21 金魚
結構書くのにてこずった汗
正直書くかなやんで書いた内容です、後々の話に影響していきます
「はい、これ森さんの分」
「あ、どうもありがとうございます」
そういって愛子は林檎飴を受け取った。蓮のおごりである。
「さて、次はどこにいこうかね〜」
林檎飴をペロペロ舐めながら祭の雰囲気を楽しんでいる蓮とは対照的に、愛子はガチガチになっていた。
どうしよう、大野先輩がすぐそばにいるのに…
ふと横を見てみる。そこには蓮の顔がすぐ届く距離にある。あまりに近い。そんなことを考えていると
「ん?どうしたの??」
いきなり愛子のほうを向いて来た、彼女は思わず目を反らす。
愛子は焦っていた。なにか話しかけなくちゃ。せっかく二人きりなんだから。なにか…
しかし何を話していいかわからない、言葉がない。
焦りと緊張で彼女の脈は異常なほどに速くなっていた。
そうやって悩んでいると、
「そうだ、金魚掬いやってみる??」
蓮のほうから話しかけて来た。
愛子は頷くことしか出来なかった。
・・・・・・・
「あー」
愛子の使っていた網はあっさりと破けてしまった。金魚掬いは得意ではなかったので当然の結果ではあったが、原因はそれとは別にあった。
愛子はさっきから気になっていたほうをむいた。
「………すごーい」
彼女とは逆に、蓮は快調に金魚を掬っていた。慣れた手つきで網を操り、まるで破れる気配がなかった。
「先輩、すごいですね!」愛子は声が裏返らないように、動揺しないように言葉を発した。
「あぁ、ありがとう。これだけは得意なんだよ」
それに対し蓮は笑顔で答えた。
やった!やっと話せた…
愛子は心の中でガッツポーズをした。
愛子はうれしくなって蓮の顔を見た。
そしたら蓮は少し照れ臭そうに話し出した。
「昔祭に来たとき、優美のやつに金魚とってって頼まれてさ、その時一匹も取れなくてがっかりさせちゃってね。」
…あれ?
愛子は感じていた。
「それから金魚掬い練習してね、次の年に何とか金魚を渡せたよ。」
なんか…
さっき感じた嬉しさも今は感じなかった。
「そしたら優美何て言ったと思う??『え?去年そんなこといったっけ??』っだってよ、さすがに参ったよ」
あぁ、そっかぁ。
わかっていた、わかっていたんだ。
最初からわかっていたんだ。
愛子は思わずこういった。
「…大野先輩って、優美先輩のことがホントに好きなんですね」
すると蓮は少し恥ずかしそうに頭をかく。そしていう。
「……ま、まぁね」
愛子は水槽の金魚を見るように下を向いた。
そう、私には大野先輩は遠すぎるんだ。
だって見ててわかるもん。
優美先輩の話しをしているときの先輩の笑顔が、何よりも素敵なんだから…
・・・・・・・
「おい匠!みんなしってる?」
「…まだあそこだよ。」
金魚掬いが終わったあと、二人は匠と三咲にであった。残りの女子はというと、いまだに射的をやっていた。
「やれやれ、まだやってたのか」
「うっせーな蓮!次こそは当ててやるんだから…って愛子じゃない!?」
優美は愛子を見つけるとニコッと笑った。
「わー浴衣凄く可愛いよ!愛子はホントに可愛いなぁ〜」
「あ、ありがとうございます」
愛子は弱々しく返事した。
愛子は知っている。優美がとても優しくて、とても素敵な先輩だということを。
そして、蓮と一番仲のよい異性で、蓮の片思いの相手だということも。
でも、わかってたんだよね…。
一目惚れの私と違って、大野先輩は優美先輩をずっとずっと好きなんだよね。
もう、諦めるべきなのかもね……。
「あ、そうだ、愛子も射的やってみなよ!ほら!!」
そういうと優美は愛子におもちゃの銃を差し出した。愛子も思わず受け取る。
「さぁ愛子!あの的狙って撃っちゃって!」
…うん、諦めよう。大野先輩を応援しよう。
愛子は開き直ったように顔をあげ、それから思いきり引き金を引いた。
放たれたコルクはど真ん中をいぬき、景品は見事に落とされたのだった。
「…この感じ、どうしよう…」
夏休み最後、生徒会長絵里が生徒会室で独り言。
次回は絵里の回想のお話。
愛子「…」
新城「…あのさ、元気だしなよ」
愛子「…」
新城「…愛子?」
愛子「…あーもうこうなったらやけくそよ!!今からカラオケいくわよカラオケ!!!」
新城「ちょ、ちょまっ!?
(あれ?本文ではか弱いキャラなのに、次回予告ではえらい活発じゃない!?(;゜д゜)汗)」