーナスポイントは諦めてほしい。葬儀費用やらケガをした兵士や探索者の治療費にあてたい。すまない」


「ボーナスポイントはどうでも良いです。一日で一万ポイントですから」


「小さな文字で一日の上限は百ポイントって書いてるあるはず……。大きな文字で最大で一万ポイントって書いてあるから皆んな誤解している。小さな文字ほど大事なことが書いてあるんだよ」


 セコイわ。この王国は詐欺師ばかりじゃないか!


「それで、あなたはどうする兵士になるつもりなら俺が推薦状を書くけど」


「いえ、私は探索者登録をして探索者になります」


「そうか、残念だが、仕方ないなぁ」


「探索者ギルドはそこの教会の隣、三階建の建物だ」


「色々教えてくださりありがとうございます」



 私は探索者ギルドに入った。受付の少女が一人いるだけだった。


「あのう、探索者登録をしたいのですけど」


「この石板にマイナーカードを置いてください」


「はい、登録は終了しました」


「登録料として千ポイント、年会費が千ポイントです。年会費は自動引き落としなのでご注意ください」


「それとですね。大半のダンジョンが魔王支配地域になっているので、そこのダンジョンでモンスターを倒してもポイントは入りませんから。宝箱狙いが良いと思います」


「魔王支配地域以外のダンジョンについては現在入場を制限をしています。初回登録記念で今なら優先入場出来るスタンバイパスが一万ポイントですけどいかがでしょうか?」


「けっこうです」



 私は探索者ギルドを出た。


「さて探索者登録はしたけどこれから私はどうしたら良いのかしらね。魔王支配地域のダンジョンと王国内のダンジョンどっちに行けば良いのかしら?」


「その前にパーティを組まないとダンジョンをソロで潜るのは今のかおるじゃあ無理かもしれん」


「パーティですか。魔法使いに戦士にプリーストですか?」


「プリーストはほしいなあ。回復役は必須や」


「プリーストですか? 私みたいな貧乏人と組んでくれるプリーストがいるかしらね」


 回復役は人気で探索者パーティは皆んな欲しがっている。プリーストがいれば自分のポイントを減らさずに魔法が使える、体力を回復させられる。プリーストはマジでチート的な存在だから。とはいえプリーストはパーティメンバーを回復させると自身の体力が削られる。


 パーティが危機的状況になった時、プリーストを使い倒して、体力切れのプリーストを見捨てて逃げ出すパーティも多い。そういうこともあるので、プリーストはパーティメンバーを慎重に選ぶのだ。


 私のような実績のない探索者登録をしたての剣士とパーティを組んだくれるプリーストがいるとは思えない。私の場合、そのパーティで魔王討伐をするかもなので、私がどうしてもパーティリーダーでないといけないし……。


 私は入場制限あるダンジョンより入場制限のない魔王支配地域にあるダンジョンに行ってみることにした。


 借りている馬は魔王支配地域に連れて行けないので、しばらく馬は代官様と縁のある兵士長さんに預かってもらうことにした。

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