表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/87

〜順応していく、農村での日々〜その10

短めですが、二本目です

 草むらをかき分けて森狼が飛びかかって来る、咄嗟に身を躱しナイフで斬りつけようとするが、ナイフは空を斬っただけで当たらない。

 鋭い牙に緑色をした毛、頭には狼らしからぬ、2本の角がこちらを向いている、本に描いてあった通りの風貌だ。


 「ヒロ!」


 素早く身を返し、森狼は再びこちらに飛び掛かろうと走りだしたが、アイザックが槍で牽制してくれたお陰で、森狼は距離をとる事にしたようだ。


 「ヒロ!アイザック!」


 カーズか猪をその場に落とし、ナイフを抜き駆けつける、ユチェもナイフを構えてそれに続く。

 と言っても、ユチェのナイフは採取用の小さい物だ、あれではむしろ危険かもしれない。

 距離を取った森狼の元に、更にもう1匹森狼が姿を表す、2匹はこちらを唸りつけている。


 「くそっ、もう1匹増えやがったか」


 「どうするヒロ、逃してくれそうでも無いけど」


 森狼は2匹、アイザックの腕なら、1匹相手ならば一人でも対応出来る筈だ。

 アイザック自身も、危険ではあるが、そこまでの脅威ではないと言っていた。

 問題はもう1匹の方だ、こっちで相手をするしかない。

 だが、やれるのか、いや、1人で相手をする必要は無いのだ。


 「アイザック、1匹頼む、ユチェ!魔法の準備を!カーズ!ユチェを守ってくれ、時間を稼ぐ!」


 「わかった、無理はしないでくれよ」


 森狼は作戦会議など待ってはくれない、指示を出してる間にもこちらに向かい走り出していた。


 「俺も戦うって!」


 「駄目だ!ユチェを守ってくれ!お前にしか出来ない!」


 言いながら身を躱す、牙だけでなく、角にも気を付けなくてはならない。

 何度も何度も飛びかかってくる、牙を避け、角をナイフでいなす。

 斬りつけようとするも、動きが早すぎて当たらない、体力だけが徐々に奪われていく。

 模擬戦ではない、実戦なのだ、肉体面もそうだが、精神面での疲労が重い。


 「大丈夫かいヒロ!」


 「問題ない、大丈夫だ」


 アイザックに応えつつ、自分に言い聞かせる。

 更に攻撃を弾き、避ける、躱しきれなかった角が何度か腕を掠って、血がじんわりと服に滲む。


 "祝福よ"


 ユチェの詠唱だ、しかし、発動までは粘る必要がある。

 森狼の体力だって無限じゃない、明らかに初撃より遅くなってきている。

 こちらが疲れていくなら、相手も同じなのだ、とは言え、ナイフを持つ腕にも疲労が貯まる、軽い筈のナイフが重く感じる。


 "我が身に集い 力となれ"


 ユチェの周りに光の粒が現れて、ユチェの体の中に入りこんでいく。


 "穿て 猛火の 鉄槌"


 ユチェの胸元に火の玉が現れる。


 「ヒロ!早すぎて狙えないよ!」


 「動きを止める!」


 次に飛びかかって来た時に、ナイフで受けるしかない、そう考えたが、そう上手くいくものでもなかった。

 火球に反応した森狼が、狙いをユチェに変えたのだ。

 こちらではなく、その後ろ、ユチェに向かって走り出している。

 走り出した森狼の向こうでは、アイザックが森狼の横腹に槍を突き刺しているのが見える。


 カーズに任せるか、いや駄目だ、万が一がある、2匹で終わりとは限らない、カーズが森狼の相手をしている間に更にもう1匹現れるかも知れない、そうなったら、魔法を準備していて防御出来ないユチェには致命的だ。


 アイザックが素早くトドメを刺し、こちらに振り返っているが、あそこからでは間に合わないだろう。

 自分がなんとかするしかない。


 森狼が横を過ぎるより早く、その前に飛び出す、ナイフを思いっきり振るが、姿勢を低くして躱される。

 そのままこちらの喉元に向かって飛びかかってきた。

 左手で防御をする、森狼の牙が左腕に食い込み、飛び掛かりの衝撃で倒れ込んでしまう。

 みんながヒロと叫んでる声が聞こえる、だが今それに応えている余裕はない。


 「これなら避けられないだろ!ユチェ!」


 「ヒロも巻き込んじゃうよ!」


 「撃て!」


 ユチェは手を前に出し、魔法を放った。


 「フレア・バースト!」


 火球は真っ直ぐ飛んで森狼に当たり弾けた、森狼はギャウンと吠えてのたうち回っている、直撃したわけではないし、防御はしたもののこちらも魔法の被害がある、噛まれた左腕程ではないが、両腕ともやけどをしてしまった。

 燃えながらのたうっている森狼よりはマシか、なんて少し間の抜けた事を考えつつ、森狼に近づく、ナイフを構えて、その頭に振り下ろした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ