表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

守りたい人

月明かりの夜、


リオウは以前出会った少女の部屋に忍び込んでいた。


館は多くの兵士で物々しい雰囲気で物音一つ立てれば部屋の中に兵士が入ってくるだろう。


リオウは少女に何故この部屋に来たのかを簡潔に説明する


リオウ(君を、殺しに。)


びっくりすると思った。大きな声を出されると思った。


けれど少女の反応は予想外のものだった。


少女 (ふーん)


少女はまったく動じていなかった。


リオウ(怖く、ないの?)


小声で聞く


少女 (ぜんっぜん)


少女からは緊張のカケラも見えなかった



少女(ふーん、私を狙ってたのってお兄ちゃんなんだ)


まじまじと少女はリオウを見つめる


リオウ(、、、、そう、だよ。)


少女 (ふーん)


少女は少し考えた後



少女 (それだけ?)


と、期待外れだーとため息をついた


、、、、、、、、、、



少しの間沈黙が流れる。


何かを言いたそうなリオウ。


それを言うまで待っている少女。


チクタクチクタク


部屋にある時計が音を鳴らす



チクタクチクタク



チクタクチクタク



どれだけの時が経ったか、



意を決したのか、

リオウが重い口を開く


リオウ(じ、実は、もう一つ、目的がある、んだ、、、、)


少女は待ってましたとばかりに、身を乗り出して


少女(なに?なに?)


と、目を輝かせた。



リオウ(、、、言ったろ、あの日。次に来るときはこの館の宝を盗みに来るって)


少女(え、、、たから???)


少女は思ったのと違ったようで残念な顔して口を尖らせる


リオウ(そう、宝)


リオウ(この館の宝、、、、君を、盗みに来た)


リオウは少女を見つめる


それは少女の期待していた言葉だったのか


少女は嬉しそうに


少女(私を盗みに?極悪人だねえ〜)


とこれからイタズラをする子供のようにニヤリと頬を緩ませた


リオウ(ああ、俺は悪い人なんだ)


少女は余程嬉しかったようでリオウを抱きしめていた


--------------------------------------------------------

少女(こっから、飛び降りるの?)


窓の冊子に足を掛ける


リオウ(ああ、そこにハンドグライダーがある。そこに飛び移る)


少女(ちょっと、怖いな、、、、)


この部屋は館の三階にある。


落ちれば、痛い、では済まない。


が。


リオウ(大丈夫。俺に掴まって)


少女(う、うん、、、)


リオウ(行くよ!)


と、その時


ウーーーウーーーウーーーー


館のサイレンが鳴り響く


リオウ「えっ?」


と、同時に


バタン!!!


と部屋の扉が開く開かれ兵士が入ってくる



兵士の目には窓から飛び移ろうとしている少女と怪しい男。


兵士「ひ、姫さまーーーーー!!!」


兵士が怪しい(リオウ)を成敗せんと駆け寄ってくる


そして、スラリ、と剣を抜く


一歩、二歩、三歩!


射程圏内にリオウを収めたその時


リオウ「飛ぶぞ!」


少女「う、うん!」


リオウと少女は掛け声と共に窓から外へ飛び出した


兵士は驚く

兵士「ひ、ひ、姫さまーーーーー!!!」



ふわり


と空中に浮かんだ二人の体が重力により地面へ急降下する


少女「、、、、、、、!!!」


少女は顔をこわばらせる。


リオウ「大丈夫!」


月明かりの影から現れたのは一台のハンドグライダーだった


その時間、その場所に現れるよう、遠隔操作していたのだった


ドカッ


小型の飛行機に着地をしてハンドルを握り、飛行機を急上昇させる


ビイイイイイイイイイイン



エンジンは高速に回転して飛行機は空へ無事飛び立ったのだった


、、、ふと、館の方を見れば人の怒号だったり慌てた様子だったり。


警備の人たちが怒られてしまうだろうことは申し訳ないなと思いつつ、


少女と共に飛行機に乗れた事を安堵した


--------------------------------------------------------


飛行機は空を飛んでいる


少女と少年を乗せて。


ビイイイイイイイイイイン



エンジンの音が響く


リオウ「、、、後悔してる?」


リオウは不安に思っていることを口にする。


少女「、、、、して、ないよ。」


と、後悔していないと口にした。


、、、後悔していなくともこれで本当に良かったのか?そう疑問には多少なりとも思っているだろう。


けれど少女はその不安を一切口にしなかった。


その短い会話の後、不思議と会話が無くなった。


ビイイイイイイイイイイン


エンジンの音だけが鳴り響く


でも、それは苦痛では無く、とても心地良いものだった。



目的地は国境の外れの町。


誰も、自分達を知らない町へ、、、、

--------------------------------------------------------

途中



少女「え、私の名前?言ってなかったっけ?」

そう。長らく何故か聞くのをためらっていた事を聞いてみた。


何故か、その名前を聞くのは怖かったんだ。


でも、、、、


少女「私の名前は、ナナミ。ナナミだよ!」


実際聞いてみたら、とても、心地良い気分になった。


ナナミ、、、、ナナミ、、、、、ナナミ!


そして、少し思い出した。


、、、、ああ、その名前は覚えている。


大好きだった、大切な存在。


僕の後ろにいつも付いてくる、守るべき存在。守りたい人!



その笑顔



なぜ、忘れていたのか。



しかし過去の事を後悔しても仕方がない。



ずっとずっと、長い間会えなかったんだ。だからその分を取り戻すよう


日々を大切にしていこう


そう思った。


全ては君のために生きよう。


君が笑顔でいるために、、、、、、、




国境近くの外れの町。


二人の生活が落ち着いた頃


ふと、リオウは今まで疑問だった事をナナミに聞いてみようと思った。


リオウ「ねえ、ナナミ?初めて会ったとき覚えてる?」

ナナミ「ん?うん。覚えてるよ」

リオウ「うん。あのさ、ずっと疑問だったんだ。ナナミの探していた人が15歳で、俺が18歳だと伝えた時に」

ナナミ「うん」

リオウ「疑問に思わなかったの?それだけ年の差離れてたらこの人じゃ無いなーって」


ナナミ「んー、思わなかった」


リオウ「そ、そうなんだ。でもそれはなんで?」


ナナミ「えーー、そんなの簡単だよ」


リオウ「それが分からないから聞いてるんじゃないか」


ナナミ「だって、お兄ちゃん、自分の顔、鏡で見た事ある?」


リオウ「え?」


ナナミ「だって、お兄ちゃん、全然18歳には見えないから」


あはは、とナナミは外へ行ってしまった。


リオウは自分は顔を手で押さえ、


リオウ「ええ、、、俺って結構ガキっぽいのかな、、、、」

と、部屋にある鏡を見に行く事にした


これは、とある日の出来事。


今、二人は過去の生活を捨て、二人で暮らしている。


ナナミを家から連れ出したことそれは正解だったのか?


それは本当に本当のところは分からない。


けれど大切なのは、今この二人が一緒に暮らしているのは、互いに思い合う二人がその人の事を一番に思って行動した結果なのだという事。


それが正しい行動であれ、間違った行動であれ、とある一つの真実の愛の形なのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ