1 始まり
いつもこの季節が来ると、あぁ私の大好きな季節がきたんだなぁ、と優美はいつも思う。
それは自分の苗字にある桜が咲き乱れるのも一つの理由。でもそれよりも、誰もが新しい生活に浮かれている街の一部になれるのが1番の理由である。
優美も今日から高校二年生。
一年生のときも充実した高校生活を送ってきた。でも一年だから、すべてのことが初めてで、ついていくのが精一杯だった部分もあった。
でも今年は二年生。気持ちにも余裕が出て来る頃。優美はこれからの生活が楽しみで仕方がなかった。
・・・・・・・
いつものように登校してきて、優美はまず中庭にある掲示板を見た。そこには新しいクラスが掲載されている。
どうやら優美は2‐6のようだ。
優美は自分のクラスだけ確認すると、他の人のクラスは見ないで、自分の新しいクラスヘ向かうことにした。
・・・・・・
「あ、優美!!オハヨー!
クラスどこだった??」
「私6組、三咲はどうだった??」
「マジ!?ウチも6組よ!!
やったー!!今年は優美と一緒のクラスやん!」
廊下で優美と話しているポニーテールの女の子は佐藤三咲。彼女は優美と同じ空手部に所属していて、優美の1番の親友である。
お揃いの髪どめを買ったのは他でもない彼女である。
去年は違うクラスだったのだが、今年は念願叶って同じクラスになれたようだ。
「6組女子のメンバーなかなかよかったよ!
優美と一年同じだった人はいたかなぁ………あ、柊栞がいるよ!ほら!軽音楽部の、
確か優美仲良かったよね??」
「ホント!?栞もいるんだ!
二年は絶対楽しいだろうな!!」
優美はうれしそうにいう。
「ホ〜ント、優美にとっては最高に楽しいだろうよ、男子も恵まれてるし。」
「??」
三咲がニマニマしながらいったことの意味を、優美は理解出来ていなかった。
そのときは。
・・・・・・
教室に入り、優美は三咲のいった意味を初めて理解した。
優美の席のとなり。
あの横顔。ずっと近くで見てきた、あの姿。
「…くっそ〜三咲め!……部活のとき覚悟してろ!!」
またからかって!!そんなんじゃないのに!!!
隣の席が、幼なじみの大野蓮であるのを確認したとき、優美は後で三咲をボコボコにすることを決意した。