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〜今日から異世界生活、日常から非日常へ〜その2

 「んっ...」


 本日二度目の、いや、まだ一度目だったかの目覚めだ、殴られた頭がズキズキと痛む様な気がする、そんな所までリアルじゃなくても良いじゃないか。

 目を開けると、そこには見慣れた天井ではなく、木組みの梁があった、窓辺のベッドには、開けられた窓から気持ちの良い風と光が差し込んできている。


 「まだ夢が続いてるのか...」


 室内の方へ向き変えると、ミドルダンディーな金髪ショートのおじさまがこちらを心配そうに見ていた、側には赤いロングヘアーを三つ編みにした女性が立っている、奥様だろうか?

 2人の後ろにはおじさまに良く似た顔立ちをしている、16.7くらいの青年と、腕組みしながらこちらを睨みつけている赤髪の君がいた。


 「あ...どーも...」


 言葉は通じないだろうが、とりあえず挨拶をして身体を起こす、が、殴られた頭が痛く反射的に手で押さえる。


 「いって...」


 「*********」


 おじさまが心配そうに声を掛けてくるが、生憎何を言っているのかは分からない、後ろから赤髪の君がこちらに向かい何かを言って、隣のお兄さんに何かを言われている。


 「******」


 おじさまが何かを言ってくれている、仕草から察するに、まだ動いてはいけない、みたいな事を言っているのだろうか。

 おじさまはこちらに水を渡し、奥様となにやら話をしている。

 木で出来たコップなんて久しぶりに見た、何処かのお土産物屋で見て以来だ、いくら田舎でも、普通はガラスのコップを使っているんじゃないだろうか。

 それに、さっきから話されている言葉、聞いた事が無いニュアンスだ。

 意味は分からなくても、大体どの辺りの国の言葉かは察しが付くものだが、この言葉は全く聞いた事がない。


 「*****」


 考えを巡らせて居ると、外の方から声が聞こえてきた、客がきた様だ、奥様に言われて赤髪の君が対応しに行った。

 連れてこられたのは5.60位の小太りした男性で、首から十字架の様なものを掛けている、神父様なのだろうか。

 おじさまと少し話をして、こちらに近づいてくる。


 「*****」


 「申し訳ない、言葉はわからないんだ」


 どうやら、言葉がわからない事は伝わったらしく、またおじさまと少し話をしている。

 話終わるとこちらに振り返り、頭に手を伸ばしてきた、殴られた傷の様子でも見てくれるのだろうかと思ったが、神父様は目を閉じて、何かを唱えた。

 手の周りが淡い青色の光に包まれ、その光が殴られた所に集まっていく。


 「おいおい、まさか、魔法なのか?」


 神父様が手を戻す時には、痛かった筈の頭はもうなんとも無くなっていた、間違いなく魔法だ。

 再び神父様とおじさま夫婦が何かを話始めた、成り行きに任せる事にして、辺りを見渡す。

 中世ファンタジーに出て来そうな、ありきたりな農村の一軒家といった感じの室内だ、壁に掛かっているのは狩猟道具なのか、槍があった。

 あの青年の部屋なのだろうか、ベッドはシングルで部屋自体の広さも大きくはない、服でも入れているのだろう引き戸のタンスや、整理されている机の上に紙の束が見える。


 「******」


 キョロキョロして居ると、赤髪の君が話しかけてきた、まだこちらを睨んでいる。

 いきなりシャツとパンツ1枚の知らない男に、訳のわかない言葉で迫られたのだ、気持ちは分かるが、こちらも木の棒でぶん殴られている。

 お互い様と言う事で許してくれても良いんじゃないだろうか。


 「何を言ってるのか、分からないっての」


 赤髪の君はこちらをジロジロと見たあと、フンっと部屋の外に出て行った。

 夫婦と神父様の会話も終わったらしく、こちらを振り返り、身振り手振りで、どうやら立てるかどうかを聞いているらしい。

 藁を敷き詰めた上に、布を貼っているのであろう木製のベッドから起き上がる。

 神父様は付いて来いと言っているらしく、その後を付いて行く。

 部屋を出ると、リビングに出た、木製のテーブルに木編みの籠、鉄製の燭台や陶器の皿なんかが目に付く。


 案内されるがまま家から出ると、予想通りどうやら村の中に運び込まれたらしい。

 村の中心であろう広場の方へ歩いて行く、広場には井戸と掲示板の様なものがあるが、掲示板に張り出されて居るものはない。

 村の規模はどの位なのだろうか、見渡す限りそこまで大きな農村ではない、人口も500人は居ないだろう。

 井戸の横に付くと、神父様が教会のような建物を指差しうなずいた。

 あそこに行くと言っているのだろう、そちらへ歩き始めた神父様の後を着いて行く。


 すれ違う村人と二、三言挨拶を交わしながら歩いて行く神父様の後ろを付いて行くと、道沿いに立っている木の側に赤髪の君が居た。

 同い年位の少年2人と、こちらを見ながら話をしている、あどけなさ残る金髪ショートのイケメンと、黒髪ショートの人懐っこそうな顔をした少年だ。

 金髪の少年がこちらに向かい手を振ってきたので、振り返しておいた、ずっと睨んでくる赤髪の君よりよほど好印象だ。


 そうこうしている内に教会に付いた、そこまで広くない教会には椅子が並べられ、前に教壇の様な物が置かれている。

 奥には部屋があるらしく、おそらく神父様はここに住み込みで詰めているのだろう。


 「****」


 神父様が呼びかけると、奥の部屋から修道服に身を包んだシスターが出てきた。

 こちらを見て少し驚いた顔をしたが、神父様といくらか話をして、また奥の部屋に戻っていった。

 椅子に座るように言われている気がしたので、最前列の、前に長い机がある椅子に座る。


 神父様は教壇へ歩いて行き、その下に置いていた箱の中から、1枚の大きな紙を手にこちらに戻って来て、その紙を机の上に広げる。

 地図だ、見た事のない文字で、おそらくは地名が書かれている。

 神父様がこちらを見ている事に気付いた、少し考えたが、首を横に振っておいた。

 おそらくは何処から来たのかを聞きたいのだろうが、こんな地図は見たことがない。

 内陸しか書かれていないので、世界地図でもあれば話は変わったかもしれない。


 しかし、もう薄々は気が付いていた。


 夢ならばもうとっくに目覚めているだろう。


 だからこれは夢じゃない。


 現実世界で見たことも聞いた事もない言語


 それに、魔法


 ここは...ここは異世界だ。

マイペースにゆったり書いていこうと思います

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