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〜エルファナ大森林〜その6

 猟師達が集まっていたのは。森の直ぐ側にある巨木だった、村の中と同じように、巨木の中に部屋を作っていて、そこを拠点にしているようだ。


 「ついたよ、ちょっと待っててくれないかな」


 ミネはそう言いながら、巨木の入り口に作られた扉をノックした。

 中から招き入れる声が聞こえてくる、それを確認して扉を開いた。


 「こんにちは」


 「あれ? ミネ、ミネじゃないか!? 村に戻ってたのか」


 「ちょっと依頼があってね、聞きたい事があるんだけど、中に入って大丈夫かな?」


 中に居たのは、ミネの古くからの友人だった、他の猟師は森に出ていて、ここに居るのは数人の留守番役らしい。

 部屋の中は待機場のようになっていて、テーブルと椅子が所狭しと並んでいる、壁に飾られている毛皮や頭が、猟師の小屋らしい雰囲気を醸し出している。

 狩りに使うような道具が無いところを見ると、上の階が倉庫のようになっているのだろう。


 「それで、どうしたんだよミネ? こっちの人達は?」


 「紹介するよオムゥ、こっちの2人は同じパーティのメンバーで、ヒロ君とアイザック君だ、一緒に森の調査に来ていてね。ヒロ君、アイザック君、こっちは僕の幼馴染のオムゥだよ、腕利きの猟師なんだ」


 「腕利きの猟師の息子だよ、よろしくな2人共」


 オムゥは照れ臭そうに笑いながら、握手を求めてきた。


 「ヒロだ、ミネには世話になってる」


 「アイザックだよ、実は俺も猟師の息子なんだ、よろしくね」


 握手を交わすと、オムゥは椅子に座るよう勧めてくれた。

 立ち話もなんなので、椅子に座らせてもらう事にする。

 テーブルにはオムゥの他にも、村の猟師らしき人達が居た。

 警戒されているような様子はなく、歓迎されているようだ。


 「それで早速なんだけどねオムゥ、ここ最近で村の人以外に、蜂の興奮剤や消臭薬を欲しがって来た人は居ないかな?」


 「興奮剤に消臭薬? うーん、俺の方はちょっと記憶にないかなぁ」


 オムゥは考える素振りを見せながら言った、どうやらオムゥには当てがないらしい。

 一緒に留守番をしている猟師達にも、あてがないか聞いてくれている。

 その内の1人が、何かを思い出したように話し始めた。


 「確かちょっと前に、ここらを旅してるって冒険者が、消臭剤を買い取りに来たってのは、耳に挟んだ記憶があるな」


 「消臭剤だけですか?」


 「まぁ、興奮剤なんて、この森で狩りをしてるやつしか使わないだろうしなぁ」


 消臭剤の方は、猟師達から手に入れたと見て間違いないだろう。

 そうなると、興奮剤の方はどうやって用意したのかだ。


 「ちょっと聞きたいんですが、蜂の興奮剤って言うのは、簡単に作れたり、採取出来たりするんでしょうか?」


 「うーん、ちょっと難しいんじゃねぇかな、出来ない事はないんだが、どうしても効果が薄くなる。ここで使われてる興奮剤は、割と特殊な製法を使ってるからなぁ」


 「製法は門外不出だったりするんですか?」


 「なんだ? 知りたいのか? 別にそんな事なら教えてやるよ、この辺りの猟師ならみんな知ってるだろうぜ、他の所じゃ大して使い道ねぇと思うがな」


 製法自体は、秘密にしていると言うわけではないようだ。

 そうなると蜂の興奮剤は、自分達で用意したと言う事だろうか。


 「どうだい? 役に立つような話だったか?」


 「ありがとうございます、助かりました」


 「おう、前に来た奴らは残念だったな、人数が少なかったからよ、俺達も森の調査するなら案内するって言ってやったんだがな。結局4人で森に入ったっきり、帰ってこなかったな」


 「俺達もそうならないように、注意しますよ。アイザック、ミネ、そろそろ宿屋に帰るとしようか」


 2人と共に、猟師達の拠点を後にする。

 オムゥがわざわざ外まで見送りに来てくれた、ミネとのやりとりを見ると、2人は随分と仲が良いのだろう。


 「残って暫く話しをしてても良かったんじゃないか?」


 「そういう訳にはいかないよ、今は調査依頼の最中なんだからね。それに、この村にいる間は簡単に会えるだろうからね、空いた時間にでも会いに行ってくるよ」


 宿屋に戻ると、みんなはダイニングルームで食事をしている最中だった。

 用意されている昼食を頂きながら、猟師達に聞いた話しを報告する。


 「なるほどな、やはり怪しいのはその冒険者を名乗る者だな」


 「後はどこに隠れているかですね、それに、おそらくまた何か仕掛けてくるでしょう、注意しておかないと足元を掬われ兼ねませんね」


 テーブルの上に置かれた、今は亡き冒険者達のドッグタグを見ながら、コーヒーを飲む。

 ここには無い残りの2人分も、回収出来るのなら、ちゃんと回収しておきたい。

 その冒険者達にも、帰りを待っていた人達が居たのだろう。

 この人達は、この世界に生きて、何を残していったのだろうか。


 「どうしたんだいヒロ? なんだかしんみりしているね」


 「いや、いざ遺品を見ると、ちょっと考えちゃってさ」


 自分はこの世界で何を為して、何を残せるのだろうか。

 いや、今はそんな事を考えている時ではない、まずはこの依頼を完遂させる事を考えるべきだろう。


 消臭剤は猟師達から手に入れた、興奮剤はおそらく自作した、怪しいのは旅の冒険者だと名乗る者。

 知っている情報はまだこれだけしかない、もう少し色々と調べてからではないと、この先は見えそうにない。


 「昼からはもう一度森の調査を?」


 「うむその予定だ、朝のような事がある事を考えて、昼からは5人づつの2グループに分けようかと思う」


 「特に反対ありませんね、調査場所は同じ所を?」


 「その予定だ、あの辺りもちゃんと調べたとは言えないからな」


 昼食を食べながら作戦会議を続ける、悩んだのはグループ分けだ。

 連携の取りやすさを考慮すれば、モリスさん達4人に、こちらから1人追加するのが無難だろう。

 そうなると誰をあちらに組み込むかだ、考えた末、戦力が落ちる事は痛いが、アイザックに行ってもらう事にした。


 昼食も終わり、それぞれ準備を整える。

 朝方森へ入った場所で、別々の方向に向かい森に入っていく事にした。


 「それじゃヒロ、また後で」


 「気を付けろよアイザック」


 何かしらの収穫を期待しながら、本日二度目の調査に出かける。

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