19 私は空気
大野蓮と丸山匠は困り果てていた。
彼の部屋には女の子が二人。聞けばなんとも幸せなシチュエーションである。
しかしその組み合わせが悪かった。
「あら朝倉さん、あなたがなんでこんなところにいらっしゃるのかしら?」
「桜井さんこそ、来る場所を間違えたのでは??」
二人の間に特大の火花が散っている。そしてその間にいる蓮と匠。もはや口だしなどできっこない。
「優美まってよ〜!って、なんで朝倉さんまで!?」
乱入してきた三咲もなす術無し。二人を止めれるものなどいなかった。
・・・・・・・
夜。
結局祭には空手部4人+朝倉絵里で回ることになった。もちろん二人が納得してのことではないのだが。
「ねぇねぇ蓮君!!次は何処へいく〜!?」
「朝倉さん、蓮が迷惑してるから離れてくれませんか〜!?」
優美は絵里の腕を引っ張り無理矢理蓮から離れさせた。
「やめてくれませんか??私は蓮君に用があるのです。
ねぇ!?蓮く〜ん!?!?」
そういって絵里は蓮の腕にぎゅっとしがみついた。
香る女の子の匂い、幾人もの男を殺傷してきた上目使い(比喩的な意味)。そしてあたる豊富な胸(優美にはない)。
「…!?」
優美一筋の蓮でも、これにはたまらずドキッとしてしまった。
プチンッ
何かが切れた音がした。
「……れ〜ん???
この祭には、もともと誰といく予定だったっけ??」
優美が蓮に向かって尋ねる。
漂う殺気、何回も蓮を殺してきたその目(文字通り)。そして何より強く握られた拳(絵里にはできない)。
蓮は物凄い汗がでてくるのを感じた。
「それは…かっ、空手部四人でいこうと…」
「だよね〜!?
…なら、その隣の女は、何??」
「それは…」
事実、朝倉絵里が勝手に蓮の家に押し寄せ、勝手に祭に行こうとしてきたのだ。優美の怒りもしかたない。(つい最近まで絵里の行動に優美は悩んでいたのだから)
しかし、怒りの矛先が蓮に向いているのは…
蓮があたふたしていると、絵里が不機嫌そうな顔をした。「全くあんたはホント蓮君に酷いわね!そんな言い方するなんて最悪よ!
蓮君、あんなのほっといてあっちの屋台いってみよーよ!」
絵里は余計に蓮にひっついた。顔が近い。
優美は我慢の限界だった。
「あのねぇ!?そもそも全部あんたのせいでしょ!?私はあんたがいるのが気にくわないのよ!」
「私だってそうよ!」
睨み合うふたり。蓮と他2名はもはや空気である。
先に話し出したのは絵里だった。
「じゃあこうしましょ、あの射的でより高い景品を倒したほうが勝ち、勝ったほうが蓮君と祭をまわれる、負けたほうは帰る。
どう?文句ない??」
「いいわよ、上等じゃない!?」
蓮達の意見をきくことなく、何故か二人の勝負が決まってしまった。
「…私たち、帰ってもいい??」
三咲は思わず呟いた。
愛子
「あっ、先輩…」
優美対絵里の向こうで、蓮は……。
次回は後輩愛子が主役!!
新城
「はっ!?まさかあいつが本編に…
予告一人じゃ無理だー!!!( ̄▽ ̄;)」