〜町から来た冒険者達〜その6
町から来た冒険者は10人程だった、その中にはビッツ達も混じっていた。
魔物の討伐などした事はないが、先輩冒険者に誘われたらしく、良い機会なので着いて来る事にしたそうだ。
カーズが討伐に混ざりたがっていたが、流石に危険すぎるので、今回は大人しくしておこうと思う。
と言うか、こちらは四人共冒険者にすらまだなっていない、見習い以下なのだ、着いて行きたいと言った所で断られるだろう。
ビッツ達は討伐の準備を済ませて、広場に集まっている。
四人でビッツ達の見送りをする為に、森の入り口まで着いていく事にした。
「お前等も着いてくりゃ良いのによ」
「俺は着いて行こうって言ったんだけど、ヒロがさぁ、今回はやめとけってさ」
「当たり前だろ、危険過ぎるし、邪魔になりかねない」
「そうだね、魔物の討伐は冒険者になってからでも遅くはないよ、諦めなよカーズ」
ビッツ達と話しながら森への道を歩いて行く、ユチェとリリィも同じように話をしているみたいだ。
マルクスは余り喋るのが得意ではないようで、話しているのを聞いているだけな事が多い。
時々相槌をうったりはしているが、マルクスから話をする事は稀だ。
少し前に、話を聞いているのは楽しいので、これで良いのだと言っていた。
森の入り口でビッツ達と別れた、ビッツは自信満々に、すぐに終わらせて来てやると言い森に入って行った。
冒険者のメンバーは20歳を少し過ぎている様な人が殆どだった、おそらくはそこそこ腕の立つ冒険者が集まっているのだろう。
案内役として村の猟師達も数人着いて行く様だ、エリックさんの姿も見える。
「何事も無く終わると良いね」
ユチェの言葉に同意して、それぞれの仕事へ戻る事にした。
アイザックは猟師の仕事が出来ないので、教会の仕事を手伝ってくれる様だ。
二人で教会まで戻り、掃除や洗濯などの雑務を終わらせて行く。
村全体が少し緊張感に包まれているものの、普段通りの生活を送っていた。
それから3日、すぐに解決するかと思われた魔熊討伐だが、思いの外長引いている。
あれから毎日ビッツ達を見送って、仕事をこなしてを繰り返していた。
ビッツ達に聞いた話によると、魔熊が居る痕跡は見つかるらしいが、肝心の魔熊が見つからないとの事だ。
魔熊は思っていたよりも、森の深い位置で活動しているようで、探すのに人手が足りないと言っていた。
夕方前、その日も暗くなる前に冒険者達が森から帰ってきた、村の猟師達も一緒だ。
フロイド神父とアイザックと共に、森から帰って来た彼等を出迎える。
「どうだったビッツ、と言っても、その様子じゃ今日も成果無しかな」
「あぁ、まだ見つからねえな、魔熊だけじゃなくて、森熊や森狼も出て来やがるから、なかなか捜索も進まねえ」
「簡単には見つかってくれないみたいだね、父さんも難航しそうだと言っていたよ」
フロイド神父と話をしているエリックさんも、表情は明るくない、冒険者達の顔にも若干の疲労感が見える。
事件が起きたのはそんな日の翌日、休日の話だった。
森には入れないので、四人で訓練でもしておこうと言う話になり、装備を整えてアイザックの家に集まっていた。
その日はエリックさんも家に居た、今日は別の猟師が捜索に参加しているようだ。
折角なので訓練風景を見せてくれ、と言うエリックさんに良いですよと返し、森側に少し歩いた原っぱに行く。
エリックさんも革鎧や槍を持っている所を見ると、訓練をつけてくれるつもりなのだろう。
準備体操を済ませて、まずは軽く素振りでもしようかと剣を抜こうとした時、森の深い位置から空に向かって、ロケット花火の様な赤い光の線が走った。
ビッツに見せて貰った、魔法道具の光、つまりそれは魔熊が見つかった合図だ。
「父さん、あれは」
「うむ魔熊だ、みなは家に帰りなさい、私はすぐに様子を見に行く」
「しかし父さん、一人で森に入るのは危険です、俺も一緒に行きます」
「駄目だ、危険過ぎる」
確かに危険過ぎる、だが、エリックさんを一人で向かわせる訳にもいかない、いくらエリックさんが強いと言っても、一人で森の奥まで入るのは良い考えだとは言えない。
森熊や森狼に囲まれでもすれば、一人で対処しきれなくなってしまう。
他の猟師達でも居れば話は別だが、今はその猟師達も森の中だ。
「着いて行きますよエリックさん、森の中で一人は、それこそ危うすぎる、俺達にだって森狼位は対処出来ます」
エリックさんは少し考えて、危険を感じたらすぐに逃げるよう言ってきた、つまり、ついて行っても良いと言う事だ。
「まぁ、リーダーが言うんじゃ、仕様がねぇよな」
「ちょっとカーズ、遊びに行くんじゃないんだからね!」
「いつの間にリーダーになったのかは知らないが、みんな気を引き締めよう、ユチェの言う通り、遊びじゃない。普段森に入っているのとは訳が違う」
了解と返してくる三人と共に、エリックさんの後ろを追い、森に入って行った。




