〜町から来た冒険者達〜その11
冒険者達と共に森を抜けて、川辺までやってきた、森を抜けた所でフロイド神父や村長が、帰ってくるのを待ってくれていた。
リーダーであろう男が報告を軽く済ませた後、怪我人の治療を頼み、そのまま血や汚れを落とす為に川まで来たと言うわけだ。
川の浅い部分で寝転ぶ、服も身体も濡れてしまうが、そんな事は気にしない。
ユチェやリリィ達の女性陣は、離れて水浴びをするのかと思ったが、どうやら同じ場所を使うようだ。
疲れ切っていて、そんな事気にしていられないのかもしれない。
「あー、血と一緒に疲れも洗い流されていくな」
「今回は本当にギリギリだったからね」
同じ様に川に浸かっているアイザックと二人で、今回の戦闘を振り返る。
良かった点や悪かった点を、忘れない内に話し合うのだ、そうすると今後の課題なども見えてくる。
次に何をすべきか、一人で考えるより余程有意義だ。
カーズはビッツやマルクスと一緒に川の水を掛け合って遊んでいる、いや、元気だなあいつ等、さっきまでへばっていたのに。
「冒険者も楽じゃなさそうだな」
「そりゃあそうだよ、命懸けの仕事だからね」
冒険者達は暫く休憩を挟んでから、討伐した獲物の回収に向かうらしい、魔物や魔獣を村で解体して、素材を持ち帰るのだそうだ。
解体作業は村人達の手伝いも募集するらしい、数が多いので、冒険者達だけでは手が回らないらしい。
獲物は村と冒険者で分け合う事になった、冒険者のみで討伐を果たした場合は別だが、今回は村からも手伝いが出ている、その取り分と言うわけだ。
具体的な数は、村長とリーダー格の男が相談して決めるらしい。
「なぁヒロ!森熊の鱗ってどの位価値あんだろうなぁ?一気に金持ちになっちまうんじゃねぇか!?」
カーズが満面の笑みを浮かべて、こちらに駆け寄ってくる、本当に元気だなこいつ、報酬の事を考えると疲れも吹っ飛ぶ、と言うやつだろうか。
職人やら商売人やら勧められていたが、その心持ちは冒険者似合ってるよ。
「いやぁ、正直期待しない方が良いんじゃないか?多分だけど、俺達の懐には入って来ないと思うぞ」
「なんでだよ!あんなに頑張ったのにか!!」
「俺達の扱いは村人だからね、功績があったにしても、村の取り分が増えるだけだよ、俺達が直接貰えるわけじゃない。村の取り分は分けてくれるかもしれないけど、俺達はまだ子供だからね、お小遣い程度で誤魔化されるんじゃないかな」
アイザックが代わりに答えてくれた、まぁ妥当な所だと思う、命を賭けた割には全く釣り合わないが、四人合わせて森熊1匹分でも貰えれば万々歳だろう。
あとは村の為の資金に使われるに違いない、残念ながらそう言うものだ。
「納得いかねぇ!俺達だけでも何匹森熊倒したよ!?」
「諦めろカーズ、俺達はまだ子供だ、冒険者になってからガッツリ稼ごう、どうしても納得いかないなら、村長やエリックさんに交渉してこい」
「うへぇ、骨折り損かよ」
カーズはその場にへたり込んでしまった、まぁ力が抜ける気持ちも分からなくはない、とは言え、村も依頼の報酬の支払いや、討伐に協力した猟師達への支払いなど、色々とかかるのだ、子供相手の報酬は出来るだけ少なくすませようとするだろう。
「獲物の回収と解体の手伝いでもしてこいよ、報酬出るらしいぞ」
「そっちは家族総出で手伝う事になってるっての」
さて、もう十分に汚れも落とせただろう、血が渇いてしまった所は、まだ赤茶色のままだが、これは洗剤を使わないと落ちそうもない。
冒険者達も川から上がり始めている、こちらも回収の準備をするとしよう。
ビッツ達やユチェもこちらに集まって来た、川から立ち上がり、アイザックに手を貸してやる。
「ヒロ達も回収を手伝うのか?」
「まぁ、やる事もないし、冒険者見習いとしては、作業も見ておきたいしな」
ぞろぞろと川から上がっていく、服が水で張り付く、川辺には村人が集まり始めていて、冒険者達に布切れを渡していた。
とりあえず濡れた髪や、身体だけでも拭いておこう、服も絞っておきたい。
「ユチェ、その服はここで脱いで絞るのか?」
「そんなわけないでしょ!馬鹿なの!?女の人はあの小屋の中を使うわよ!」
いつの間にかそう言う事に決まっていたらしい、布を受け取って、絶対覗くなと釘を刺してきた。
いや、覗かないっての、いくつ離れてると思ってるんだ。
とは言え同じ様に小屋に向かった女性冒険者の方は気になる。
「駄目だよヒロ、冒険者になる前に殺されちゃうよ、仲間に」
行くとは言ってないぞアイザック、あくまでも気になっただけだ、異世界と言えども、それがいけない事であろう事は分かってる。
いや、もしかしたら、意外にセーフだったりしないか、なんと言っても異世界だ、元世界の常識が通用しない可能性もある。
「おいヒロ、リリィもいるんだ、行かせないからな?」
くっ、ビッツの奴、本当は自分が一番見たいくせに律儀な事を。
当たり前だが、この世界でも覗きは良くない事の様だ、諦めて服を脱いで水を絞り、身体を拭き始める。
「大丈夫だ、ヒロ、気持ち、わかる」
討伐戦で上がったであろう評価がどんどん下がっていってる気がする、たった一言ユチェに質問しただけなのに、酷い話だ。
まぁ、そんな冗談が言える程度には、張り詰めていた緊張感も解けていると言う事だろう。
まだしっとりとしている服を着直して、準備してくれていた焚き火に当たる事にした。




