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14 シュヴァルツ視点

 女子寮へと帰るマリアベルを、見送りに出ていたゲオグラムが戻ってくる。ゲオグラムの整った双眸は歪められ、、眉間にしわを寄せた険しい表情を浮かべていた。顔が整っているせいで、冷たく不機嫌な印象を抱かせる顔だ。それ故か、世間では氷の貴公子と呼ばれているらしいが、長年一緒に居るオレには分かる。アレはゲオグラムが不安を感じている時の顔だ。コイツは顔に似合わず小心者だからな。


「殿下、あの者…」


「お前も気が付いたか」


 ゲオグラムも気が付いたか。先程は小心者と評したが、裏を返せば、注意深く慎重ということだ。まあ、あれだけ怪しければ気付いて当然かもしれない。


「まるで見てきたかの様に語るものだ」


 マリアベルはこう言っていた。


『たしか、殿下の御部屋からベグウィグを飛ばします。時間は夜の遅く。少なくともヴァイス殿下は寝ていました』


 未来を過去の様に、まるでその場で見てきたかの様に語っていた。言い間違いであのような言い回しにはならないはずだ。それに、マリアベルは左上に目を向けて語っていた。これは彼女が何かを思い出す時の癖だ。あの時、マリアベルは何かを思い出しながら語っていたことになる。


 それに、おかしな点はまだある。


「ベグウィグの件も不可解だ」


 ゲオグラムが頷いて同意を示す。


 マリアベルは事前に“時”が重要だと言っていた。オレはてっきり情勢の変化を待つのかと思ったが…。まさか、ベグウィグがカフスボタンを拾ってくるとは。マリアベルは明言しなかったが、ベグウィグがカフスボタンを拾ってくることを知っていたのではないか?現に、あの女はベグウィグがカフスボタンを拾って来た事に驚いた様子はなかった。


「未来が見えるとでも言うつもりか…」


「まさか…」


 ゲオグラムが驚いた声を出す。そうだな。飛躍のしすぎか。マリアベルのハッタリの可能性は十分にある。十中八九ハッタリだろう。だが、残りの一、二は…。


「ハハハハッ」


 思わず笑ってしまった。


「殿下?」


「面白い女だ」


 笑うなんて久しぶりのことだ。ゲオグラムがオレを見て驚いている。その顔が余計に面白かった。


「クフフッ、ハハハッ」


 オレもマリアベルが未来が見えるなんて思ってない。面白いのは、マリアベルの利が見えない事だ。まさか、本気でオレと兄上の和解が目的なのか?それによって得られるマリアベルの利とはなんだ?見えてこない。あるいはそれが狙いか?


 今まで、オレに近づくのは己の利を求める輩ばかりだった。綺麗に見えるように包装されてはいるが、中身は自らの権利拡大を狙う話ばかりだった。マリアベルからはあまりその臭いがしない。


 オレの関心を買うのが目的かもしれない。となると、狙いはオレか。あまり女らしい態度を見せなかったので、その気は無いのかと思っていたが、どうやらアレも女だったらしい。こんなアプローチのされ方は初めてだ。面白い。


「今度、預言者殿に色々と聞いてみるか」


「お戯れを…」


 ゲオグラムが処置無しとばかりに首を振っている。呆れているのだろう。だが、色んなことを質問され困っているマリアベルを見るのは楽しそうだ。どういう答えが返ってくるかも気になる。


「そう言えば殿下、マリアベルに関して妙な噂が」


 ゲオグラムが顔を引き締めて、改まった態度で話す。ふむ、どうやらあまり良くない話らしい。


「聞こう」


「実は……」

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