25 京都、
時はたち、修学旅行の日がやってきた。朝早くに駅に集合した優美たち一行はとても眠そうである。
彼女たちの旅行先は京都。数年前までは長野でスキーだったのだが、はしゃぎすぎて大怪我をした学生がでてからは京都になったのだ。
どうせならスキーがよかったな〜、と心に思いながらも、これから始まる3泊4日の旅行を楽しみにしている優美であった。
・・・・・・・
しかし新幹線に乗り換えて以降、優美はなぜか不機嫌だった。
「それでついてからなんだけど…、あれ?桜井さん?どうしてそんな不機嫌そうな顔してるの??
せっかくの修学旅行なんだし楽しんでいきましょうよ」
今優美の向かいの席には蓮と匠…ではなく、なぜか絵里が座っていた。なにやらついてからの打ち合わせをしているようだが、それにしてはやけに絡んできてるように感じる。
「…なんで朝倉さんがここにいるのよ」
「いいじゃない、どうせ今暇なんだし」
「だからって別にこっつにこなくても…」
「…ちょっと、それ以上大声ださないで…」
優美が少し声があらぶったところで、三咲からストップがかかった。そしてこういった。
「…気持ち悪くて、死にそう」
・・・・・・・・
京都についてからも、絵里の蓮への絡みは続いた。一日目は皆で同じ場所を回るのだが、絵里は時間があれば蓮のところへむかい、話を持ちかけていた。
その内容は、生徒会長と実行委員(しかも蓮はじゃん敗けで副実行委員)とのやりとりで、まわりから見れば普通なことに見える。
しかし優美にはそうは移らなかった。夏にあった二人のデート以来、優美は彼女の蓮へのアプローチにかなり敏感になっていたのだ。
そして、なぜか彼女に蓮をとられてるみたいだ。という感情を抱いてしまうのだ。
もちろん蓮は優美のものでもなんでもない、だけどもなんだか許せなかった。
それは、以前抱いていた『一人になる寂しさ』とはまた別の感情であった。
・・・・・・・・
本格的な活動は二日目から始まる。今日明後日は別れた班ごとに自由に京都の町を回ることになっている。ちなみに最終日にはユニバーサルにいく予定だ。
優美は三咲、それから栞を含む女子5人班だった。もちろんこの班で回るのもいいのだが、たいていの場合、他の班と共に行動することが多い。彼女達も例外ではなく、三咲がそう提案していた。
「匠と蓮の班と一緒に行動しようよ、あいつらにお土産かわせちゃお」
「うん、男子がいたほうが安心できるしね」
栞と他の二人も賛成のようだ。優美もまんざらではなく、旅行中あまり蓮と絡めていない分話をしたいと思っていた。
「じゃあ、そうしよ!
…あ、いたいたちょうどいいとこに。匠〜!
…って、あれ?」
三咲は困ったような顔をした。
それと同時に優美も不機嫌そうな顔をした。
「ねぇ、私たちも一緒につれてってよ!」
そこには朝倉絵里と、生徒会メンバー数人がいたのだった。
・・・・・・・
「…なぁどうしたんだよ優美??
さっきからずっと機嫌悪そうにしてさ」
川原のベンチに座って休憩中、蓮は優美に問い掛けた。確かに周りからみれば旅行中の優美の様子は変だった。ずっと不機嫌そうにしていて、修学旅行を楽しめてないみたいだ。
「…別に、そんなことないわよ」
そういってペットボトルのお茶を飲む優美。結局蓮と優美、絵里の班がまとまって行動してるわけだが、やはり彼女は納得いってなかった。
なんだ、最近の朝倉絵里は?私への嫌味か?蓮に一体なんの用なのか?
いろいろ吐き出したい文句は山ほどあるけど、優美は黙って飲み込んでいた。だから今も蓮と話す気分になれなかった。話しだしたら愚痴ばっかりいってしまいそうだから。
そんなこと知らない蓮は、優美の行動が理解できてなかった。
「…なんなんだよ、さっきから。お前いつもと全然違うじゃんか。」
「…そんなこと、ない」
「うそつくなよ。
なんかあったのか?優美?」
「…何も。」
言葉数も少ない優美、蓮もどうすればいいかわからなかった。
「…なぁ、どうしたんだよ?せっかくの修学旅行なんだから、もっと楽しもうぜ」
「…わかってる」
わかってる。
だけれどもなぜか素直に楽しめない、だって…
「大野君!今日の夜の集いのことでちょっと話あるだけどいい??」
「…あ、すまん、ちょっと話してくるわ。
オッケー、どうした?」
絵里の方へ向かう蓮。それを見て優美はまた苛立ちと切なさが募るのだった。
そのころ学校では。
愛子「修学旅行いいなぁ…
私たちも旅行いきましょ!」
新城「…は?」
愛子「ってことで、今度の日曜朝、バスセンター集合ね」
新城「…えー!?」