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〜新人冒険者へ〜その15

本日二本目です

 アイザックと二人で模擬戦を観戦する、カーズもユチェも動きは悪く無いように思える、ただ、あの二人だと魔法無しでは決定力に欠ける。


 「上手く立ち回ってはいるんだけどな」


 「残りの二人は、そこまで戦闘慣れしてないのかな?相手の4人もそうだけど、攻めあぐねてるよね」


 少しやり合い牽制して、また少しやり合い牽制しての繰り返しになっている、どちらのグループも決定打に欠けるようだ、それもそのはず、カーズ側にも相手側にも、遠距離派ですと言わんばかりの受験者が二人ずつ混じっている。


 「ユチェもどちらかと言うと、近接戦は受けよりだからね、カーズとの連携はよく取れてるけどね」


 「あぁ、カーズも頑張ってるな、見ろ、盾と斧を上手く使って二人同時に捌いてるぞ」


 ギルド職員の、そこまで、と言う合図が出るまで模擬戦は続いた。

 息を切らせた二人が武器を置いて、こちらに戻ってくる。


 「お疲れさん、どうだったよ?」


 「やっぱ普段から一緒に戦ってるメンバーと違って、即行で作られたパーティだと連携が取れにくいな」


 「私もカーズも、あんまりリーダーやりますって感じでも無いもんね、外から見ててどうだった?」


 「悪くなかったんじゃ無いかな?二人共十分戦えてたように見えたよ」


 二試合目に参加する受験者の名前が呼ばれ始めた、まずは3人、ここでは呼ばれない、更に3人、ここも呼ばれない。


 「って事は、俺もアイザックも最後の試合か」


 「みたいだね、敵か味方か、どうなるだろうね」


 二試合目が始まる、この試合はちょっとグループに戦力差があった、片方のグループが攻め続け、もう片方のグループが守りに徹しているようだ。


 「これはどうだろうな、よく耐えてると思うけどな」


 「そうだね、攻めてる側もそこまで強くは無さそうだけどね」


 「そりゃアイザックからすればそうじゃねぇの?さっきの試合で分かったけど、やっぱアイザックやヒロは強ぇよ」


 その強え奴と。次の試合で敵同士になるかと思うと、気が滅入ってくる。

 とは言え、仲間であって欲しい気持ちと、敵であって欲しい気持ちは、五分五分と言った所だ。

 この2年ほどでアイザックと築いた関係は、仲間でもあり、ライバルでもある、そう言った関係だったからだ。


 「はい、そこまで!お疲れ様でした、武器を棚に戻して、待機場へ移動して下さい」


 さていよいよ最後の試合だ、職員が名前を読み上げていくのに耳を傾ける。

 呼ばれない、呼ばれない、これで呼ばれなければアイザックと同じグループになる。


 「ヒロ・ラルフレン」


 そうなる予感はしていた、アイザックはニヤニヤと笑いを浮かべていて、カーズやユチェは苦笑を浮かべている。


 「それじゃヒロ、一緒に武器を選びに行こうか」


 「そうだな、どの武器でやられたいか選ばせてやるよ」


 「良いのかい?じゃあ素手で」


 「やっぱり自分で選ぶことにするわ」


 二人で武器の入っている収納棚の前に立つ、色々な木製の武器が入っている、かなり種類は豊富だ。

 その中で気になる物を見つけた、木刀だ、こっちの世界にも刀のような剣があるのだろうか。

 更に驚いた事に、その武器を手にした者がいた、キリっとした目の黒髪の女性だ。


 「何か?」


 「あ、いや、珍しい形の剣を使うんだなと思って」


 「そうだろうか?貴方の地方では珍しかったのかもしれないな」


 木刀を手にその女性は歩いて行ってしまった、歩いて行った方向からすると、どうやら敵側らしい。


 「ヒロはあの形の剣を見るのは初めてだったかな?」


 「いや、元の世界でもあったよ、むしろ俺としては、あっちの方が親近感が湧く位だ」


 「そうなんだ、あの形の剣の使い手には気をつけた方が良いかもね、多分だけど、彼女強いよ」


 アイザックはいつも通り槍を使うらしい、幾つかある木の槍の中から一本を選び、それを手に取った。

 こちらはいつも通りのショートソードを選んでおく、ついでにナイフを一本と、手斧を一本取っておいた。


 「へぇ、そりゃまたどうして?」


 「特殊な剣術を使うのさ、幾つか流派があってね、それぞれで特徴が違うんだけどさ、剣の腕はどの流派も大したものだって話だよ」


 「もしかして、ウリカ村の戦士みたいな、ちょっと特殊な教えみたいなものがあったりしないか?」


 「よく知ってるね、騎士道や戦士道に通じるような教えがあるみたいだよ」


 この世界にも侍がいるらしい、違った世界で同じ様な文化が生まれるというのも、よく考えると面白いものだと思う。

 そう思うと、こっちの世界の文化は、元世界のものと色々似ている部分も多いのだなと改めて感じる。

 どんな世界であっても、文化の筋道というものは、実はそこまで変わらないのかもしれない。


 「興味があったら、これが終わってから声をかけてみたらどうかな?」


 「ちょっと話を聞いてみたい気もするな」


 二人で中庭の中央付近まで移動する、剣と槍をぶつけあってから、それぞれの陣営側に向かう。

 グループのメンバーを見ると、剣と盾を持っている男に、剣を二本握っている男、剣と盾を持っている方はともかく、二刀流の男はなかなか出来そうな雰囲気だ。


 「始まる前に簡単に作戦を立てよう、俺はヒロ・ラルフレンだ、剣の腕はそこそこだと思う」


 「魔力試験の時は凄かったね、僕はミネ・ティスカヤ、剣の方は期待してくれて良いと思うよ」


 「あ、あの、デキストです、正直戦闘はあまり、冒険者には村からの出稼ぎで」


 二刀流の男はミネ、剣と盾の男はデキストという名前の様だ、握手を交わし、相手側を見る。

 アイザックに侍ガール、後の一人は少しオドオドしている剣を持った男。


 「ミネ、自信があるならあの女の子を頼めるか?おそらくは実力者だろうと言う話だ、デキストはあっちの剣を持ってる方を頼む」


 「オッケー、任されたよ」


 「わ、わかりました」


 「まずは正面から行こう、力押しで勝てればそれが一番楽だ」


 相手側もアイザックと侍ガールが何やら話している、作戦会議でもしているのだろう。

 軽く準備運動を済ませる、負ける気がしないと言うわけではないが、負ける気はさらさら無い。

 向こうからこちらを見ているアイザックを見据える、準備は整った、後は出た所勝負だ。

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