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4 見栄はってB


ゴールデンウイークが過ぎた頃、桜井優美のクラスは他のどのクラスよりも仲のいいクラスとなっていた。そんなこともあってか、優美は毎日の学校生活が楽しくて仕方なかった。



只今昼休み。優美はというと、クラスの中でも特に仲のいい空手部の三咲と、軽音楽部の栞の二人と教室でお昼ご飯を食べていた。

どんなに仲良し集団の2‐6でも、昼休みとなると教室には優美達3人と数人しかいない。というのも、この学校の学食は安くておいしいと県内でも評判が高くみんな学食を利用するので、弁当族の人間がとても少ないのである。



だから、優美達三人はよく昼休みに人に言えないようなぶっちゃけトークをするのだ。

「さぁて、今日こそ白状しなさい!優美!!」



どうやら今日は優美が標的にされている様子。しかも今日は恋ばなみたいだ。


「そうよ優美!!大野が好きって認めなさい!!」


三咲が強引に話を進めてきた。



「だ〜か〜ら〜、蓮はまずないって!


……それに二人とも知ってるでしょ??私が恋愛恐怖症なの」



優美の台詞にあぁね、と納得する二人。

二人とも、優美が先輩に物凄い振られ方をしたのを知っている。三咲に至っては、その告白を応援してきたのだ。


だからこの話がでてきたら三咲と栞は黙り込んでしまう。



でも逆に、恋に臆病になった優美を助けたいとも思っている。だからこんなにしつこく蓮を押すのだ。(事実、優美に釣り合う男性は蓮以外にありえないのだ。少なくとも周りから見ると。)


「……でもね優美、女の子ってのは恋をすることで大人になるのよ?そんな逃げてばっかりじゃダメなんだよ」

三咲がたこさんウインナーをパクリ。



「そんなこと言われてもなぁ……そんな感情沸く人がいないんだもん」

優美もつられるように卵焼きをパクリ。



「……カッコイイと思う男子とかもいないの??」


三咲の質問にあっさりうん、と答えて優美はミートボールを頬張る。まるで他人の話を聞いているようだ。



「うーん困ったわねぇ、ねぇ、どうする栞……


……栞??」


三咲が意見を求めようとしたとき、栞はぼーっとした様子で外を眺めていた。

三咲が名前を呼んだときに彼女は肩をビクッと震わせ、慌てて二人のほうを向いた。



「あ、あぁごめん!ちょっと考え事をしててさ」

エヘヘッとウインクし笑いながら栞は頭をかく。その様子はとてもかわいらしい。女である優美でさえドキッときてしまうほどだ。



「……でも栞がぼーっとするなんて珍しい。なにかあったの??」

優美が少し心配になって尋ねた。


「いやいや、ホントに何もないんだよ。ホントに。」

そういって栞は笑う。


その様子を見ていた三咲が、何を思ったのか、いきなりアッ、大声をあげた。




「そーいえばさぁ、私栞の好きな人知らないや!!」


「あっ!そーいえば私も!」


三人で恋愛トークをしたことは何回かあるが、いつも優美か三咲の話題である。栞のそんな浮いた話も聞いたことがない。



「ねぇねぇ栞!?教えてよ〜」



三咲が栞の腕にしがみついてきた。栞本人は苦笑いをしていて若干嫌がってる様子。

しかし三咲のあまりのしつこさにか、一回ため息をして仕方ないなぁという様子で言った。



「……いるよ。一応。」




「「え〜!!誰なの!!」」



まるで息を合わせたようなリアクション。さすが空手部女子二人組。二人して栞を見つめた。

その様子を見て、栞はまた苦笑いをして申し訳なさそうに言った。



「あのね、他校の人なんだ。それも遠くの」



「え〜そうなんだ、なんか大変だねぇ」



「うん、ホントに遠いんだ……」



その時、一瞬だけだけど、栞がどこか寂しそうな顔をしているのを優美はみた。



あれ?こんなに寂しそうな栞を見るのは初めてだ。




そのあと三咲が栞にたくさん質問をしていたが、優美はさっきの栞の様子が気になって仕方がなかった。










・・・・・・

5時間目にあった体育も終わり、優美達は更衣室で着替えをしていた。


着替えていると、横で着替えていた栞が目に入った。



このスタイルであの胸……羨ましい。




栞はまるでモデルのような体系をしている。しかも胸が大きいのだ。

文化祭ではこんな彼女がギターをもって歌を歌うのだ。魅力されないものなど誰もいない。



優美は彼女がホントに羨ましかった。(優美自体もスタイルは悪くない、ただないのだ、胸が)




栞に見とれていると、優美はあるものに目が着いた。


それはその豊かな胸元にあるブルーの水晶のネックレス。


高価には見えないが、とてもかわいらしいデザインであった。

優美はどこに売ってあるかすごく気になった。



「ねぇねぇ栞、そのネックレスどこで買ったの??」

栞はちらっと自分の胸元を見てネックレスを手にとった。それからいつものようにニッコリ笑う。


「これはね、貰い物なんだ。だからわかんないや、ごめんね」


「……そっかぁ、残念」



そんな会話をしていると、誰かが優美の背後に忍び寄ってきた。そして突然両手で優美の胸をガシッと掴んだ。


「キャッ!!」


いきなりのことに思わず悲鳴をあげる優美。後ろをむくと、やはり悪戯大好き三咲ちゃんの仕業だった。



「あら〜??このブラかなり余裕がありますね〜!


どれどれ〜……あっ!!優美ったら見栄はってBカップつけてる〜!!


優美〜!?あなたA‐でしょ??サイズのあったブラしなきゃ、形悪くなるよ〜」


三咲が面白おかしく、大声でからかうものだから、2‐6の女子全員が耐えられずに笑ってしまった。


優美は恥ずかしさと悔しさですぐに顔が真っ赤になってしまった。

そして一言。




「あ゛〜!!三咲!!


ぜっったい殺す!!!!」



その日の6時間目、三咲は授業に出なかった。保健室にいたそうだ。

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