13 恐怖のデート 後編
昨日は酒で死んでました(^-^; 今回はシリアスです。母親の話がイマイチわからない人は「強すぎっ!![短編]」を読んでいただきたいです。
幼い頃に母親を無くした優美にとって、この遊園地は母親と過ごした日々を思い出させてくれる場所の一つだった。
「…はぁ」
優美は小さくため息をつき、それから近くにあったベンチに座った。
優美の今日の目標は、蓮と絵里が変なことをしないかの監視すること。しかしこの遊園地にきてどうも落ち着きがない。それはここが懐かしの場所であるからだろう。
優美は売店で買ったコーラを飲み、それからストローの先端をつまんでグルグル回しながらぼんやりと周りを見ていた。
ふとあるものが目に入る。
メリーゴーランドだ。
彼女はぼんやりと昔を思い出す。
そーいえばメリーゴーランドにも乗ったよな。私は小さかったのに馬の上に乗りたがって、蓮は1番低い馬にしか乗らないで。上下に動くだけなのに蓮はびくびくしてて。それ見て私は笑って。
そんな私たちのそばに、お母さんがいて…
「…!?」
突然現実に戻ってしまう。
見えるのは、メリーゴーランドに乗る絵里と蓮。ただそれだけ。
そして優美は呆然とするのだ。
お母さんは、もうそばにいない。
そして、今の私には、蓮すらそばにいない。
胸を締め付けるような感情が突然優美に襲い掛かった。
優美は知っていた。母親を失う辛さを。そばにいる人を失う怖さを。そしてこの7年間、この恐怖に必死に堪えてきたのだ。
それなのに…
また私は、そばにいる人を一人失ってしまいそうだ。
この恐怖に優美は勝てそうになかった。思わず顔を伏せてしまう。
どうしよう?私は…私は…。
もう、失いたくないよ…。
・・・・・・・・
「あー楽しかった!!!」
太陽が水平線に消えていきそうな頃、絵里はうれしそうに笑った。
「そっか、よかった」
蓮は軽く返事を返す。何だか凄く疲れているようだった。無理もない、テンションの高い絵里についてこらされて、もう体力的にも精神的にもクタクタになってしまったのだ。
そして、その二人の少し後ろには優美。遊園地で感じた恐怖も我慢して、何とか二人を追い掛けていた。
それは駅の改札付近で起こった。
「今日はありがとう、ホントに楽しかった。」
別れ際、絵里は蓮のほうを向いてお礼を言った。
「あ、いや。気にしないで」
蓮もそういって返事をした。
そんな二人の様子をこっそり監査する優美。その様子は少し安堵の様子もみえた。あぁ、今日が終わってよかった。そう思っていた。
しかしその表情は一瞬にして変わる。
「…あのさ、蓮君。」
絵里の乗る電車が来る少し前。彼女はまた蓮のほうを見て話し掛けた。
「ん?どうしたの?」
蓮が短い返事をして絵里を見る。
彼女は何かを決心しているような表情をしている。
「なに?なんか用でも…」
何も話し出さない絵里に話しかけようとしたその時だった。
「!?」
「!?」
突然だった。
絵里が蓮に抱き着いてきたのだ。
そして蓮の胸に押し付けていた顔をあげて、蓮に向かって話し出す。
「最初は冗談のつもりだったけど…
やっぱりあなたが好きみたいなの!!」
そして彼女は、蓮の頬に唇をあてた。
「…うそ、今……」
柱に隠れていた優美は、膝から崩れ落ち、思わず手で顔を覆ってしまった。
「あのさ、蓮…」
満月が照らす白い砂浜の上で、少女は何を見て、何を思うのか?
次回も長めで多分前後編で分けます。
愛子
「次回は海に行くらしいです!新しい水着かわないと!!」
新城
「…俺ら出番ないってさ」
愛子
「…もういいです、私予告編でレギュラーになります。」