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〜町から来た冒険者達〜その3

本日二本目です

 森沿いの小屋でドライフルーツの試食会と洒落込む、お湯を沸かして人数分のコップに注ぎ、一緒に買った粉末状のお茶を溶かしていく。

 おかしい、確かにお茶の葉を乾燥させて、粉末状にしたものだと説明された筈だ、抹茶みたいな物かと思っていたが、出来上がったのはコーヒーだった、いや正直香りの時点でおかしいとは思っていた。

 この世界ではコーヒーは豆ではなく葉っぱなのか、もしかすると、なんらかの豆を焙煎して抽出すればお茶が出来たりするのか。


 「色は兎も角、良い香りがするね」


 「これ飲めんのかよヒロ」


 「私もこの香り好きかも」


 「これによく似た飲み物を知ってるが、俺は好きだったよ」


 そう言うと、三人ともおっかなびっくり口をつけていった、こちらも頂くとしよう。


 「あぁ、なんか思ったよりうめぇな!苦味が強いけど後味にほんのり甘さを感じるな!」


 「美味しいね、苦さがある分僅かな甘さが引き立っているのかな」


 「苦い!こんなの飲めないよ!」


 なるほどなるほど、ブラックコーヒーの味が分かる奴が二人もいると言うのは驚きだ。


 「そうだよなユチェ、俺もそう思う」


 ちなみに分からない派だ、砂糖とミルクが欲しい。

 ドライフルーツを食べながらなら、もしかすると甘さと苦さが良い感じに調和するかもしれない。

 なんでこんなの買ったのよ、と責めてくるユチェにも、ドライフルーツを勧めてみる。

 ユチェは納得いかなそうな顔をしながらも、ドライフルーツに手を伸ばした。


 「あっ、口の中が苦い分、果物の甘さが際立ってるかも!美味しいよ!」


 良し、どうやら合わない事はないらしい、こちらも頂いていこう。

 まずはこの蜜柑の様な物だ、ふむ、酸っぱい、凄まじく酸っぱい、レモンかこれは。


 「ヒロはそれが好きなのかい?酸っぱくない?好きな人もいるけど、俺は苦手だね」


 「初めて食べたよ、酸っぱすぎだなこれは」


 「どちらかと言えば、調味料で使う果物だからね」


 「適当に選んだ物も混じってるからな」


 口直しに他のものを食べてみる、アイザックが食べているマンゴーもどきなんてどうだ、実に甘くて美味しそうじゃないか。

 うーん、なんだこれ、コーラみたいな味がする、とは言え嫌いではない、コーラ味のグミみたいな物か、元世界でも時々食べていた。


 みんな各々感想を言いながら試食を進めていく、ユチェとカーズはマンゴーもどきが好きらしい、アイザックはバナナチップの様な物がお気に入りの様だ。

 さてどんな味がするのやら、おぉ、バナナだ、これはバナナの様なバナナだ、つまりバナナだ。

 若干青臭さはあるものの、完全にバナナだ、元世界そっくりな果物もあるんだな。


 その後もコーヒーとドライフルーツを楽しみながら、ユチェの旅行記をみんなで見たり、森狼との戦いをシミュレートしながら戦略を練ったりして過ごした。

 楽しい時間は早く過ぎるもので、いつの間にか夕食時になっていた、そろそろ帰らなくてはならない。

 みんなで急ぎ片付けを終わらせて、帰り支度をする、ベルトを付け、今日の稼ぎの残りをユチェに渡す。

 ユチェは財布番なのだ、ちゃんと毎月の稼ぎや出費をメモしている、自分が財布番をしても良かったのだが、当初は冒険者になるか悩んでいたため、元々財布番をしていたユチェに続投して貰っている。


 アイザックとカーズに別れを告げて広場につくと、井戸の前に冒険者達が居るのが見えた。

 これで全員かは分からないが、どうやら三人組のようだ、三人ともシンプルな革鎧を着けている。

 やはり随分若く見える、おそらくは2.3歳差だろう、特にメイスを腰にぶら下げている神官らしき女の子は、もしかすると同い年かもしれない。


 「うん?なんだお前等?俺達に何か用か?」


 ジロジロ見過ぎたか、剣士であろう少年に声をかけられた。


 「いや、俺達も冒険者を目指してるんだ、歳も近そうだから気になってね」


 「へぇそうなのか、それでそんな格好を、じゃあ俺達の後輩ってわけだ。俺はビッツ、今年で15になる、剣士だ、こっちの二人はマルクスとリリィ、同じく剣士と神官だ。」


 「俺マルクス、歳同じ、よろしく」


 「リリィです、14になったばかりです、お世話になっていた教会から、後学の為に冒険者になりました。」


 やはり歳は近かったらしい、町に出た時にはもしかすると世話になるかも知れない、ここで会ったのも何かの縁なのだろう。

 ちょっと後ろに隠れ気味なユチェの手を引いて、横に立って貰う。


 「俺はヒロ、歳は13だ、剣を使う、神官ってわけじゃないが、回復魔法と攻撃魔法も少し使える」


 「あのっ、ユチェですっ、同い年で、攻撃魔法が得意ですっ」


 何を緊張しているのかと思ったが、まぁこの位の歳だと、初対面の年上にはこんなものかもしれない。

 自分が子供の頃はどうだっただろうか、二学年も上だと確かにこんな感じだったかもしれない。

 村の外から来た全く知らない人なのだから、それもそうかと思う。


 「一緒に冒険者を目指してる仲間が後二人いる、機会があれば紹介させてもらうよ」


 「そうか、まぁお互い頑張ろうぜ、よろしく頼むよヒロ」


 「こちらこそ、よろしく頼むビッツさん」


 「ビッツで良いよ」


 そう言ってビッツは手を差し出した、こちらも手を出して握手する。

 この先輩達に学ぶ事も多いのだろう、町に出た時には探してみるのも悪くないかもしれない。

 先輩達の姿に自分達の将来を少し重ねて、その場を後にした。

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