〜町から来た冒険者達〜その8
「アイザック!加勢する!」
「すまないリリィ、マルクス、心配をかけちまった」
リリィ達の表情が明るくなる、しかし、再会を喜ぶのは後だ、今はまずこの森熊達をなんとかしなくてはならない。
「硬いよ、気をつけてねヒロ」
相手は3匹、こちらはいつものメンバーに加えて、ビッツ達、エリックさん、ヤーセンさんがいる。
リリィは冒険者の回復をしているので、実質戦えない。
「よし、アイザック、カーズ、三人で1匹なんとかしよう、ユチェはリリィを守ってくれ。ヤーセンさんはエリックさん、あの人の援護を。ビッツ、1匹任せる」
それぞれが返事を返し、森熊に向かっていった、こちらもアイザックの隣に立ち剣を構える。
森熊は真っ直ぐ向かってきた、硬く大きな体を使った飛び掛かりだ、当たれば只では済まないだろう。
振り下ろされた腕を避けながら、相手の後ろに回り込み、その背中に剣を振り下ろす。
ガシュッと言う鈍い音がした、剣は鱗を引き裂いて森熊に傷を負わせたが、浅い、殆ど通ってない様なものだ。
同時にアイザックも突きを放っていたが、こちらもそこまでの効果は見られない。
ダメージを与えられるとすれば、カーズの斧だろう、しかし、森熊の突進を盾で受けるのは、流石に無謀な気がする。
「カーズ、俺とアイザックで気を引く、全力で叩き込んでくれ」
「おぅ、二人共やられんじゃねぇぞ」
森熊の大振りをバックステップで回避する、その顔を狙って、アイザックが牽制を入れようとするが、腕で防がれる。
獣のくせにキッチリ防御してくるとは思わなかった。
両腕をブンブン振り回して攻撃を繰り返してくる、それを二人でひたすら躱し続ける。
反撃をするも、躱してからすぐに斬りつけても、バランスを崩している斬撃は鱗も通らない。
森熊が立ち上がり、大きく振りかぶる、チャンスだ、カーズが素早く後ろに回り込む。
森熊の大振りをアイザックがギリギリ回避する、すかさずカーズが全力でその背中に斧を振り下ろす。
鱗が裂ける音が聞こえて、森熊が吠える。
「どうだ熊野郎!こいつは効くだろ!」
「カーズ!すぐに下がれ!」
暴れる森熊の腕が当たり、カーズが吹き飛ばされる、森熊の背中には斧が刺さっている。
カーズは爪ではなく、腕に当たったらしく、尻餅をついたまま胸を押さえて咳き込んではいるが、無事なようだ、ヒヤヒヤさせる。
ホッとしたのも束の間、森熊はまだ立ち上がっていないカーズに狙いをつけた。
アイザックが森熊とカーズの間に割り込む、まずい、あれではアイザックが回避する事が出来ない。
走り出す森熊に向かい後ろから飛びつく、だが森熊は止まらない、背中に刺さっている斧を掴み背中にしがみつく。
アイザックは森熊の突進を槍で受け止めたが、勢いは止められない。
「くっ、ダメか、押し切られる!」
「アイザック!ちくしょう!」
立ち上がったカーズが盾を構えて森熊に突っ込む、激しくぶつかる音がする、それでも森熊は止まらない。
腕を振り上げアイザックとカーズを吹き飛ばした、アイザックは後ろに飛びながら受け身を取ることが出来たが、カーズはその場に倒れてしまった。
このまま腕が振り下ろされたら、カーズはただで済まないだろう。
背中にしがみつきながら、刺さっている斧を蹴り落とす。
斧が刺さっていた場所は鱗が引き裂かれて、血が溢れ出している、ここならば剣が通る。
「これならどうだ!」
剣を素早く逆手に持ち替えて、全力で突き刺す。
森熊は叫び声を上げて暴れまわった、その衝撃で振り落とされてしまう。
めちゃくちゃに腕を振り回している森熊にアイザックが突っ込んでいく。
危険ではあるがチャンスだ、一気に決めたい。
足元に落ちていた斧を拾い、森熊に向かって走り出す。
「腹側なら、鱗だってそこまで硬くないよね!もらった!」
隙をついたアイザックの突進突きが森熊の腹に突き刺さる、森熊は更に叫び声を上げて体勢を崩した。
両手で斧を構え、飛び掛かりながら全力で振り下ろす。
斧は首元を深く切り裂いた、もはや森熊は叫び声を上げる事もなく、その場に倒れた。




