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〜新人冒険者へ〜その13

 アイザック達は既に宿屋に戻っていた、一階のテーブルで二人して話をしている、二人とも今日は一日中町を探索していたらしい、何か面白いものでも見つけただろうか、話を聞いてみる事にした。


 「そうだね、結構色々回ったよ、スラム街の方とか、貴族街とでも言えば良いのかな?そっちの方にも行ってみたよ」


 「へぇ、どうだった?」


 「スラム街と言うよりは、住宅の密集地帯って感じだったね、近くに孤児院も建ってたみたいだよ、余り治安が悪そうには見えなかったかな。貴族街の方は、中に入る前に大きな門があってさ、通行許可証がないと、中に入れないみたいだったよ」


 他には職人街や、裕福な層が使うのであろう、高級な物が揃う店の集まりなんかもあったそうだ、貧富の差は少なからずあるみたいだった。


 「後は兵士の詰め所なんかも見てきたぜ、アイザックが見ておきたいって言い出してさ、結構デカかったな、広い訓練所なんかもあったりしてさ」


 「中に入れたのか?」


 「いや、外から見えるんだよ、兵士が訓練してる最中だったぜ」


 その後もアイザックとカーズの話を聞きながら、ダディ神父に貰ったお茶とお菓子を食べる事にした。

 お茶はハーブの様な香りが強いもので、ちょっと薬膳茶の様な味がした、好き嫌いが分かれそうだ。

 お菓子の方は、昔ながらのクッキーの様な物だった、素朴な甘さがなんとも言えない良い味を出している。


 そうして話し込んでいると、夕食の時間が近くなってきた、ボンさんに頼んで夕食の準備をしてもらう事にする。

 ビッツ達を待とうかとも思ったが、もしかすると他の場所で食事を取ってくるかもしれない、事前に予定を聞いておくべきだった、取り敢えず今日は先に頂いておく事にする。


 夕食を取りながら、明日の予定を確認する、明日はギルドの新人試験が、朝から行われる、まずは今日と同じように、ビッツ達とギルドに行けば良いだろう。

 そこからは受付に行って、その後どうすべきか聞けば良い、一応装備はしっかりしていくべきなのだろうか。

 まぁ、革鎧はまだ調整が済んでいないので、大した装備なんてものは持っていないのだが。


 夕食を取っている途中で、ビッツ達が戻ってきた、今日も3人とも無事みたいだ。

 先に食事を取ってしまった事を、冗談混じりに謝っておく。


 「今日の仕事はどうだった?」


 「簡単な仕事だよ、俺とリリィは兵士と一緒に、町の見回りをしてた、マルクスはなんだっけか?」


 「果樹園の見張りだ」


 「そうそう、果樹園の見張りだったな、まぁ、問題が起きるような依頼でもないだろ、ただの雑用だよ」


 冒険者と言っても、普段から受ける依頼は、殆どが雑用と下働きだ、討伐依頼は報酬こそ良いものの、その分だけリスクもある、そもそも、討伐依頼なんてそうポンポンと出てくるものでもないらしい。

 もうちょっと冒険者らしい依頼も受けたいぜ、なんて事をビッツは漏らしている、気持ちはわからなくもない。


 夕食時に長々とテーブルを使い続けるのも不味いので、適当なところで切り上げて部屋に戻る。

 戻ってから暫く休憩していると、アイザックが明日の為に軽くランニングに行こうと言い出した。

 カーズは気乗りしないと断っていたが、明日の事を考えると、軽く体は動かしておいた方が良いように思えた。

 二人で適当に町を走りながら、アイザックに町の大体の構造を聞かせてもらう事にした。


 「ここを真っ直ぐ行けばスラム街だね、流石に夜に近づくのはよくない気がするし、一応迂回して行こうか、あっちの道に進むと、兵舎があるよ」


 「そうだな、町に来ていきなり問題なんて起こしたく無いからな」


 スラム街を避けて、兵舎の方へ走っていく、大きめの建物が見えたが、あれが孤児院だろう。


 「ここが兵舎だね、ほら、あの中庭で訓練してたんだ」


 「確かに見えるな、一応はここに入るのが、アイザックの目標になるわけか」


 「そう言う事だね、とは言っても、すぐには無理だからね、まだまだヒロにはお世話になる予定だよ」


 「そりゃどうも」


 兵舎に背を向けて再び走り出す、もう結構走った気がする、そろそろ戻っておくべきだろう。

 ひとしきり走って宿屋に戻ってくる、良い具合に体を動かせた様に思う、明日の準備は十分だ。

 汗を拭き、寝る準備を済ませてベッドに入る、どんな試験の内容なのか、ちょっと楽しみでもある。


 「明日は手加減しないよ、ヒロ」


 「まだ当たるとは決まってないだろ」


 眠りにつく前にそんなやりとりをした。

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